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1091号

NO.1091     Ryo Onishi              4/9/2017

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雑貨屋のひとり言

4月は新しいことが始まる月です。皆さんの服装も風景も変わります。てるみくらぶに入社が内定していた方たちは倒産騒ぎでとんでもない人生の始まりでしたが、救いの神(会社)が現れてほんとうによかったですね。3歳の孫も明日から幼稚園に行くことになります。関西は桜の開花がすこし遅れていたのでこれからでも楽しめるかもしれません。≪R.O≫

 

 日本の美点を残しつつ

私は当地ロサンゼルスを中心とする日系バイリンガル新聞である羅府新報の『磁針』欄に、ほぼ月一度寄稿をしています。ここで磁針寄稿250回を迎え、これまでの寄稿文を整理しています。

ほとんどの文章は当、雑貨屋ウイークリーに投稿しているコメントですが、『磁針』のほうはロサンゼルスを中心に滞在している日本人や日系人を対象にしており、また紙面の都合上、文字数に制限があり(860文字)、雑貨屋用とは若干ニュアンスが異なった書き方、内容になっています。そこで時折、磁針寄稿文をここにも連載させていただき、ご参考に供します。

『日本の美点を残しつつ』(磁針寄稿文、1997年10月掲載)』
「閑(しずか)さや 岩にしみいる 蝉の声」(松尾芭蕉)――俳句は日本人が持つ感性の豊かさを示すものであり、私達日本人は俳句に欧米的な理屈を当てはめることはしない。

殆どの日本人はこの句をみて“蝉が鳴いているのになぜ閑(しず)かなの?”“堅い岩にどうしてしみ込むの?”“蝉は何匹?”“だからそれが何なの”等々、理屈をこねたりせずすんなりと受け入れているのが普通ではないだろうか。

日本人は、どちらかというと一語一語の奥に広がる宇宙を想像し、楽しむ事が得意な民族のようだ。所謂日本的発想とは、欧米的な理詰めで分析・細分化していくのではなく、むしろその逆で見えない又は表に現われていないものも含めて、全体を心とか感性で捉えようとする発想にあるのだろう。

特に「感性」を重視するといわれる俳句の世界では尚更のことだが、俳句のような短い形式の表現だけでなく日本人の日常会話でも「省略」の多いのが、日本語の特徴の一つであり、例えば「こんにちは」、「さようなら」などはそれぞれ「今日は...」 「左様ならば...」を省略したものといわれている。

「チョベリグ=超Very Good」、「チョウB.M.=超バカ丸出シ」、「M.M.=マジ・ムカツク」 なんてのも この系列かもネ(=かもしれないネ)
日本人は基本的に均質化した島国民族といわれ、お互いの常識にそれほど差がなく、こまかく言わなくとも理解し合えるので言葉を省略しても互いの「察しの良さ」でカバーしてしまう、これはこれで日本人の誇るべき美点になっていることは確かだ。

しかしもはや一国孤立主義は許されない日本にとって、多くを語らなくとも互いに理解し、察しあえるという素晴らしい日本古来の美点も、一旦海外に出ると、今度はそれが大変な誤解の根源になり、「あの日本人は一体何を考えているのだ」といわれ、ひどい時は「完全無視」され泣きたい思いの経験をされた方も多いのではないだろうか。

日本的発想の美点は残しつつ、国際社会の中で尊敬され生き続けるにはどうすればよいか、日本が21世紀になっても生き続けるための私達に与えられた重要テーマの一つのようだ。

河合 将介( skawai@earthlink.net )

 

    

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )


こんな絵の何千万が頷けぬ

贋作の壺とは知らぬ床柱

ホールインワン記念ボールがよく喋る

妻の絵も愛嬌居間に飾られる

我が家のは無手勝流という花瓶


( ニュースやぶにらみ )


「ミサイル59発」
ゾーッ −日本海

「宅配便年間18億個超」
繁殖危惧種…クロネコ −日本郵便KK

「ウインドウズを抜いてOS首位」
MSはマイクロストップの略 −アンドロイド



河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

龍翁余話

龍翁余話(471)「散る花を 惜しむ心や とどまりて・・・」

翁は、桜のこの時期には、近場のJR五反田から大崎にかけての目黒川両岸の桜、目黒区の碑文谷(サレジオ教会付近)の桜並木、碑文谷から東急目黒線の西小山駅に抜ける桜堤遊歩道、西小山駅周辺の桜並木がお決まりの“花見スポット”だが、時々は、千鳥ヶ淵、靖国神社、市ヶ谷や四谷の桜堤まで足を延ばすこともある。が、考えて見れば“上野公園の桜”の現物を見たのはいつだったろうか?確かに見た記憶はあるのだが、もう、かなり遠い昔だったような気がする。去る6日の朝のテレビで「満開の上野公園の桜」を視た。
先週号の『西行桜』が、まだ翁の脳裡を往来していたので「よし、俺も西行に倣って1句作ろう」と思い立ち、電車に乗った。うららかな春の陽射しに背中を押されて・・・

