Zakkaya Weekly No.420
Ryo Onishi                                      5/30/2004

雑貨屋のひとり言 さくらの独り言 川 柳 & コント バックナンバー
成岡流お酒の楽しみ方  河合さんの・・・ 森田さんの・・・ 健康のお話 雑貨屋ホーム

携帯電話を使い決済したり、鍵を開けたりといった便利な機能が、次々と考えられ実用化されてきています。機能の高度化が進むとこれを悪用する人も現れます。携帯に頼りすぎるのもちょっと危険ですね。携帯を手放せなくなった現代人は、無人島に行っても持っていくのでしょうね。(R.O.) but_up.gif (232 バイト)

150年前の日本開国

(その3)――― ジョン・万次郎とラナルド・マクドナルド(1)
幕末のペリー来航と日本開国交渉について本を読んだり、インターネットで調べていると、多くの関係者の名前に出会います。

私はこれらの人物の中でも日米交渉の裏方で活躍、または影響を与えた二人について大いに興味を持ちました。 それは中浜(ジョン)万次郎とラナルド・マクドナルド(Ranald MacDonald)です。

☆ 中 浜 ( ジ ョ ン ) 万 次 郎 に つ い て 
当地ロサンゼルスにある「全米日系人博物館(Japanese American National Museum)」では昨年から今年にかけて、日米関係150年記念行事のひとつとして「中浜(ジョン)万次郎展」が開かれました。

アメリカ本土に滞在した最初の日本人と言われている、漁師の万次郎は1841年、14才の時に土佐・中ノ浜から出漁しましたが、嵐で遭難し無人島(現在の鳥島)へ流されます。

143日間にも及ぶ無人島での生活を救ってくれたのは、米国の捕鯨船「ジョン・ハウランド号」でした。

船長のホィットフィールドは、救助した日本人5人をホノルルに連て行き上陸させ、さらに5人の中でも一番若く、献身的に仕事をこなす万次郎をアメリカに連れてゆきます。

万次郎は「ジョン・ハウランド号」の名前をとって、ジョン・マンというニックネームもつけてもらいます。そして1843年5月、万次郎は米国本土(マサチュウセッツ州・フェアヘブン)に到着します。

その後、万次郎はホィットフィールド船長の養子なり、学校にも通わせてもらい、英語を完璧に話すようになります。

アメリカ大陸で3年5ケ月滞在の後、万次郎は日本に帰国しますが、途中カリフォルニアに3ケ月ほど滞在、カリフォルニアで金鉱を発見して作ったお金をもとに、ホノルルにいた仲間と共に日本に帰りつきます。

日本にたどりついた後も長い取り調べ、さらに牢屋にも入れられ、さらに2年の月日を費やし(家を出発してから帰宅するまで何と12年近くの歳月でした)ようやく故郷・土佐に帰るのですが、久しぶりに故郷に帰ったのも束の間、黒船の出現により江戸へ行くこととなります。

彼はペリー艦隊が来航した時は日米交渉の現場にも行っています。ただし、彼はアメリカで教育を受けたと言う理由で公式の場に出ることが許されず、隣室に控えて影で日米交渉に協力していたのだそうです。

そしてその後も万次郎は(土佐中ノ浜出身なので“中浜万次郎”と名乗り)文明開化の嵐が吹き荒れる中、軍艦教授所の教授に任命されたり、英会話書を書いたり、航海書の翻訳も行ったりと様々な活躍をすることとなります。

土佐の漁民の子であった万次郎が数奇な運命に翻弄されながらも、日本開国に関し影の立役者の一人として日本の歴史に名を残したわけで、運命の不思議を感じざるを得ません。
――― 次回へ続く ―――
(以上はインターネットに掲載されていた各種資料から引用、参考にさせていただきました)
河合将介(skawai@earthlink.netbut_up.gif (232 バイト)

 

“ゆい”と発音する「結」には、色々な意味がある。そしてまた「結」の漢字を使った言葉には、私にとって意味深いものが多い。光村教育図書出版の漢字学習辞典によるとこの「結」は、『蚕の吐き出す糸と入れ物に蓋をかぶせる様子の吉とを合わせたなりたちで、入れ物に蓋をして糸でかたく結ぶことを表しており、結ぶ、つなぎ合わせる、かたくむすぶ、集まって一つのものをつくる、締めくくる、まとめ、おわりなどという意味を持つ。物を束ねて固く結び合わせることから、物事以外を結びつけること、そしてその結果しめくくることの意味にも使用されるようになっているということだ。私たちの身辺、日曜の生活に、案外この「結」が多く存在している様な気がする。

