4月の花と柚子
日本の連休、ゴールデンウィークの今頃の季節になるとLAの街の街路樹には紫のジャカランタの花が満開になる。この花が咲く頃になると今は亡き祖母と祖父がLAを訪れた頃を思い出す。祖母は淡い紫色が好きだったので、このジャカランタの花がお気に入りだった。6月に咲く紫陽花の花も祖母の大好きな花だった。今回LAを発つ数日前にふと庭を見ると一足先に紫陽花の花が咲いているのに気が付いた。日本では桜が終わって今はどんな花が咲いているのだろうと思っていたら、ちょうどツツジが満開であちこちに赤やピンクの花が街を華やかに染めていた。このツツジが終わると今度はアヤメや枝垂れ藤のシーズンになる。そう言えば先月にはこの枝垂れ藤もトーランスの公園や日系人の方の庭ではちょうど見ごろを迎えていた。
ところで今回も日本に帰る前にハウスオーナーの人から自分の畑で出来た柚子と大根の加工食品を頂いた。柚子は黄色になる前の青柚子を使い、そこに塩とセラノチリを入れて柚子胡椒にしたものだ。いたってシンプルだけれど、ふんだんに柚子が使われていて香が強い。余計な調味料は一切入っていないのがいい。これを焼き鳥に付けると最高に美味しい。大根は生を千切りにした後カリフォルニアのサンサンと降り注ぐ太陽でカラカラに干して作った切干大根だ。母はこの切干大根が大好きでコトコトