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1090号

NO.1090     Ryo Onishi              4/2/2017

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雑貨屋のひとり言

優勝を目前にしていた稀勢の里が怪我で今場所は無理だろうと思っていましたがなんと逆転優勝しました。これには感動しました。あきらめない気持ちが大事だということを教えてくれたように思います。これでますます人気が上昇しますね。≪R.O≫

 

 自己主張と寡黙

私は当地ロサンゼルスを中心とする日系バイリンガル新聞である羅府新報の『磁針』欄に、ほぼ月一度寄稿をしています。ここで磁針寄稿250回を迎え、これまでの寄稿文を整理しています。

ほとんどの文章は当、雑貨屋ウイークリーに投稿しているコメントですが、『磁針』のほうはロサンゼルスを中心に滞在している日本人や日系人を対象にしており、また紙面の都合上、文字数に制限があり(860文字)、雑貨屋用とは若干ニュアンスが異なった書き方、内容になっています。そこで時折、磁針寄稿文をここにも連載させていただき、ご参考に供します。

『自己主張と寡黙』(磁針寄稿文、1997年9月掲載)』
例外も勿論多いが一般にアメリカ人ってホントに自己主張が上手だ。アメリカ人の自己主張好きに関しては、その文化的・歴史的背景について色々な解説書が説明してくれているが、やはり子供の頃の躾(しつけ)と教育による部分が大きのではなかろうか。日本生まれの日本人である私自身、子供の頃を振り返ってみるに、親や学校の先生には絶対服従で、口答えなどとんでもない事だった。その同じ頃、アメリカの家庭・学校では、多分「自己主張も出来ないでどうするの!」という躾と教育がおこなわれていたであろうから、今日になって私がアメリカ人相手に下手な英語をひっさげて頑張ってみても苦戦の連続だ。
私自身は「謙譲の精神」こそ人類究極の美徳であると信じてやまない一人だが、でもやはりアメリカでは「沈黙は金」だけではだめで、時には「沈黙は禁止」が必要だ。言うべき事ははっきりと言う――これがコミニュケーションの第一歩であり、特に異文化交流の原点だろう。アメリカのような所では自分の考えをはっきり言わないと理解してもらえない。(但し、無理にイエス/ノーを都度言う必要はなく、日本はファジー文化なのだから意見がファジーでも構わないと私は思っている。但しファジーだという事をはっきり相手に伝える事は重要だ)
異文化交流といえば、普通は外国人との交流を思い浮かべるが、何も外国ばかりが異文化とは限らない。現に私など同世代のアメリカ人を相手にするより、世代の離れた日本人とのカルチャーギャップのほうが 余程ショックは大きく感じる。
異文化交流の最小単位は、夫婦の関係だとよくいわれる。男と女という異文化に加え、もともとはお互いどこの馬の骨とも知らない同志が、なんの因果か共同生活をするのだから、大変な異文化交流だ。
我が家の居間で、私がこの小文をワープロ叩いて作成している所を覗いた私の妻曰く、「その題名にある『日本人』、『アメリカ人』を それぞれ『亭主』、『女房』に 置き換えてみたら・・」 そこで、素直なわたしは、いわれた通りにしてみた。−『亭主は女房の自己主張に疲れ、女房は亭主の寡黙に苛立つ』− あゝ・納得。

河合 将介( skawai@earthlink.net )

 

    

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )


幻の蝶かも図鑑繰っている

温室で咲いて蝶さえ知らぬ花

揚羽蝶 毛虫の過去を消したがり

ドライフラワー蝶の情けを恋しがる

蝶よ花よと天狗一匹育て上げ


( ニュースやぶにらみ )


「「公人と私人の差」
大違いです −朴前大統領

「悲歌」
木浦港へ帰る −セウォル号

「証人喚問」
影が薄くなった −エイプリルフール



河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

龍翁余話

龍翁余話(470)「西行桜」

平年で言うと“年の始まりの月”は1月だが、公官庁や企業・団体、学校などの“始まりの月”は4月である。4月1日から翌年3月31日までを“会計年度”、“学校年度”と呼び、4月を“年度初め”、3月を“年度末”と言うことはご承知の通り。したがって4月は、自然界の“百花繚乱”に併せて人間界(産学官)も人事・事業計画・予算などの“新事業・新授業始まりの月”ということで、慌ただしくも晴れやかな“年度初め”である。すでに現役を退き八十路を超える翁でも、4月は、(慌ただしさこそないが)何となく晴れやかな“新余生の始まり”を感じる月である。それは、4月が翁の生誕月であること、桜をはじめツバキ、カスミ草、シクラメン、スミレ、チューリップ、アマリリス、パンジー、ハナミズキ、モクレンなどが処々の花園、公園、街路、路地などで見られること、プロゴルフやプロ野球のトーナメントが始まったこと、それに何と言っても翁自身がゴルフ、ドライブ、散歩、それに(4月から始める予定の)“ベランダ菜園”を楽しむのに絶好のシーズンであること、などで、かなりワクワク感を抱くのである。

昨年4月の目黒川の“ソメイヨシノ”  今年4月1日の我が家の“旭山桜”

ところで、桜の季節には、翁はいつも西行法師(1118年〜1190年、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武士・僧侶・歌人)を連想する。と言っても翁、それほど西行に詳しい訳ではないが、こよなく桜を愛し、吉野の桜をはじめ“桜の花”を題材とした和歌を数多く残した歌人であるだけに、翁は、どうしても桜の季節と西行法師が重なる。西行の初期の歌【吉野山 こずゑの花を 見し日より 心は身にも そはずなりにき】(吉野山に咲く梢の桜の美しさを見た日から桜に憧れるようになった自分の心は、果たして桜の花ほど美しいものだろうか=龍翁の訳)と、(晩年の歌)【願はくは 花の下にて春死なん その如月の望月の頃】の2首が翁は特に好きだ。“花の下”は、もちろん“桜の花の下”のこと。西行以前の歌の世界は“花”と言えば“梅”であったが、西行以降は“桜”に変わったと言われている。

西行を連想する理由は、まだある。西行は23歳にして出家、以後、心の赴くままに諸国を巡り、歌と仏道の両面から人間と自然の営み(共生の在りよう)を観察・体感し、その抒情を多くの和歌に託した。歌道も仏道もわきまえない翁ではあるが、若い頃から西行の漂泊の旅の姿に憧れていた。更に“己れの信ずるところ(心)に従う”人間・西行が何とも魅力的だったし、思い起こせば翁の半生もまた“己れの信ずるところに我在り”(翁の場合は、単なる我がまま)だったような気がする。そして翁の想像だが、西行の(形式にとらわれない)自然体の生きざま、歌への姿勢が後世の歌人たち、特に松尾芭蕉に少なからず影響をもたらしたのではないだろうか。芭蕉の『野ざらし紀行』(江戸から芭蕉の出身地・伊賀上野へ旅した俳諧紀行文)もそうだが、西行500回忌に当る1689年(元禄2年)3月、弟子の曽良を伴い『奥の細道』の旅に出た。下野(しもつけ)に始まり・陸奥・出羽・越後・加賀・越前など芭蕉にとって未知の国々を巡る旅は、西行が残した“歌枕(うたまくら)”(和歌の題材とされた名所旧跡)を辿る目的を持つ旅であった、とも伝えられている。

さて、4月の別名を卯月(ウヅキ)と言うのはご承知の通りだが、その語源を調べていたら「卯の花の咲く季節、すなわち“卯の花月”が有力な説である」とある。♪卯の花の匂う垣根に ホトトギス早やも来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ(佐佐木信綱作詞・小山作之助作曲)の歌では、卯の花は夏の少し前(5月、6月)に咲く花だから、4月の別名としては(現在の暦からすると)ちょっと早や過ぎるような気がするが、それはさておき、卯の花は、元々の名は『空木(ウツギ)の花』(アジサイ科の落葉低木)だそうだ。
そして『空木』には、もう1つ“幹の中が空洞になった老木”というのがある。そこで、更にしつこく『空木』を調べていたら、またまた西行法師に行き当たった。

世阿弥(ぜあみ=現在の能楽の礎を築いた室町時代の猿楽師)の謡曲の1つに『西行桜』がある。世阿弥が、桜好きの西行にヒントを得て歌人(西行)と花の精(桜)との絶妙なやりとりを描いた、いわば、人の心の在りようを示唆する作品。その中に『空木』が登場する。桜の季節になると京都・西行の庵の庭先に多くの花見客がやって来る。西行は、独り静かに桜を愛でたいのだが、遥々やって来た人たちを追い返す訳にもいかず、“美しさ故に人を惹きつけるのが桜の罪深いところだ”という意味の歌を詠み、(見物客が去った後)独り桜木の下で休んでいたら、いつの間にか居眠りし、夢の中に“朽ちたる花の空木より、白髪の老人(桜の精)が現れて”「桜はただ咲くだけで、桜に罪などある訳がない」と西行を諭す。夢から覚めた西行は、己れの独りよがりを恥じ“桜は万民のために在る”を悟る・・・という物語だ。

人はみな“桜”の満開に酔い、散るを惜しむ。西行は【散る花を 惜しむ心や とどまりて また来む春の 誰になるべき】と詠んだ。散り行く花を惜しむ心は皆同じだが、また来年も誰かの心となってやって来る(落花は人々を毎年同じ気持ちにするものだ)。翁もまた来年、我が家の“旭山桜”との再会を楽しみに・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

 

茶子のスパイス研究

甘酒のミラクルパワー

この数年前ぐらいから日本でも甘酒の効果について見直されてきている。母も体力が弱った時によく飲んでいた。飲む点滴とも言われている甘酒を先週、クライアントさんに試すチャンスがあった。彼女の家に行く前日のメールでは酷い風邪をひいたようで咳が止まらなく胸が痛いので何か暖かいスープを作って欲しいと連絡が入った。とりあえずチキンスープにショウガとネギが入ったものとコーンスープと梅粥を作る事に決めた。その他に何か体力がつくいいものはないかと考えてトレーダージョーズに寄ってみた。先日見かけた日本の青森産のニンニクを使ったブラックガーリックが売っていたのでそれを購入してみた。クライアントさんの家に行くとやはり酷い咳をしていた。昨晩はあまり寝られなかったようでグッタリした様子でソファに座っていた。朝食はいつもお茶と天然のダシを使ったみそ汁から始まる。それからそのブラックガーリックを一粒差し出して味を見てもらった。その途端 “う〜まずい!” と彼女の顔がゆがんだ。どんなに健康にいい事を説明しても彼女にとって、まずいものは頑として食べない。彼女の好みは、すごくはっきりしていてわかりやすい。次に日系のストアーで見つけたパウダータイプの甘酒を勧めてみた。どうやら甘酒というものを今まで飲んだ事も聞いた事も無かったらしい。初体験の甘酒に恐る恐る一口飲むと“うん、これは飲めそう。美味しいわ。”と言ってくれた。一口一口味わいながら飲んで1時間ほどたった頃だろうか、、
突然、彼女が”咳がとまったみたい。それに頭痛と胸の痛みが無くなったわ”と言った。
そんなにすぐに効くものかな〜と思いながらも私は “きっと甘酒が聞いたのよ”と言ってみた。初めはプラシーボ効果(偽薬でも信じて飲めば効く事がある)によるものなのかな〜と思ったのだが、それとも違うようだ。私達は口に入った瞬間、頭で考える以前に美味しいとか不味いとか感じる。同じ食べ物でも栄養になる人もいればアレルギー反応を起こしてしまう人もいる。食べ物と人の相性もあるのかもしれない。薬の効き方が違うように食べ物も違うのだろう。100人十色、皆、反応が違う。きっとその時の彼女のコンディションが甘酒とマッチしていたのかもしれない。
翌日、肺炎を心配していたクライアントさんからメールが入った。タイトルはThe Amazake is Miracle というお礼のメールだった。

