龍翁余話(464)「国防意識を離島にまで広げよ」
本来、翁は、ロシアや中国(いずれも政府)に対しては狡猾・二枚舌・仁義なき独善国家として警戒しているが、またまたロシアが北方領土の無人島に(旧ソ連の将軍らの)名前を付けた。いかに小さな無人島とは言え、北方領土におけるロシアの支配を強調する狙いであることは言うまでもない。しかも、つい先日、安倍・プーチンの首脳会談で北方領土問題を協議したばかりではないか。だから翁はロシア政府を信用しないし“ドロボーネコ”と蔑むのだ。当然のことながら日本政府(菅官房長官)は「極めて遺憾であり、ロシア側に対して抗議を申し入れた」との談話を発表した。日本という国は、他国(特に中国・ロシア・北朝鮮・韓国)から、国防や国家の権威に関する脅迫を受けても「遺憾に思う」というバカの1つ覚えしか言えない、たらしない国だ、と翁はいつも苦々しく、腹立たしく思っている。(外交問題には、翁が吼えるような暴言放言は通用しないが・・・)
少し本題から外れるが――戦後の自虐史観を国民に押し付けたのは、中国や韓国の巧みな工作(プロパガンダ)に乗せられたマスコミや(日教組に毒された)学者・政治家たちであり、中国や韓国に謝り続ける(だらしない)国にしてしまった。そんな中、今年早々に翁を喜ばせる驚天動地の大ニュースが起きた。韓国・釜山の日本総領事館前に設置された“慰安婦像”に反発した日本政府は『大使、総領事の一時帰国』、『在釜山総領事館職員の釜山市関連行事への不参加』、『日韓通貨スワップ(交換)協議の中断』、『日韓ハイレベル経済協議の延期』などの対抗措置をとった。当然だろう、一昨年の日韓首脳会談において慰安婦問題に終止符を打つべく日本は(昨年9月)韓国の財団に10億円を拠出した。にもかかわらず“慰安婦像”設置は、明らかに政府間合意の違反であり、日本は“我慢の限界”を超えたのだ。翁は言う「大使・総領事の引き揚げは、まさに快挙である」と――
さて、話を戻そう――(前述の通り)ロシア政府は、日本固有の領土『北方領土』周辺の無人島に旧ソ連の将軍らの名前を付けた。それは北方領土におけるロシアの支配を強調する狙いがあってのこと。“たかが無人島”と甘く考えるなかれ、海洋国(島国)の日本は、たとえ岩しかない小島でも“国を構成する領土”なのだ。“無人島狙い打ち”をしたロシアに限らず、韓国は日本固有の領土『竹島』を“独島”と命名して実行支配しているし、中国は尖閣諸島を“釣魚島”と称して性懲りもなく“ドブネズミ作戦”(領海侵犯)を繰り返している。トランプ政権発足直後、いち早く来日した米国のマティス国防長官と、(同じく先般)安倍首相と会談したトランプ大統領は「尖閣諸島は日米安保第5条の適用対象である」と言明した。日米安保第5条には「日本国の施政下にある領域での武力攻撃について、日米が共通の危険に対処することを宣言する」と明記。たとえば尖閣諸島などで武力衝突が勃発した場合、米国は集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務を負う」となっている。「だから日本は安全だ」と思うなかれ。たとえ米国が“有事の際、日本を防衛する”と言っても、日本が何もしないで米国だけに命を賭けて戦わせるという意味ではない。日本が相応の応戦力(軍事力)を持ち、先頭に立って敵と対峙する、それを米軍が支援する、その割合は(翁の想像だが)米国支援は、せいぜい20%、あとの80%はどうするのだ?言わずもがな、日本が自力で戦わなければならないということだ。「そんな事態にはならないよ」と平和ボケは言うだろう。勿論、翁も、そんな事態が起きないことを祈ってやまないが(この件に関しては別の機会に)・・・
今更言うまでもなく日本は島国、すなわち日本は北海道・本州・四国・九州をはじめ南に延びる伊豆・小笠原諸島、南西に延びる(沖縄本島を中心とする)南西諸島、そして北東に位置する北方領土の合計6,853の“島”から成る国である。国土交通省は北海道・本州・四国・九州・沖縄本島を“本土”とし、これら5島を除く6,848を“離島”、そのうち(国土交通省が2015年に公表した資料によると)有人島418、無人島6,430となっている。
海上保安庁では、離島・遠方海域や重要施設を含む我が国周辺海域における様々な不審事象、不法行為など、緊迫の度を増す昨今の安全保障環境において、隙のない対応や海洋権益の確保に万全を期すため、東シナ海と日本海に浮かぶ約400の“離島”を中心に、戦略的海上保安体制の構築を着実に推進するための調査を実施することにした。“離島保全”は
日本の領海範囲を決める根拠となり、領海内の漁業資源や海底資源の保全とも密接に関係するだけでなく、他国の艦艇に対する監視網とする狙いもある。また、日本政府は2013年8月に、日本の領海範囲を決める根拠となる無人島(6,430)のうち、まだ島の名前が付いていない約200の無人島に命名する作業に着手した。すでに、ほとんどの島には名前が付けられ、保全対策が進められているが、このことは“日本の領土・領海”を世界に認識させる上で極めて重要なことである。有人・無人に関係なく国境離島地域の保全は、我が国の防衛と国益の確保に直結する重大な問題である。
“国防意識を離島にまで広げる”ために、『離島の役割』を再認識する必要がある。我が国の領海及び排他的経済水域などを根拠付ける基線は、我が国の最外縁に存在する“離島”であり、その“離島”は日本国土面積の約12倍の広さを管轄水域に持っている、ということになる。古来より“離島”は漁業活動の拠点であり、周辺海域に存在する豊かな海洋資源(鉱物・エネルギー資源など)にも恵まれている。それらの恩恵の享受を外敵に侵されないため、また我が国の領土・領海の主権を堅守するのが『離島の役割』であることを、我々は決して忘れてはならない。“離島”の中には、すでに海上保安庁の事務所や海上自衛隊の基地などが置かれている所もあるが、翁は提言する、日本国を形成する“離島全てに<日本国領土○○島>の鉄碑を建立し(風雨に耐え得る素材の)“日の丸”を掲げ、世界にその存在を知らしめること。ともあれ“離島”の重要性を再認識すべきであろう・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |