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NO.547                Ryo Onishi              11/5/2006   

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河合さんの さくらの独り言 川柳 & コント 森田さんから ホームページ
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雑貨屋のひとり言

「もったいない」と思い、物を処分できないのは私だけではないと思います。特に思い出のある品物は捨てにくいものです。しかし新しい服や品物を次々に買い求め、古いものが忘れ去られていきます。気が付いたら、永い間、着ない服や使わない物が押入れや倉庫に溢れているのが現状なのではないでしょうか。
この週末、押入れにいっぱいにある要らないものを整理する決心をして片付けを始めました。
またそのうち着るだろう、使うだろうという類のものが多いことがわかりました。それらのほとんどは処分することにしました。おかげですっきりしました。この調子でほかのところも整理していこうと思います。(R.O.)

マネーロンダリング

  博才(ばくさい=賭博、かけごとの才能)も度胸もない私ですが、ラスベガスの雰囲気は大好きで、私がまだロサンゼルス駐在員としてビジネス現役時代だった頃は三日以上の連休があれば足しげく妻とともにラスベガスへ行っていました。

生来賑やかなことが大好きな私ですので底抜けに派手で明るく賑やかなラスベガスは、私にとって鎮守様の秋祭りや選挙運動に相通ずる心の昂揚を感じるのです。

 上記現役時代、私は「定年を迎え引退したら真っ先にラスベガスへ行き、1ヶ月でも2ヶ月でも飽きるまで滞在し、思い切りあの雰囲気に浸り通してみたいものだ」とさえ願っていました。

ところが9年前、いざ企業定年を迎えて自由な時間が手に入ったとたん、何故かラスベガスへ行きたいとは思わなくなっている自分を発見したのでした。

如何に自分の性に合ったところでも忙しい時間を割いて行くから良いのであって、自由な時間を得、何時でもいくらでも行けるのだと知った時には熱い希望は去ってゆくものだとはじめて知りました。

結局、定年引退後は日本の友人たちの来米時に案内で行く以外、いまだに自分の意思でラスベガスへは行っていません。人間というものは生活環境が変わると意識も変化するようです。

 ロサンゼルスからラスベガスまでは300マイル(500キロ・メートル)、ドライブで5時間ほどかかり、この距離が私をして億劫にさせているのも彼の地へ行かない一因と言えるかもしれません。

でも、もしそうだとしたら私も年老いたということであり、嘗てのような時空を超越したバイタリティが減退したということになるので、そんなマイナス要因を断固拒否するために私は今も時折、ラスベガスに代わるところへ行くことにしています。

 ここ数年、ラスベガス(ネバダ州)へ行かなくても我がカリフォルニア州内にもカジノ場が出現しています。いわゆるインディアン・カジノといって、アメリカ先住民族居留区にのみ認可されるカジノ・センターのことで、南カリフォルニアだけでもソルバング、パームスプリングス、インディオ、コチャラ・バレー、ヘメット、テメキュラ、サンディエゴなど10ヶ所以上が設立許可されており、その多くがホテルを併設した本格的カジノ場を備えています。

これらのカジノ場には数千台の最新式スロット・マシンを中心にカード・ゲーム、キノ・ゲームに加え、各種エンターテイメントにも力を注ぎ、規模の大きさ、明るさ、派手さはラスベガスに充分匹敵するものになっています。

 ビジネス引退時の予想に反し、思ったほど時間の自由がない今の私ですが、月に一度くらいは何とか都合をつけて妻と雰囲気を楽しみに行くことにしています。

前記の通り、博才も度胸もない(それよりも今では無収入の身であり、財布の中味の乏しい)私ですのでギャンブルは小遣い程度におさえ、雰囲気を楽しむのが主目的なので財産を失う心配はなさそうです。

 ところで先日のこと、約1ヶ月ぶりにインディアン・カジノへ行った時のことです。カジノ場のトイレへ入ったところ、私が使った小便器のすぐ下に折りたたんだ緑色の紙切れが落ちていました。

良く見たらそれはなんと$20紙幣なのです。小便器の下で一部が濡れているようでした。一瞬ひるんだ私でしたが、勇をふるって濡れていない部分をつまみ上げました。

さあどうしよう。ここはカジノ場だ ――― 係員に届ける必要もないだろう ――― 勝手な理屈をつけては見たものゝ、拾った場所が場所だけに、しかも一部濡れた紙幣をポケットに入れる気にはとてもなりません。

指先でつまみながらトイレを出た私は早速妻に事情を説明しました。妻はニタッと笑って言いました。「その20ドル札をスロットマシンに入れましょうよ。そして即キャッシュ・アウトのボタンを押せばマシンから20ドルの金券が出てくるでしょ。それをキャッシャー・カウンターで現金に換えればきれいな20ドル札になるわよ」

