昔のレシピ
ある日、クライアントさんからレシピを頂いた。昔、良く料理をしていた頃のものだそうだ。‘いらなかったら捨ててね“と言われたけれど見ていたら時代を感じさせるレシピもあり、とりあえず何枚か写真に納めた。その中で鶏肉料理がいくつかあって興味をそそられた。手書きで書かれたレシピには “にわとりの手羽 支那風” と書かれていた。昔は日本でも田舎などでは鶏を一匹、丸ごと料理するのは珍しい事では無かったようだ。シナと言えば昔、広州の自由市場に行った時に見た光景は驚きだった。
鶏を初め豚やら何の動物かわからないけれど一匹丸ごと露店の軒先にぶら下がっていて気味悪く早々に退散した。本当は旅行の予定には無かったのだけれど中国人の日常生活が見たいという事で現地の添乗員に特別リクエストして連れて行ってもらったのだ。ユタに引っ越した友人も日頃見ていたLAのコストコのストアーと違ってユタのコストコは肉のセクションで牛がそのまま、ぶら下がっていたのを見て仰天したらしい。モルモン教が多いユタ州では家族や親せき、教会の結びつきが強く皆で集まって会食する事も多く買い出しして皆で牛一頭を解体し貯蔵しておくらしい。
田舎の方では、そういった食料を長く保存、貯蔵出来るスペースが個人の家でも確保されている所が多いのだそうだ。私の場合、魚でも鶏でも豚でも、そのオリジナルの姿が残っているものから料理する事は苦手だ。
そして、もう一つのレシピは何かの雑誌の切り抜きだろうか、どこの家庭でもよく使われていた“ほんだし”の広告が掲載されているページに “鶏手羽先の香味揚げ” が載っていた。こちら日系人のキッチンには大抵、この味の素の “ほんだし”が置いてある。
そして醤油はキッコーマンが定番だ。
次に見つけたのは古そうな新聞の切り抜き。日付が左から読むようになっていて
1955年6月2日の日付になっている。漢字にふり仮名がふってあるものもあるけれど読めない漢字もある。このレシピには “チキンのおでん”
と書かれてある。
今は冷凍食品やドライフードの技術も進み加工食品もたくさん出来、主婦の人達には
料理が楽になったと思うけれど、この時代の主婦は毎日、買い物かご(今で言えばマイバッグ)を持って毎日その日の食材を買いに行き、毎日考え料理をしていたのだろう。
何だかそんな平和な時代が懐かしい。
茶子 スパイス研究家 |