そんな訳で今回は少し甘酒について調べてみた。甘酒は酒粕にお砂糖を入れて作るものと米糀と米から発酵させて作る甘酒があるようだ。米糀から作る場合は砂糖を入れなくても甘くなりアルコールも入っていないので体には良さそうだ。糖が上がりやすい人にもいいかもしれない。私が日系マーケットで購入した甘酒はパウダータイプでお湯に溶かして飲むタイプのもの。成分を見ると酒粕と米糀が両方ブレンドされているものだった。栄養を見るとビタミンB1,B2,B6,ぶどう糖、グルタミン、アルギニン、葉酸システイン、アミノ酸、オリゴ糖、食物繊維などなど栄養満点スーパードリンクだ。
美肌効果もあり血圧を下げたり睡眠の質を良くするアデノシンが活性化するような事も書いてあった。
この甘酒の起源を見ると何とすでに日本書記に”甘甜酒”あまのたむざけ”と記述されて登場していたようだ。何だかロマンを感じてしまう。甘酒が広く人々に飲まれるようになったのは江戸時代、夏の暑い時期は冷やして飲む滋養強壮ドリンクとして人々に愛飲されていたそうだ。その頃は甘酒売りなども町を往来していたようで夏の風物詩にもなっていたようだ。今まで冬の飲み物だと思っていたけれど冷たく冷やして飲むのも美味しそうだ。そう言えば何か月か前に甘酒が飲めるカフェがロングビーチにオープンしたという記事を見た。先日、知り合いの人がこの甘酒のお店に行ってきたそうで名刺を見せてくれた。ネットで調べるとすでに英語版でも甘酒を利用したスムージーやお菓子のレシピも数々出ていた。アメリカ人でも知る人は知っているのだな〜と感心してしまった。何年か前に日本からナチュラルエキスポに出店していた甘酒のアイスクリームがあったのを思い出した。米国でまた日本の甘酒がデビューして米国人の健康に一役買ってくれたらいいなと願っている。

茶子 スパイス研究家

 

さくらの独り言

今週はお休みです。

 

ジャズライフ−今週のお奨めアルバム

春らしいジャズをXアプリのおまかせで探していたらNat King ColeのGet You Kicks On Route 66!が出てきました。軽やかなリズムで春らしいと言えば春らしいので、この曲が入っているアルバムを選びました。Unforgettable-Deluxe Edition-です。
1曲目のUnforgettableはNatalie Coleとのデュェットです。たまにはこんな雰囲気のジャズも良いものですね。このアルバムには25曲も収録されていて、1時間13分もあります。

"Unforgettable" Nat King Cole

01 Unforgettable
02 The Very Thought of You
03 It's Only a Paper Moon
04 (Get Your Kicks On) Route 66
05 Mona Lisa
06 L-O-V-E
07 This Can't Be Love
08 Smile
09 Lush Life
10 That Sunday, That Summer
11 Orange Colored Sky
12 (I Love You) For Sentimental Reasons
13 Tenderly
14 Autumn Leaves
15 Straighten Up and Fly Right
16 Avalon
17 Don't Get Around Much Anymore
18 Too Young
19 Nature Boy
20 Darling, Je Vous Aime Beaucoup
21 Almost Like Being In Love
22 Thou Swell
23 Non Dimenticar
24 Our Love Is Here to Stay
25 Unforgettable

ジャズアルバムの紹介リスト
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm  
《R.O.》

 

編集後記

河合さんの体調が良くないようで心配ですが、必ずまたもとのように元気になられると信じています。決して無理をなさらずマイペースでやっていただければと思っています。
昨日、今日とボランティアで時間を取られていますが、その合間を縫って編集しています。

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Zakkaya Weekly No.1090

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com