龍翁余話(608)「今年は歩こう」
驚いた。ちょっとショックだった――元旦に、自宅から徒歩20分の戸越八幡神社へ初詣に行った時のことだが、戸越銀座商店街を歩いている時から何だか足元がふらつく。あれ?今朝、血圧の薬を飲んだかな?・・・
翁は5,6年前から大晦日の夜は「紅白」は視ないことにしている。知らない歌手、歌、芸無し芸人のバカ騒ぎ、おまけにボキャブラリー(語彙=言葉の数や言葉に含まれる意味への理解)に乏しい下手くそな司会者など、ドタバタ、ギャアギャアの連続で、とてもじゃないが翁はついていけない、だけでなく腹が立って来るから視ないことにしている・・・昨年の大晦日もそうだった。他局のチャンネルをつけていたのだが、それとて視るほどのものはなく、いつものように早く寝てしまった。元旦の朝(いつものように)早起きし、ベランダに国旗を飾って(まだ太陽が出ていない)天を仰いで“2020年の平安”を祈願、それからコーヒーを飲み、インスタントのお吸い物に小さ目の餅を2個入れ雑煮風にして食べ、それから血圧の薬を飲む・・・歩きながら数時間前の(それらの)ことを思い起こす。確かに薬は飲んだ。なのに、この足のふらつきは何だ?
昨年末の29日に(暮れと正月用の)食料の買い出しで40分ほどスーパーへ行っただけで大晦日までの3日間、部屋の掃除や片付け、正月飾りなどで外出しなかった。つまり、ほとんど歩かなかった。そのせいで足がふらついているのか、それとも老化のせいか・・・神社へは商店街をしばらく行った途中から右へ緩い坂道を上がる。こんな程度の坂道で、今まで息を切らすことは無かったのに、年が明けた朝、何で急に(こんなに)足と心肺が弱ったのか、驚いた。ちょっとショックだった。
10年前から翁は、初詣以外にも年に数回、戸越八幡神社へ参詣し、少し先の戸越公園までを散歩している(片道30分)。元旦の神社は、さすがに参詣者が多い。翁が行った時にはすでに100mほどの列が出来ていた。翁、足のふらつきが気になって一瞬“出直そうか”と思ったが、目の前に(付き添いのご夫人?と一緒に)杖つきのお年寄りも順番待ちをしている。ならば翁も、と言うことで結局、(足の冷えとだるさを我慢して)待ち続けた。1時間ほどしてやっと参拝。自分自身や友人たちの健康・多幸などを祈って神社を去る。帰りの下り坂は、息切れはしなかったが(寒さの中、1時間も立ちっ放しだったせいだろうか)膝に少し違和感を覚える。手に持った破魔矢の鈴を鳴らしながらゆっくり歩き、30分以上かけて帰宅、直ぐに両膝に湿布テープ(経皮吸収型鎮痛剤)を貼ってソファーに横になった。そしてスマホの“歩数計”をチェックした。29日は40分ほど買い物に行ったり、家の中を(掃除などで)歩き回ったので約3,300歩、30日は部屋の片づけなどで約1,300歩、そして31日は何もしなかったので(たったの)350歩、以前、『龍翁余話』(564)「健康を考える」で書いた【高齢者の理想的な1日の歩数は男性5,600歩(女性は4,800歩)】にはほど遠い。つまり、暮れの3日間で男性1日分の必要歩数にも及んでいない。そして今日(元日)は(午前中で)3,643歩。ゴルフの時は電動カートを使っても平均1万歩近く歩くが、近年はプレー回数が減って月に1〜2度だから、これでは間違いなく足腰は衰える・・・そう思って(ソファーに横たわりながら)決意した「よし、今年は歩こう」―-
言うまでもなく「歩く」ことは人間の基本動作であり健康増進、維持など健康面への効果、気分転換など精神面での効果、知らなかった(気づかなかった)地域情報の取得など多様な効果をもたらす。厚労省資料によると「歩くことはエアロビクス(有酸素運動)を行なっているのと同じである」として、「歩くことで得られる8つの健康効果」を挙げている。「循環器系成人病の予防効果」―-歩くことで取り入れた大量の酸素は体の隅々まで運ばれ血液の循環を良くする。普段より多目に心臓を動かすので循環器が活性化し血圧が下がる。 それによって心臓の負担も軽減される。「悪玉コレステロールの減少効果」―-悪玉(LDL)コレステロールは、肝臓で作られるコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っているので必要ではあるが増え過ぎると動脈硬化を起こし心筋梗塞や脳梗塞を発症させる危険性がある。歩くことでその危険性を防ぐ効果が期待出来る。「糖尿病を予防する効果」―-歩くことは筋肉を動かすことであり、そのためにはエネルギーが必要、なので血液中のブドウ糖を筋肉細胞に取り入れて消費する、それを繰り返すことで血糖値を下げることが期待出来る。「心肺機能の向上効果」―-普段、あまり歩いていないと、ちょっと階段を上がっただけで息切れがする。翁の初詣の時の坂道がそうだった。それは心肺機能が低下している証拠。歩きを継続することで、心肺機能を向上させることが出来る。「骨を丈夫にする効果」―-歩くことで骨に負荷がかかる。そのことで骨に含まれているカルシュウムの減少を防ぎ、骨粗しょう症の予防になる。「ストレス解消効果」―-歩くことで脳の中にあるセロトニン(精神安定物質)が分泌される。それがストレス解消に繋がる。「脳に刺激を与える効果」―-歩くことで脳への酸素供給が多くなるので脳の活性化が期待出来る。脳が活性化すると判断力・理解力・想像力・記憶力などが高まる。毎週『龍翁余話』を書いている(まだしばらくは書き続けるであろう)翁にとって、是非ともこの効果を期待したい。もう1つ(メタボの)翁にとって切実な願いは「ダイエット効果」―-歩くことで血液中の糖をエネルギー化し、筋肉のグリコーゲンを燃やしてエネルギーとして使う。更に(肥満の原因である)脂肪をエネルギーとして使う。(これらの”効果論”の内容は、実のところ門外漢の翁にはよく分からないが、厚労省資料だから信じることにする。)
但し、これらの健康効果を期待するには“毎日20分以上の歩き”を継続することが肝要。「散歩しなければ」と思い詰めると気が重くなるので日常生活の中で出来るだけ“歩く”ことに留意していれば、20分から30分(5,000歩前後)は歩けるはずだ。いずれにしても「今年は歩こう」を決意した初春である・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |