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1072号

 

NO.1072     Ryo Onishi              11/27/2016

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雑貨屋のひとり言

23日、ショッピングセンターにあるユニクロに行くと、数年前にオープンした時と同じくらいすごい混雑でした。急激に気温が下がり、セールと休日が重なったこともあったのでしょうが、レジに並ぶ長蛇の列はこれまでに見たこともないほどで驚かされました。寒くなると衣料品が売れるようですが、今年の冬は寒くなりそうなので追い風になるのでしょうか?≪R.O≫

 

 スーダラ節

1960年代を中心にテレビの世界などでクレージー・キャッツというコメディ・グループが一世を風靡し、そのメンバーに植木等(うえきひとし)さんというボーカル担当のコメディアンがいました。のちにコメディ映画に出演したり、日本中に“無責任”を売りにして私たちを笑わせ楽しませてくれた人です。

当時の人々は彼の存在に戦後の復興期、高度成長期をがむしゃらに働き、生きる自分を重ね、せめてもの“憂さ”を晴らしていたのではないでしょうか。その植木等さんも2007年に亡くなってから間もなく10年になります。

植木さんの数あるヒット曲のひとつに“スーダラ節”があります。この歌は1960年代はじめに植木さんが歌い、日本中で大ヒットしたコミック・ソングです。当時としては空前の30万枚を超える大ヒットとなり、1961年の紅白歌合戦でも歌われました。

中年以降の方ならご存知と思いますが、参考までに歌詞を以下記します。

★ スーダラ節(作詞:青島幸男、作曲:萩原哲晶、1961年)

(1)、♪♪ チョイト一杯の つもりで飲んで
いつの間にやら ハシゴ酒
気がつきゃホームのベンチでゴロ寝
これじゃ身体にいいわきゃないよ
わかっちゃいるけど やめられねぇ
ア ホレ スイスイスーララッタ
スラスラ スイスイスイ ・・

(2)、♪♪ 狙った大穴 見事にはずれ
頭カッと来て最終レース
気がつきゃボーナスはすっからかんのカラカラ
馬で金儲けした奴アないよ
わかっちゃいるけどやめられない (以下同じ)

(3)、♪♪ ひとめ見た娘(こ)にたちまち惚れて
よせばいいのにすぐ手を出して
だましたつもりが チョイトだまされた
俺がそんなにもてる訳ないよ
わかっちゃいるけどやめられない (以下同じ)

****************

この歌は一見(というより、どう見たって )ふざけた退廃的な歌に聞こえます。 私もずーとそう思ってきました。

ある時、雑誌 「プレジデント」 仏教・親鸞特集号にこの植木等氏 自らが寄せた文があり、何気なく読んでみたら、そこにはこの「スーダラ節」と彼の父親とのエピソードが書かれていました。

そしてこの 「スーダラ節」 には人間に対する深い思いが込められている事実を知り、「なるほど、そういう側面もあるのか」と目からうろこが落ちる思いがし、以後、私は時々友人達と人生を語る時、この話を引用させてもらっています。

今回はこの植木等氏の文の一部を抜粋、以下転載し、人間について考える材料を提供させて頂きます。
****************

「・・・僕が芸能界に入って『スーダラ節』がヒットしたとき、親父は、あの歌の文句は真理をついている、親鸞の教えに通じるものがあるっていっていました。『わかっちゃいるけど、やめられない。ここのところが人間の弱さをいい当てている』ってね。

くん酒山門に入るを許さずとか、肉食妻帯を許さずとか、世間がいろいろいってた時代に、親鸞は『わかっちゃいるけど、やめられない』と思いながら、自分の生き方を終生貫いたという訳です。

『うん、青島君は、なかなかの詞を作った』って、作詞した青島幸男さんを褒めていましたよ。・・・」
【植木等、無責任流大往生論 (プレジデント '95年2月号)より抜粋】
***************

植木等氏の父親は三重県の寺の住職でありながら、キリスト教の洗礼も受けていたり、労働運動、部落開放運動、反戦活動など当時としては危険な思想の持ち主だったようです。

晩年は親鸞に対する敬慕の情を吐露しつつ昭和53年83才で没したそうです。植木氏の文によれば「確かに親父は、一見、支離滅裂ではあったけれど、その底には一貫したものが貫かれていました。弱く貧しい者、生身の人間に対する共感。人間平等、部落開放、戦争反対を主張して、官憲による投獄、拷問にもその節を曲げることがなかったんですから。・・」

お経を唱え、説教を100回繰り返しても親鸞の心を真に伝え、理解させることは困難なのに、この 「スーダラ節」 は人間の業(ごう)とか、ありようを見事に言い切っている。 「飲む、打つ、買う」とは、人間の欲望であり、悲しい人間の性(さが)であると認めた上で、それを「わかっちゃいるけど、やめられない」 人間の弱さ、不完全さを素直に認め、その上で人としてどう生きるかを問うものだ、これこそ親鸞の教えの神髄だ、ということようです。

たかが無責任なコミック・ソングと思うなかれ、この歌は解釈の仕方によっては100遍の説教よりも説得力のある人間修行の言葉でもあるようです。
河合 将介( skawai@earthlink.net )

 

    

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )


息抜きの下手な私の四角い字

削除キー絡んだ情が押させない

古机方程式が解けぬまま

賞罰のない履歴書に貼る笑顔

馬車馬の過去 年金に労わられ


( ニュースやぶにらみ )


「鬼十則」
トランプ語録だな −協調社会

「ベストナインW受賞」
二刀追う者は二刀も得うる −新ことわざ辞典

「上には強く、下には弱い」
稀勢の里ファンになりました −いじめられっ子


河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

龍翁余話

龍翁余話(452)「晩秋の小石川後楽園」

実は、この『龍翁余話』で『小石川後楽園』を取り上げるのは2回目だ。1回目は2013年2月24日配信(267)「春の香りに誘われて」。今回は「晩秋を楽しむ」ための再訪である。

ご存知の読者も多いと思うが、念のため『小石川後楽園』の場所は、と言うと、東京都文京区後楽園、そう、あの「東京ドーム」や「後楽園遊園地」にほど近く、アクセスは都営地下鉄大江戸線の「飯田橋」から徒歩2分、JR総武線、東京メトロ東西線、南北線、有楽町線、丸の内線(いずれも「飯田橋」)から徒歩約10分。所々に「特別史跡・特別名勝小石川後楽園」の(小さな)看板がある。入り口の近くから園内の紅葉がチラチラ垣間見え、“秋への期待”が広がる。入園料150円(65歳以上の料金、一般は300円)を払って園内へ。この名庭園については前回の『余話』で詳しく説明したので今回は、もっぱら「深山の晩秋(紅葉)を楽しむ」ことを主眼とする。

入り口付近に「江戸時代初期の寛永6年(1629年)、水戸徳川家の祖・頼房が江戸の上屋敷の庭として造ったもので、2代藩主・光圀(黄門様)が完成させた」旨の説明版がある。
余談だが――“上屋敷”“中屋敷”“下屋敷“は時代劇によく出て来るのでご存知と思うが、“上屋敷“とは、比較的江戸城に近い場所にあって、殿様が江戸滞在中に使ったり、常時江戸暮らしの大名の家族や江戸家老、上級藩士なども屋敷内に居住していた。”中屋敷“には、成人した大名の息子や隠居した先代、その奥方などが住み、参勤交代で江戸にやって来た短・中期滞在の藩士らの宿舎としても使われた。規模は”上屋敷“や”下屋敷“より小さい。”下屋敷“とは、江戸城から離れた場所にあり、大名の別荘的な屋敷で”上屋敷“や”中屋敷“で消費される食糧や物資の集積場としても使われたそうだ。さて――

庭園巡りは(入って直ぐ左側の)『涵徳亭』(かんとくてい=食事処)の燃えるような紅葉から始まる(写真左)。小路に沿って渡月橋から『通天橋』方面へ(写真中)、『通天橋』を渡ると林の中に佇む『得仁堂』(とくじんどう=得仁とは光圀が好んだ孔子の言葉=仁を求めて仁を得る)と言う古い建物があるが、辺りには紅葉は見られないので、そこを通り越して(緩やかな)坂道を下ると『丸屋』(まろや)という茶屋風の小屋がある。その小屋に蔽いかぶさるような紅葉が更に見事、幾つかのアングルでシャッターを切った。どれもこれも捨て難く、1枚選んだ写真がこれ(写真右)だが、あとの写真にも未練たらたら・・・

『丸屋』の正面に、この庭園の中心をなす『大泉水』(だいせんすい)が広がる(写真左)。
『大泉水』の中央に、大名庭園の代表的な『蓬莱島』が浮かぶ(写真中)。『蓬莱島』とは海上(または湖上)にある仙人が住むと言われる仙境の1つ。その『蓬莱島』の林の中に建つ『弁財天』(弁天様=七福神の中の紅一点、琵琶を弾く妖艶な姿の福徳・諸芸能の神)の祠の赤と周囲の紅葉(もみじ)の競演が実に美しい(写真右)。

『大泉水』を右手に見て歩を進めると、こじんまりした『梅林』や『田圃』がある。光圀は自分の号を“梅里”と称した。それほどに彼は梅を愛し『梅林』を作った。また、光圀は農民の苦労、労働の喜びを家人に教えようと『田圃』も作った。現在でも地元・文京区内の小学生が5月に田植えをし、秋に稲刈りを行なうなどの伝統行事が続けられている。
もう1つ、翁が好きな建物がある。『大泉水』の傍に建つ『九八屋』(くはちや)と言う江戸時代の酒亭がそれだ。名前の由来は「酒は昼は九分、夜は八分にすべし、酒に限らず万事控えるを良しとする」との教訓による、と、説明版に書かれている。これらの場所は、すでに冬支度の観、紅葉が見られなかったので残念ながら素通りすることにした。

さて『晩秋を楽しむ』クライマックスは『内庭』(写真左・中)。内庭は水戸藩の書院の庭であったそうだ。池の周りを散歩しながら“光圀思想“に思いを馳せた。かねてより儒教(孔子の教え)に傾倒していた光圀は、明(みん)の儒学者・朱舜水(しゅ・しゅんすい=1600年〜1682年)を敬愛し、江戸時代初期に舜水が来日した際、光圀は舜水を招き庭園設計に参加させた。確かに園内の随所には中国的・儒教的趣向が見受けられる。また『後楽園』の名の由来は、舜水の助言により”先憂後楽“(民より先に国を憂い、民が楽しんだ後に己れが楽しむ)を基に光圀が命名したと言われている・・・と、そんなことを思い巡らせているうちに内庭回遊は終わり”晩秋を楽しむ“締めくくりは『大泉水』脇の『もみじ林』(写真右)――どこもかしこも存分に紅葉を楽しめた(満喫した)”小石川後楽園の晩秋“であった・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

 

茶子のスパイス研究

ジンジャー(生姜)神社

先日、用事があって栃木駅まで出かけた時、駅から歩いて12−3分の所にあるジンジャー神社にお参りしてきた。神社と言っても岩下食品の新生姜ミュージアムの中にある神社だ。入場料は無料、小ぶりなミュージアムなので30分ほどで見て回れる。駐車場もあるので、ちょっと立ち寄るのにも便利な場所だ。ミュージアムに入ると正面に新生姜を模型にしたピンク色のクリスマスツリーが飾られていた。右手はギフトショップがあり、その隣にカジュアルなカフェがあってそこでランチが出来る。せっかくなのでお昼はそこでジンジャーを使ったランチを頂く事にした。注文したのは、新生姜入おろしハンバーグの定食、デザートは新生姜入りのソフトアイスクリームにしてみた。生姜と言うと辛いイメージがあるけれど、この新生姜の辛みは普通の生姜より柔らかいので和洋中華、デザートや飲み物まで料理の応用が広くて使いやすそうだ。ミュージアムの壁にはユニークな生姜料理のレシピがたくさん貼り付けられてあった。この生姜、栃木で生産されているのかと思ったら3代目の社長が台湾に出張に行った時に出会ったのがペンタオジャン(島本姜)という台湾育ちの生姜だったらしい。その水みずしく柔らかい生姜の辛みにほれ込んで、その生姜を仕入れ加工して売り出したのが始まりだとか…一般的な日本の生姜と比べて台湾のこの生姜は縦長の生姜だ。作り方は地中深く掘った土に生姜を植え新芽が出てきたら土を被せ新芽が出てきたら、また土を被せていくという行程を繰り返し作るのだそうだ。
生姜の育て方 ペンタオジャン ジンジャーハンバーグ
ジンジャーソフト ジンジャー神社 ジンジャー

冬場は体を温めて血流を良くする作用があるので大いに取り入れたい食材だ。ギフトショップにはジンジャーを使ったアロマキャンドルや新生姜入り酎ハイ、珍しい新生姜グッズが売られていた。岩下新生姜の初代の社長は栃木で漬物問屋からスタートしたそうで今の社長は4代目。新しい今の感覚を取り入れて先代とは、また一味違ったビジネスを展開している。正確な数字は覚えていないけれど日本には100年以上続いている会社が世界で1番多く200年以上の歴史を持つ企業が世界の半分以上、1000年以上の歴史を持つ会社は7社も存在しているという記事を読んだ事がある。考えてみると確かに、この近所をちょっと歩いても、祖母の時代からあるお茶屋さんやお豆腐屋さん、酒屋さんと昔から商売をしているお店がたくさんある。これが日本の強みなのかもしれない。
茶子 スパイス研究家

 

さくらの独り言

今週はお休みです。

 

ジャズライフ−今週のお奨めアルバム

今年のノーベル文学賞はボブディランに決まり、残念ながら村上春樹氏は選ばれませんでした。村上春樹といえば小説"ノルウェイの森"が有名ですが、一曲目でNorwegian Woodという曲が演奏されているNiels Lan Dokyのアルバム"Scandinavian Reminiscence"の紹介です。
美しい自然の風景のジャケット、美しいピアノをゆったりと楽しめるアルバムです。

"Scandinavian Reminiscence" Niels Lan Doky Trio

01-Norwegian Wood
02-Reminiscence
03-Swedish Suite
04-Chateau En Suede
05-Invisible Friends
06-Valse Triste
07-Big Foot
08-Du
09-Tranquility In The Woods
10- Hit Man
11-Hills And Valleys
12-That's The Way It Goes

ジャズアルバムの紹介リスト
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm  
《R.O.》

 

編集後記

トランプ次期大統領に決まってからアメリカの長期金利が上昇し、ドル高、円安になっています。ほんの少し前までは1ドル100円を切りそうだったのに今は113円ですから驚きです。期待だけで為替も相場も大きく上昇しましたが、もしその期待が外れたら、逆のことが起こることがあるかもしれません。

雑貨屋のブログ→ http://zakkayanews.jugem.jp/
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.1072

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com