 なるほど、なるほど。“マネー・ロンダリング(不正資金の洗浄)”とはこういうことを言うのだ ――― 一人了解し、納得し、そして実行した私でした。

      河合 将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り言「 恥 」

毎週土曜日の日経新聞朝刊に、『NIKKEIプラス1』という別刷り(生活情報週刊紙)が挿入されている。その紙面に、朝のコーヒーを楽しませてくれる欄がある、『何でもランキング』だ。毎日の生活や仕事に関わる色々なサイドから取り上げられるテーマの調査結果、そのランキングの紹介だ。テーマは、日常の暮らしの中にあるグッズから娯楽施設といった製品や場所の人気度であったり、習慣や社会生活のアンケートであったりというもの。昨日(11月4日)のそれは『言葉づかいで恥をかいたこと』、含んだコーヒーを吹き出してしまった。恥を掻くとはいうけれど、ならば、恥を書いてみようか・・・。

在米時代、出張で日本へ来ると、決まって“お笑いエピソード”集のページが増えたものだ。「団塊の世代」を“カイダンの世代”とか“ダンコンの世代”、「板前さん」を“まな板さん”、「腕をふるって」を“腕を振って”などと口走り、周囲の人を驚かせたこともある。言葉の読み違いや思い込みの間違いの部類だ。また、先に帰る目上の人に「ご苦労様」と言って注意されたり、百貨店店員の丁寧語を真似て「〜でよろしかったでしょうか」と使ったら「日本語を知らない」とゴルフの老先生から叱咤されたりした。薄学の表れ。いずれも、恥を掻きながら、誤りを正すという繰り返し。まさに、訊くは一時の恥、訊かぬは一生の恥とはよく言ったものだ。

ところで、“はじ”という字や言葉には、不思議なことが多い。まず、通常使われる漢字の“恥”、何故、耳と心でハジと読ませるのか。「恥を掻く」とはよく言うが、頭を“掻く”というこの字を使うのか。ご存知の方がいれば教えていただきたいところ。また“はじ”や“はずかしい”と読ませる漢字には恥、羞、辱、の3種類。それぞれ、主体は自らの失態(失敗)を“はずかしい”と思い、それを自らの“はじ”とする意味である。しかし、この中の二つが組み合わさって恥辱(ちじょく)や羞辱(しょうじょく)となると、他者からおかされる使役になってしまう。これを考えると、恥なるものは自分でかくもの、人にかかされ恥辱は恥の上塗り同然ということか。そういえば、同じ恥を使った日本語に、雪辱、恥を雪(すす・そそ)ぐ、というのがある。勝負などでかいた恥や失った名誉を取り戻す意味。とけてながれる雪を使うところなんて、これまた不思議な日本語の美しさだと思う。

さて、思えばこれまで失敗だらけ、恥を掻き続けてきた毎日だったような気がする。自分が失敗して恥を掻いた場合、「アメリカ生活が長かったもので」と言い訳をしたものだった。しかし、帰国6年も経つ今となっては、そうは問屋がおろさない。そう思うと、緊張し、ぎこちない口調になったり、間違って恥を掻いたりする。じゃあどうすればいいのだろう・・・『何でもランキング』によると「普段から言葉使いが上手な先輩や同僚、友人の話し方に耳を傾けることが重要」、「思い切って使ってみること・・・間違えて恥をかくのも一時のことだ」という。大切なことは、恥を恥と感じる心かもしれない。ならば、人生という一度きりの旅路で、いっぱい恥を掻いてみようか、旅の恥は掻き捨て、っと呟く、さくらの独り言。
 

週間五日坊主(東京・成近)


( 川 柳 )

ジャンプ一番もぐら叩きにしてやられ

助っ人が諸刃の剣で駆けつける

ギブアンドテークに飴玉の演技

九条がこんなに瘠せた変り玉

聖戦と正義出口の無い戦

( ニュースやぶにらみ )

「消費者金融大手四社赤字」
金を貸そうか −振り込め詐欺犯

「寅さんが戻っただけ」
それを言っちゃあおしまいよぉ −六ヶ国協議

「安倍トウシュへ」
球が左に逸れるなんてもってのほか −自民ホシュ派

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

 連載 チベット紀行(1) 

