カリフォルニアのお土産
日本に持っていくカリフォルニアのお土産をイメージすると何を思い浮かべるだろうか、、、
カリフォルニア産のアーモンドやナッツ、ドライフルーツそしてチョコレートやワインだろうか、、、、今回私が日本に持参したおみやげは何と切干大根と柚子味噌と柚子胡椒。どちらもロスの郊外オックスナードの畑で育った柚子と大根で作られたものだ。この柚子や大根は生の農産物として米国内で売られているが切干大根や柚子胡椒、柚子味噌は社長の手作りの試作品なのでまだ、どこにも売られていない。その貴重な試作品を頂いたのでそれをお土産に日本に持って帰ることにした。この柚子胡椒は昨年も社長から頂いていてすぐに私のお気に入りの調味料になったが柚子味噌の方もベストテンに入った。ビンの蓋を開けるとストレートに柚子の爽やかな香りが立つ。添加物や余計な味付けが一切無い柚子本来の味がするのだ。日本に戻ってから昔LAでお世話になった会社の上司2人と会った時にその柚子味噌と柚子胡椒を小瓶に分けておすそ分けをさせて頂いた。2人とも料理が好きな男性で味覚が確かなのですぐに気に入ってもらえた。今回はその味と香りを日本でのイベントでも使わせてもらうことにした。
そして、もう一つの切干大根。最初に頂いた時にそのまま食べてみたらほのかに甘味が感じられ美味しかった。切干大根は何回も手作業で裏表にして日に干すので時間がかかるらしい。私もオレンジピールのお菓子作りをした時にオレンジの皮を干す手間暇が案外かかるのだな〜と実感した。他の方法もあるのだろうけれど、このじっくりと日に干すという時間のかかる方法が一番味を美味しくするように感じる。それにしても切干大根と言えばあの匂いはアメリカ人には苦手なようだ。昔ルームメイトの1人がアメリカ人だった時、家に帰ってきたら何やらキッチンの棚の前で大騒ぎしていた。ルームメイトが何か異臭がすると言うので調べてみたら切干大根か らの匂いだった。申し訳ないけれど匂いが出ないように厳重に袋に入れてほしいと言われた事があった。しばらくして他のルームメイトが大根の煮物を作っていた時にも同じようにクレームが出た。私たちにとっては慣れ親しんだ匂いであっても耐え難い匂いだったらしい。キッチンやダイニングテーブルが共同の場合はどうしてもその匂いがしばらく残るので日本食に慣れていない外国人と暮らす場合は、こういった配慮も必要だ。
そんなわけで切干大根は税関でひっかからないとしても、この匂いは封じ込めておかないと空気を抜いてパックをして完全に匂いを閉じ込めた。
ところで、この大根も柚子もスパイスのカテゴリーに入る。柚子やレモンはミカン科の香り付に使われるスパイスで皮は生でもドライでも料理に使われる。七味唐辛子の中に入っているミカンの皮も干したものは陳皮として使われている。スパイス辞典を書かれた武政三男先生の本によると大根もアブラナ科に属する野菜のスパイスなのだそうだ。生ですりおろして食べる大根おろしには辛味成分イソチオシアネート系の成分が含まれている。
そして同じアブラナ科でこのイソチオシアネート成分の入っている辛味系スパイスにはワサビやマスタードそしてホースラディッシュが入る。だから生の大根は和風辛味スパイスのカテゴリーに入るのだそうだ。スパイスは乾燥したものだけと思っている人も多いと思うが、こうやって考えると生の野菜の中にも香り付、臭み消し、辛味付け、着色とスパイスとして使われる野菜がたくさんある。今度、野菜売り場に行った時にユリ科、セリ科、ナス科、ショウガ科などの中からどんな野菜がスパイスの仲間に入るのか、、、興味のある人は、ちょっと違う視点で眺めてみるのも面白いかもしれない。
茶子 スパイス研究家 |