適温
1月下旬に日本からLAに戻ってきて一番感じた事は温暖な気候の有難さだ。一挙に緊張感がほぐれて体が軽くなった感じがする。今年の日本は特に厳しい寒さが続いていて、肩に力を入れないと寒さにやられてしまうようで、いつも体のどこかが、こわ張っているのを感じた。おまけに乾燥で目も肌もカサカサで寒さに加え、この乾燥の方が最近は体に負担を感じる。これはカリフォルニアの天気に甘やかされた為か自分の老化のせいなのだろうか…とも思ったけれど確かにこの数年、気候が劇的に変化しているのも追い打ちをかけているのだと思う。特に日本は過ごしやすい春と秋が短くなってきていて、あっという間に春も秋も急ぎ足で去っていってしまう。
今回、日本とLAで気温がどのくらい違うのか見やすいように日本の温度計と湿度計が付いている計器を持ってきて1階の部屋と2階の部屋に置いてみた。部屋は暖房もしていないのに、温度も湿度もほぼ赤い適温の中で納まっている。日本では乾燥の為に目薬をさす頻度が多いのに、この適温の中では殆ど目薬もささないのに目がすっきりして視力が回復するのだ。スキンクリームなどつけなくても日本ほど皮膚も乾燥しない。
殆ど雨も降らないのに乾燥しない事が不思議だ。日本では乾燥注意報が頻繁に出ていると母が言っていた。それにお正月が過ぎても厳冬の為かいつまでたっても野菜が安くならないらしい。カリフォルニアはサンサンと降り注ぐ太陽を浴びて野菜や果物はたいした努力もせずにすくすく育つ。おまけに広大な土地があるのでそこで取れた作物は安い。
将来、日本の食糧事情はどうなっていくのだろうか…天候に左右されない農業の開発やIT化はすでに始まっているのだろうけれど、その恩恵を受けられるようになるにはもう少し先の事かもしれない。人間が自然や天候をコントロールする事はまだ不可能かもしれないけれど適温の中で人間が過ごす事が出来るようなものが発明される時が近い将来に来る事を切望する。それも日本人の知恵と発明で。
先週、オックスナードの畑から苺に加えて紫色の花束が届いた。欄の蕾も膨らんできている。街の街路樹の木もチラホラ花が咲き始めている。そろそろ一足早い春がLAにもやってきている。
茶子 スパイス研究家 |