 子供のころ、お寺の日曜学校でみる紙芝居が楽しみの一つだった。
 その中で特に、孫悟空や猪八戒などをお供に三蔵法師が艱難辛苦をなめつつ天竺へ経典を取りに行く『西遊記』は面白かった。孫悟空が悪いことをすると頭の鉢巻がきりっと絞まる。十万八千里の雲海を飛んで孫悟空は柱に印を付けて戻ってくる。釈迦如来が手のひらを見せると、中指に孫悟空がつけた印がある。どんなに威張っても、所詮、如来の手のなかで遊んでいるに過ぎない。うろ覚えだから間違っているかもしれないが、娯楽の少ない時代に育ったから、印象が深い。
 去年の春先のことである。
「昔、唐の時代『玄奘三蔵』という高僧がインドへ経典を取りに行ったでしょ。あれと同じように、今度は日本からチベットへ経典を取りに行く話があるの、一緒に行かない?」
 ロサンゼルスのコンピュター教室で知り合った友人にいわれたとき、行く気になったのは、このような子供のころの思いがあったからである。
 しかしチベットについての認識は、インドへ亡命しているダライ・ラマ十四世、ポタラ宮殿、そして非科学的なことで指導者を決めてしまうので有名なダライ・ラマ探し。五体投地をしながら巡礼をする民。マニ車と呼ぶ円筒を一回まわすと経を読んだことになるとか、ラマ僧の描く曼荼羅絵、鳥葬、ヤクの乳で作ったバタ茶を飲み天幕に住む放牧生活。世界で最も高地にある秘境の国、首都はラサ。すべてテレビのドキュメンタリー番組で知り得た程度の知識である。
「ところで、チベットは独立国?」
「中国自治区よ。この旅行は中国政府が絡んでいるの」
 面白いと思った。「で、いつごろ?」
「今年の六月中旬、名古屋の某寺の住職がチベットのお寺から大乗経典を貰われるから、それをみんなで手分けして持って帰ってくるの、総勢十五人程かな」
「お釈迦様はインドなのに、なぜチベットに経典があるの?」
 聴けば聴くほど疑問が湧いた。
「炎熱熾烈なインドでは永く保存させるのは不可能らしい。六、七世紀ごろインド仏教が衰退しチベットへ経典を運び、時の指導者が保護して栄えたということだけど」
 友人はコーヒーを飲みながら私の顔をじっとみて、いった。
「ところで、日本のお寺は何宗?」
「仏教よ」
「宗派があるでしょ。浄土宗とか、日蓮宗とか、禅宗とか」
「天台宗密教なの。そのお寺には修験道場もあるしね」
「修験道といえば、険しい山道を昼夜歩き回って修行する、あの山伏?」
 話が飛躍した。
 白装束に小さな角型を頭に載せて袈裟をかけ、ほら貝と杖を持ち、四角い箱を背負っている山伏。たしか、兄の源頼朝に追われた義経や弁慶たちが奥州の藤原氏をたよって行ったときも、山伏の格好をしていた。白だか黒だったか装束に記憶はないが、安宅の関を越えるとき、弁慶が主人の義経をむち打つ場面は歌舞伎の『勧進帳』で有名だし、テレビや映画の時代劇で観たことがある。
 山伏は、はるか昔の話で、いまの世の中にいるとは信じようもなく……。
 山伏と仏教の関連性、名古屋の某寺がチベット寺院から経典をもらうまでの経緯などを尋ねたが、話は、私の頭のなかでもつれた。
 こんなことを小耳に挟んだ。熱心なチベット仏教徒として知られる俳優のリチャード・ギアはじめ、ハリソン・フォード、ジュリア・ロバーツなど名だたる俳優たちがダライ・ラマ14世の人柄にひかれ、チベット支援のキャンペーンをしていると。
 過日、数年前に公開された映画ブラット・ピット主演『セブン・イヤーズ・イン・チベット』を観た。一九三九年、オーストリヤの若き登山家ハイリッヒ・ハラーはヒマラヤ山脈へと向かう。そして激動のチベットで若きダライ・ラマ十四世の家庭教師となって七年過ごす。一人の登山家の数奇な運命を実話にもとづいて作られた映画であった。
 書店でチベット関係の旅行誌を探したが見つからない。インターネットで情報を集めようとしたが、満足のいくものではなかった。
 とにかく、行ってみなければわからない国への興味が高まったこというまでもない。
 ややこしいことはどうでもいい。またとない機会だ。私は、なにがなんでもチベットへ行こうと思い立った。
 ところがである。
 SARS問題が起こった。
 テレビニュースに映し出される街行く中国の人たちはみんなマスクをしている。
「やばい!」
 案じた通りだった。チベット旅行は中止になった。友人からの音信も途絶えた。
 が、今年の六月になって、再び話が持ち上がったのである。
              つづく

               

 

編集後記

 最初、長く感じた1時間半のヨガ教室はあっという間に過ぎるようになってきました。

《今週お薦めのジャズ》
あまりにたくさんのアルバムがあるので、気に入った曲をブックマークする機能を使い、聴いています。
でもこの聴き方だと同じようなタイプの曲を選んでいることに気づきます。
今週のおすすめはDon Friedman(ピアノ)のアルバム“Circle Waltz“です。7曲の中の”I Hear A Rhapsody”という曲が特に好きです。

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Zakkaya Weekly No.547

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
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