6日の昼前、上野駅(公園口)の混雑ぶりは狂騒そのもの。数人の駅員が「押さないで!」「花見のお客様は信号を渡って直ぐに左方面ですよ!」と大声を張り上げ誘導している。
“ウイークデーというのに、何と、暇人の多いことか”翁もその1人だが・・・  

徳川家康の側近・天海大僧正(安土桃山時代から江戸時代初期にかけての天台宗の僧侶)が吉野山から移植させたと言われる上野のお山の桜は、江戸時代から桜の名所として知られ、現代では毎年200万人を超える(内外からの)花見客で賑わう。公園の中心部に立ち並ぶソメイヨシノは約800本だそうだが、歩いていると、とうていその程度の数ではないような“サクラ・ワールド”が広がる。昼間のせいか、ドンチャン騒ぎが無いのがいい。

翁が上野公園を訪れるたびに必ず参拝するのが『清水観音堂(きよみずかんのんどう)』(重要文化財)。京都の清水寺をモデルに天海大僧正が1631年(寛永8年)に創建した。2日後の8日の花祭りを控え(不忍池を見下ろす)舞台に『花御堂』が設けられ、花見客が次々と(花御堂の中に立つ)お釈迦様像に柄杓で甘茶をかけお祈りしていた。♪心の花も咲き匂う 卯月八日の花祭り 幼な姿の御仏を 浄め祀りて 祝(いわ)わなん(釈尊花祭御和讃3番)。翁もお祈りをして甘茶を頂戴した。甘茶をかけるのは、お釈迦様が生まれた時、9匹の龍が現れ「甘露(天からの祝福の雨)を降り注いだ」という伝説に基づくものだそうだ。甘茶とは、ヤマアジサイの1種で山地に生え、葉を乾かすと自然の甘味が出る。

『上野東照宮』入り口の大石鳥居周辺も大勢の外国人見物客が押しかけていた。この社は戦国時代から江戸時代初期にかけての大名で伊勢津藩の初代藩主、藤堂高虎が天海大僧正と図って1627年(寛永4年)に建立したもの(御祭神は家康・吉宗・慶喜)。翁は境内の御神楽殿の桜に魅せられた(写真右)。

上野公園桜見物のフィナーレは『不忍池』(弁天島)だ。ここも人が溢れていた。七福神の紅一点・弁天様を祀る『弁天堂』から池の中を御徒町方面へ走る道(翁は“弁天中之道”と呼んでいる)の桜並木が、また一段と鮮やか(写真右)。翁が1本の見映えのいい桜の木を見つけ(写真中)カメラを構えた途端、中国語、韓国語、タガログ(フィリピン)語の見物客が次々と(立ち入り禁止の)柵をまたいで、その木の下に立ち自撮りを始めた。癪に障ったが“俺が気に入った桜木を、彼らも気に入った。なかなか見る目がある連中だ”と妙に感心して(彼らが立ち去るのを)辛抱強く待った。

さて、西行法師に倣って翁も1句、と気負っていたが、シロウトがそう簡単に詠めるものではない。風に吹かれてヒラヒラと池に散る花びらを見て西行の句を思い出した。【散る花を 惜しむ心や とどまりて また来ん春の 種(たね)になるべき】(散る花を惜しむ気持ちは消えたりせず、来年の春、再び巡り会いたい)(龍翁の訳)――まさに今、翁の切実な願いは“来年の春に、また”である・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

 

茶子のスパイス研究

パロスバーデス ハイキングトレイル

この時期になるとサウスベイの渓谷やハイキングトレイルは一斉に菜の花(マスタード)に覆われて明るくなる。道端に咲くワイルドフラワーもこの時期にしか咲かない珍しい花があちらこちらで見られる。
サマータイムに変わって日が伸びて日差しも一層明るくなった途端、ハイキングに参加する人が増えた。私と同じように今まで冬ごもりしていた人も、この陽気に誘われて、今日は歩いてみようという気になるのだろう。太陽の光は人の気分にさえ影響を与えるものだ。海岸沿いの風は、まだ冷たいけれど少し汗ばんだ肌には気持ちがいい。背丈より大きく伸びた草花をかき分けながら海が見えるトレイルまで歩いた。歩きながら先日バードウオッチングに参加した時の事を思い出した。どんな鳥がどんな鳴き方をするか解説してくれた。自然の中で耳を傾けると鳥たちは様々な音色を奏でている。その音色を聞き分け今鳴いたのは、この鳥だとカメラで撮った写真を瞬時に見せてくれた。
そこまでのテクニックは無いけれど見えない鳥の姿を想像しながら歩くのも楽しいものだ。これから数週間、パロスバーデスの山々は一年で最も輝く私の一番好きな季節だ。

茶子 スパイス研究家

 

さくらの独り言「織る」

咲いた、咲いた、桜が咲いた! 隅田川ほとりの桜が、や〜っと咲いた! あ〜、待ち遠しかった。昨年より遅咲きの今年、それでもやっぱり桜の花はいいものだ。連日の強風にもめげず凛としている。これから始まる季節を創っている桜色、集う皆が桜色に染まっている様に感じる。桜を材料に桜色染めに成功した人の話によれば、桜の木、樹皮や芯材、小枝、花芽、緑葉、紅葉、そしてはなびらに至るまで“さくら(ピンク)色”に染まろうとする力を持っているらしい。そんな桜で染めた糸で、何かを織りあげることができたら、どんなに素敵だろう、と、ボタンつけも満足にできない私が、染織なんぞに思いを寄せる。

