ドラゴンフルーツ
初めてこのフルーツを食べたのは数年前の事。ここのハウスオーナーの持っている農園の端の方にメキシカンの働き人が勝手に植えたドラゴンフルーツの実が毎年成るようになったらしい。その御裾分けを今年も頂いた。日本では見た事も無かったこのフルーツ、こちらのマーケットで時々見かけた事はあったけれど一つが4ドル前後もするので自分から買ってまで食べようとは思わなかった。ピンク色のウロコ状の果皮は竜の爪のようにも見えて何となくグロテスクな感じがして敬遠していた。そう言えば以前ドラゴンフルーツの干したものが売っていて珍しかったので買って食べた事があった。果皮も丸ごとザクザクスライスして乾燥させ砂糖を加えたものだった。食べた時の印象は砂糖の甘さだけしか残らなかった。そのうちその店からその商品は姿を消してしまった。この不思議な形をしたドラゴンフルーツはサボテン科の植物で花は月下美人と同じように新月と満月の前後の月に反応して夜に花が咲くのだそうだ。歴史としては13世紀のアステカ王朝の頃に食べられていたという形跡があるそうで中米、南米から発生してベトナムやマレーシアに伝わっていったようだ。
日本では沖縄でも20数年前から栽培されているらしい。せっかく頂いた貴重なフルーツなので今回はそのものの味をしっかり味わいたいと思い半分に切ってそのままスプーンですくって食べてみた。大きさはアボガドぐらい。半分に割ると半透明白色の果肉の中に黒い胡麻のような種が均等に入っている。果肉は柔らかく熟れたキューイのような感触だ。食べるとジューシーで、かすかに甘味を感じる程度だ。さっぱりとした味で酸味は無い。噛むと口の中でプチプチと種があるのがわかるが苺のプチプチ感程度の気にならない柔らかさだ。もしかしたらすごく体に良さそうなのではと栄養分を調べてみたらビタミンC,B
カロチン、たんぱく質、オメガ3,6 リコピン、ファイバーもあり 抗酸化作用に優れていて免疫を高め骨や歯を強化すると書いてあり、まるで総合ビタミン剤のようなスーパーフルーツなのだな〜と感心してしまった。このドラゴンフルーツをジュースにしたりサラダに入れて食べたりもするらしいが私はこのまま素の味を味わう方が好きだ。なるべく加工しないで、そのまま食べられるものは食べた方が体にいいような気がする。それにしても地上には人間を元気にしてくれる植物や果物がたくさんあるものだ。私達が食べている植物は、まだほんの一握りなのかもしれない。地球が生み出す命を考えると、まるで神技のような不思議な営みだ。
茶子 スパイス研究家 |