――― 前号からの続き ―――
私がSBMS(サウスベイ経営セミナー)で話しをする側になったのは前回書いたパネル討論会だけでしたが、運営側の人間としてセミナーの司会は何度となくさせていただきました。前述したセプテンバー・イレブン(2001年9月11日、アメリカがテロに襲われた日)の翌日も私が司会役でした。
本来、司会役というものは、会(セミナー)の進行役であって、あまり喋るのは良くないのはわかっているのですが、私の場合はいつも少々羽目をはずすことも珍しくなかったような気がして今更ながら恥ずかしく反省しています。
2006年8月のセミナーでは、私は司会ではなかったのですが、講師の紹介役をさせてもらいました。この時の講師は米国ペンテル社長をすぐ前に引退された長田
稔氏でした。司会の佐伯
和代氏(TJSラジオ)が明瞭簡潔にセミナーを進行してくださったのですが、私が悪い癖をだして長々と講師紹介をしてしまいました。以下は録音テープから私の講師紹介の様子を取り出してみました。
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(拍手を受けながら登場)ありがとうございます。拍手をいただき落ち着きました。(笑)
エート今日はですね、皆さん既にご存知だと思いますが、最近ペンテル・オブ・アメリカを引退なさった長田
稔さんにお話しをいただくことになりました。
長田さんは既にアメリカ生活38年という大ベテランで、ペンテルをブランドというレベルで、また筆記具というレベルでまったくのゼロから全米で第3位のマーケット・シェアを得るまでに広げられたという素晴らしい業績を残された方でございます。こういう方から今までの体験談とか、そういうものを伺うということは私たちにとって参考になるのではないかと思います。
今日はですね、実は長田さんをご紹介する役は、今回この方を引っ張り出してきた私たちSBMS前会長の井出さんが適任なのですが、残念ながら井出さんは今日は日本へご出張ということで、急遽代役ということで私が勤めさせていただくことになりました。
多分、井出さんがここに立ったらですね、井出さんと長田さんとは長い長いお付き合いですから、長田さんの表(オモテ)のことだけでなく、多分、長田さんの裏(ウラ)の裏(ウラ)の、そしてまたその裏(ウラ)までですね、ご存知なので、井出さんだったらいろいろ面白いエピソードなどを話しをされ、もしかしたら、長田さんの顔色がハッと変るんではないか、などと想像します。
残念ながら私は長田さんとは14、5年来のお付き合いで、それこそJBAの時代からの知り合いですが、何しろ私は表(オモテ)の人間ですので、裏(ウラ)のほうはよく知りません。従いまして、通りいっぺんですが、表(オモテ)の長田さんをご紹介させていただきます。
略歴ですが、長田さんは1966年(昭和41年)に立教大学の経済学部、経営学科を卒業され、2年たったところですぐにアメリカに駐在ということになりました。ですからサラリーマン生活40年のうち38年が在米の駐在員ということに、そしてシカゴをかわきりにニューヨークの支店を開設され、さらに全米各地を飛び回った経験をお持ちです。その奮闘記を今日お話しいただけると思います。私たちの常識をこえるご苦労があったと思います。まさに血と汗と涙の結晶ではないかと思います。
ニューヨーク時代には今日もセミナーにご出席の小川さんとはすでにその頃からのお知り合いだそうで、お二人は因縁の深い間柄といえそうです。
さて、シカゴ、ニューヨーク支店長、そしてロサンゼルス本社社長、さらにペンテル東京本社の取締役、米州総括本部長の重責を担われ、昨年2005年6月に代表取締役退任、そして相談役を経て今年の6月にめでたくハッピー・リタイヤメントとなったわけでございます。
話は変りますが、京セラという会社がありますよね。稲盛
和夫さんが一代で大きな京セラを作り上げた。私はなにかの時に講演会で稲盛さん、今は名誉会長ですが、の話を伺ったときに「経営の真髄は、結局、愛情と誠とバランスである」とうかがいました。長田さんの40年間はまさに、「愛情と誠とバランス」ではなかったかと推察いたします。
最後に今日は長田さんの奥様はお見えになっていらっしゃいませんが、長田さんはですね、たいへん奥様とは仲がおよろしいようで、奥様を心から愛していらっしゃる方です。外出するときはもちろん、お二人は手をつないで歩く(よくやるよ!)、それから前にいちど伺ったことがあるのですが、奥様が昼間の家事でお疲れになったときは、寝る前に奥様にマッサージをして差し上げるという、そういう愛妻家です。まさに「愛情と誠とバランス」の人でございます。それでは長田さん、どうぞよろしくお願いいたします!!
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そして長田さんが私の紹介をあきれ顔で苦笑しながら皮肉一番「今日は河合さんが講師を勤めていただいたほうがよさそうですね」といいながら講演を始められました。長田さんからはご自分の体験を通して得たことや、米国文房具業界の実態など、興味深く有意義なお話しして頂きました。
「サウスベイ経営セミナー」 の良いところはメンバーの誰でもが気軽に参加出来る「手作りの会」
だということでしょう。このメリットを大いに生かし、諸活動が私たちにとって役に立つだけでなく、参加していて楽しく 「この会が好きだ」
と誰もが惚れ込むようなものであり続けるようなものであり続けて欲しく思います。そのためには
会員の皆さんが受け身でなく積極的に参加し、何らかの役割を担い、いつまでも「好き」 でいられるSBMS(サウスベイ経営セミナー)に育て上げることが肝要かと思います。SBMSのような組織は会員と役員、コミッティメンバーが一体となったボランティア活動によって成り立っています。みんなで育てる会として今後もますます発展し、会員みんながより充実した滞米生活を享受できるようになるよう期待したいと思っています。―― 終わり ――
河合将介(skawai@earthlink.net) |