毎年、元旦には、その年の思いや祈りを一字で表し、それを、お屠蘇を頂きながら夫婦・家族で披露することにしている。今年の私は、“織る”を選んだ。染織家・紬織の人間国宝であり、随筆家であり、そして教育者でもある志村ふくみさんの言葉、「織りものの経の糸が伝統、緯の糸が現在、それを今、自分は織っている」が、私の心に響いたからだ。昨年11月、私は世田谷美術館へ行った、志村ふくみさんの展覧会を観るために。展示では、代表作を中心に、初期の作品から最新作までの約100点近く、彼女の60年に及ぶ創作の歩みが紹介されていた。草や木の自然染料で染められた糸は、まるで天から差し込む陽の光の様で、その糸を経緯に織って創り上げられた作品のどれもが、力強く、優雅で宇宙さえ感じるものだった。植物から、こんなに鮮やかで華やかな色が生まれるものだろうかと、私はその美しさに激震さえ感じ、そのまま吸い込まれる思いだった。その時、私は決めた。2017年、自分の一字は“織る”にしようと・・・。

ところで、志村ふくみさんは染織を工芸から芸術へと昇華させ、2013年に『アルスシムラ』という染織専門の学校を、娘さん、お孫さんと共同で設立している。アルスとは、ラテン語で「技術」や「芸術」を意味し、この学校は「知性と感性を活かして物づくりをする開かれた芸術教育の場」を目指し今日あることで注目されている。志村さんが大きな影響を受けたとされるお母様は、昭和2年、滋賀県近江八幡市に、滋賀県で最初の私立小学校『昭和学園』を設立した一人と言うから、志村さんの“美を求める、創る、そして伝える”という教育の志や使命は、幼いころから既に培われていたのだと確信する。彼女の後進となる娘さん、志村洋子さんの言葉にも魅せられるものがある。「染織は、その殆どが糸との関わりで成り立っている。糸に色を染め、整経(糸を縦に整えること)をし、機に掛けるまでの間、糸を絞り、括り、伸ばし、巻きつけ、最後に織る。その間、幾度となく糸はもつれたり切れたりする。でも、根気よく直していくと、一筋の道が見えてきて、辿るべき方向がわかる。糸が裂(布)になるまでの行程は、どこか人の生き方と似ている」と。

そもそも私が、志村ふくみさんや『アルスシムラ』を知ったのは、大学時代の親友の話がきっかけだった。彼女は熊本県天草市の公立小学校勤務、教頭を辞職し、昨年春からこの『アルスシムラ』で第二の自分の人生を歩き始めた。その彼女が最後に勤めあげた小学校は、なんと、私が大学院へ行くために教員を辞めた時と同じ小学校だった。彼女がその学校で勤務中共に活動したP.T.A(父母会)会長が、これまた私の教え子だったというから、世の中の糸はどこまでも繋がっている、とはまたまた不思議。便利になった私達の今の生活を見渡すと、“コードレス”だらけだな。でも、見えない糸でも、見える糸でも、そこには熱いものが通っていて、人は誰でも、過去と未来を経緯に、今、それぞれの命や心を織っているんじゃないかな、時には独りで、時にはだれかと・・・っと呟く、さくらの独り言。

 

ジャズライフ−今週のお奨めアルバム

最近は2か月の孫の泣き声と3歳の孫のわめき声が聞こえる生活で、ジャズをゆっくり聴けていませんでした。ゆっくり聴くジャズを探してみました。
ヨーロピアン・ジャズ・トリオのメンバーであるMarc Van Roonのアルバム"Solo Ballad Project"がありました。タイトル通りソロピアノでゆっくり落ち着いて聴けるジャズです。気品の高い音楽性を感じるアルバムです。

"Solo Ballad Project" Marc Van Roon

01-Like Someone In Love
02-Cinema Paradiso (Love Theme)
03-I Still See You (Theme From 'The Go Between')
04-A Time For Love
05-Body And Soul
06-Once Upon A Summertime
07-We'll Remember Ton
08-It Could Happen To You
09-Bewitched, Bothered And Bewildered
10-Someday My Prince Will Come
11-My Funny Valentine
12-It Never Entered My Mind
13-Both Sides Now

ジャズアルバムの紹介リスト
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm  
《R.O.》

 

編集後記

私たちが通っているスポーツジムがオープンしたころから土曜日朝のヨガクラスを担当されていた講師が昨年の夏、腫瘍が見つかったので長い間、休講されていました。それを克服しこの4月から復帰されました。個性的なクラススタイルと元気な笑顔は以前とまったく変わっていませんでした。1時間インナーマッスルをばっちり鍛えたので終わったあと姿勢が良くなった気がしました。

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Zakkaya Weekly No.1091

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
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