「結」の組み合わせでよく使用される漢字約204個ほどの中で、代表的なものを羅列してみると、結ぶ、結印、結縁、結果、結核、結局、結句、結願、結構、結合、結婚、結実、結社、結集、結晶、結成、結束、結託、結団、結末、結論、完結、帰結、起承転結、終結、集結、妥結、団結、直結、締結、凍結、氷結、連結、結納、結肌帯などがある。多くは、約束事や信頼という、人と人の、力と力の、心と心の、そんな有形無形の重なりや融合に深く関係していることがわかる。糸という字の原型が「糸糸」で一字であったことからも、あの蚕の細い細い糸の様な人間のもろい心というものが、重なり合ったり、支えあったり、共にあったりすることで強い一つの糸になるものだと勝手に連想したりもする。

ところで、テレビ嫌いの私がたまたまスイッチONにしたTVでは、この「結」に関連する番組が放映されていた。世界遺産の合掌造り集落で知られる岐阜県白川村萩町で行われた昔の風景を再現した「田植えまつり」だった。春のうららかな日、かすりもんぺ姿に紅だすきをかけてヒノキ傘をかぶった女性が、合掌造り家屋の前の水田へ入っていく。「チョボン・チョボン」という合いの手で始まる田植え唄にあわせて稲が植えられていく。これは、飛騨地域で昔から受け継がれている互助扶助の精神「結(ゆい)」というものを、後世に伝えようという目的で、18年前から白川郷環境協会が毎年開催している町の行事という。また、この「結(ゆい)」を沖縄弁では、“ゆいまーる”と呼び、平和・共生・自立の精神を意味するという。

「結」という字は、おみくじでいうところの“吉”を糸で結ぶ意味だろうと、大きな勘違いをしていた無知な自分を恥じている。今では、「結」とかいて“ゆい”と呼ぶこの音にも、なんだか不思議な響きと運命(さだめ)みたいなものを感じる。私たちの生活を見渡すと、見えるもの、見えないものに、この「結」(ゆい)がたくさん存在しており、それは信じるということや約束ということを形にしたりまとめたりする場合、また、気がつかない間に季節が変わるような無意識の領域分野でもあるのでは、と思う。そしてそれはまた、人間は独りぼっちなんだが、独りでは生きていない、生きられないということも含んでいるのだ、とも思う。「結」と書いて“ゆい”と読む、うん、いい響きだなあぁ、と呟くさくらの独り言。
kukimi@ff.iij4u.or.jpbut_up.gif (232 バイト)

 

川 柳 & コント(東京・成近)

( 川 柳 )

誕生の五匹子犬の運不運

ホームローン知らない猫のいい眠り

ブランドに透けてタヌキの尾がチョロリ

茫々と老虎千里を駆けた夢

朱鷺舞った日本の空の回想記


( ニュースやぶにらみ )

「日朝間の距離」
アメリカ経由でなお遠い −小泉首相

「読書」
脳内革命を読んだか、やはりバカの壁 −凡夫

「参議院選挙に出馬」
♪わかっちゃいるけど やめられね〜 −青島幸夫

(東京・成近) E-mail nakawai@adachi.ne.jpbut_up.gif (232 バイト)
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

連載短編小説  花惑い(2)
                          
