フィンガーライム
今週もサウスベイは日中かなり暑い日が続いている。それでもOxnardの畑からは秋の味覚の柿(まだ青いけれど)やスダチや青柚子の差し入れが入り始めた。たくさんスダチを頂いたので保存が効くようにスダチのしぼり汁を作って冷凍にしておこうか考えていたら知り合いの人から頂いていた珍しいライムがあったのを思い出した。友人の庭の木に生っていた実を尋ねるとこれはライムの種類だと教えてくれた。そして枝ごと切って分けてくれた。それをすっかり忘れて一週間ほど冷蔵庫の片隅に転がしておいたのを思い出してそのライムの名前や使い方を調べてみた。
通常、柑橘系のレモン、オレンジ、ライムなどは、殆ど丸い円形なのに、そのライムはさやえんどうのような形をしていたので、とても柑橘系の植物には見えなかった。ライムの形が指の形に似ている事からフィンガーライムと名前が付けられたらしい。原産地はオーストラリアで数年前からカリフォルニアでも栽培されて売られているらしい。
枝には鋭利なトゲがあってバラのトゲから比べるとかなり大きい。枝ごと切る時には用心しないと危ない。不思議そうにその実を見ていたら友人がその実を半分にちぎって私の手の平に絞り出してくれた。その皮からポロポロ転がるように出てきた透明なビーズのようなものがフィンガーライムの果肉だった。恐る恐る味見をしてみたら爽やかな酸味が口に広がった。ちょうどレモンとライムが混じったような感じだろうか…
触感はまるでキャビアのようで噛むとプチプチはじける感じだ。シトラスキャビアとも呼ばれているらしい。
おしゃれなカクテルやスパークリングワインにも飲み物の色がそのままで濁らないので見た目にも綺麗だ。このフィンガーライムは赤やピンクやグリーンの色のものもあるそうでデザートの飾りつけとして使ってみるのも楽しそうだ。少し前に日本でも”ジュレ”と言ってあんかけのようなドロッとしたポン酢の調味料が流行ったが液体と違って、揚豆腐や一品料理の上にポン酢が留まっているので見た目にもいいし他の料理の調味料と交ったりしないので使いやすい。和えても、載せてもいいので便利だ。ちょうどそんな感覚でフィンガーライムも使えそうだ。フィンガーライムのレシピを見てみると生ガキに添えたりお刺身の上にちょこっと載せたりドレッシングに入れたり用途は様々にあるようだ。ただ値段が高く1つが2ドルぐらいなのでレストランやシェフからのオーダーが主なようでスーパーなどではあまり見かけない。日本では?と言うと私が知らなかっただけで、すでにこのフィンガーライムを使っているシェフもいるようだ。流石、食のデパートの日本だ。
茶子 スパイス研究家 |