【前書き】:日本に『rasin(季刊ラシン)』(イカロス出版社発行)という季刊誌(年4回発行)があります。『rasin』とは羅針盤の羅針のことのようで、「海外で人生を遊ぶ、おとなの旅行誌」なのだそうです。
数ヶ月前、私はこの雑誌から取材を受けましたが、今度、9月10日発行の「2004年秋号」に私のインタービューが載っています。もし書店で見つけたらご覧ください。
私が日本のアメリカ現地法人に勤務していた時、私の秘書の女性から聞いた話です。彼女は日系二世で、普段は英語の生活ですが、日本からの出張者が来た時などは片言の日本語で応対をしていました。
彼女に言わせると、日本の親会社の某役員ほど扱いずらい人はいないのだそうです。私が見る目では、この某役員は決して威張らず相手を思いやる心を持った紳士であり、なぜ彼女にとって扱いずらい人なのか理解できませんでした。
彼女の言い分は次の通りでした。「あの方は、 『結構です』 か 『結構ですね』 が口癖なんです。私が 例えば 『お茶はお飲みになりますか?』、『ケーキは?』、『車の手配は?』 等、何かを尋ねると、答えはいつも 『結構です』 か 『結構ですね』 なんですよね。 私には “YES” なのか “NO” なのかぜんぜんわかりません。」 ――― 言われてみれば、確かにまぎらわしいですよね。
そう言えば私の友人に 「いいよ」 が口癖の男がいて、何を聞いても一言、「いいよ」 だけしか言わないのです。
でも私には、今の「いいよ」 は OKを意味する「いいよ」で、今度の「いいよ」は 断る意味の「いいよ」だと言うことがいつもわかりました。どうして区別がつくかと言うと、その場の雰囲気や彼の言う「いいよ」の発音や抑揚の付け方ほかで判断していたのでしょう。
日本語って言葉や単語一つでも、言い方によって正反対の意味になるのだから面白いですね。――― こんなお話は如何でしたか? エッ?「いいよ、結構デス」? その 「いいよ」と「結構」 は どっちの「いいよ」で、どっちの「結構」?!
河合将介(
skawai@earthlink.net )
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