 帰宅の遅い浩二を待ちながら、このごろ道代は、週三日出勤して浩二の会社の経理
書類を家に持ち帰って、整理することが多くなった。
 が、書斎に入ってパソコンを立ち上げたが仕事をする気が起きなかった。道代は読
書でもしようと、読みかけの塩野七生の『ローマ人の物語[』をひらくと、裏庭で物
音がした。道代はぎくりとした。書斎の窓から外をうかがうと、うちをテリトリーに
している野良猫が一匹うろついていた。再び読書をしようとしたが身がはいらない。
道代は居間のテレビにスイッチを入れた。が、それも画面をながめているだけで落ち
着かなかった。
 どこから紛れ込んだのか暖炉横の観葉樹の鉢植えからコオロギが鳴き出した。虫の
音は道代の胸に郷愁をよびおこした。日本に住む母の声が聴きたくなり、受話器を持
つとプッシュホンを押した。
「あ、道代か、みんな元気でやっとるねぇ?」 
 広島弁の母の声が聞こえると、道代は涙が溢れそうになった。
「元気よ。おかあさんは?」
 といって、泣き出しそうになった道代は、
「あっ、ごめんなさい。いま誰かきたみたいだから、また電話するわ」
 と、あわてて電話を切った。涙声を聞けば母は心を痛めるにちがいない。
 道代は時計ばかり見ていた。
 十二時になった。
 ガーディナ辺りのバーで飲んでいるはずだから、三十分もあれば家に着く。もう少
しの辛抱と思ったが、道代は待てなかった。思い切って由香に電話をした。
「夜中に電話して申し訳ありませんが、由香さん、浩二は高木さんと何処へ行ったか
ご存知ないでしょうか」
 道代は恐縮する思いで訊ねた。と、
「浩二さんなら、ここにいらっしゃいます」
 歯切れのいいハイボイスが跳ね返ってきた。
 道代は、ハッとなった。
 思わず受話器を胸に押し当てていた。受話器から、浩二の声がする。
「おい、どうした? 何かあったのか」
 悪びれたようすもない浩二の声だった。
 その声は、由香と俺はなんでもないよとでもいいたそうに堂々としている。
「どういうことです、これは?」
 返事がなかった。
「あなた、そんなに家に帰りたくなければ、ずっとそこにいたら」 
「―――」
 死んでやる。道代はとっさに思った。
 あの二人は一生、十字架を背負い続けるだろう。当然の報いだ。
「もう、あなたとは生きて逢うこともないでしょう。さよなら、バァーイ」
 受話器を置く道代の手が震えていた。
 考えてみると、夫にやましい気持ちがあれば、ひた隠しに隠そうとするのが妻に対
する思いやりではないか。だとすれば、あの二人は潔白? バカな。由香も由香だ。
たとえ浩二がいたとしても、道代には嘘をつくのが普通の女のすることではないか。
まるで勝ち誇ったように。           
 由香がうちにきた時だった。
「奥様、奥様」だとかいって道代を持ち上げて、自分のしていることはまるっきり口
とは裏腹ではないか。どんな了見をしているのだろう。おまけに、車の急発進事故を
起こして浩二に泣きついてきた。浩二は道代にこういったのだ。
「困ったときはお互いさまだよ。助けられたり助けたり、身内のいない異国で暮らし
ていると当然じゃあないかね。俺だって、ずいぶん人様から世話になっている。お前
だって同じだろう?」
「なぜ高木さんに相談しないのかしら?」
 高木が由香に好意をいだいているのなら喜んで相談相手になるはずだ。浩二の態度
が不自然に思われ、道代は苦情をいつた。
「お前は何も分かってない。由香が高木に頼むと義理ができて断りにくくなるから、
少し距離をおきたいというのだ。そんな女心が分からないのか」
 浩二は道代をとがめ、もっともらしい言い訳をした。
 人の親切を逆手にとって、ひょっとすると高木との結婚話は、浩二に近づくための
由香の作り話だったのではないか。まちがいない。間抜けで迂闊だった自分にも、 
 浩二も由香にも、道代は憤りがこみ上げてきた。
 道代はじっとしておれず、ふらっと立ち上がった。浩二がいつも飲んでいるロイヤ
ル・サルートの瓶を掴み、片手にグラスを持った。居間のコーヒー・テーブルに置く
と、道代は琥珀色の液体をグラスにいっぱい注いだ。一口含むと、香りに目眩がし
た。口が火のように燃え喉が焼けつく。道代は目を瞑った勢いで喉の奥に流しこん
だ。二口目は、息を止め、口に入れると一気に飲みこむ。繰り返して飲んでいると、
頭の中が独楽のように回りはじめた。ロッキングチェヤーに座って揺られていると身
体中の血が躍りは跳ねているような気分になった。
 ――人間が人間を裏切るのは、恐怖よりも軽蔑によってである。――
 道代は読みかけの『ローマ人の物語[』に書いてあることが頭をよぎった。
 急に可笑しさがこみ上げ、道代は声を立てて嘲った。嘲笑う頬に涙が流れた。
 遠くからエンジン音が聞こえた。聞き慣れたエンジン音は、しだいに大きくなり近
づいてくる。
 浩二だ。浩二が帰ってきた。
 今夜は何もいうまい、いわないほうがいいと、睡魔におそわれはじめた道代は、し
だいに思考力がにぶっていく頭で考えていた。  つづく

森田のりえ(moritacn@earthlink.net)
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蒸し暑い一日でした。気持ちの良い季節はもう終わりですね。
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Zakkaya Weekly No.420

雑貨屋 店主 大西良衛  but_up.gif (232 バイト) zakkaya@news.email.ne.jp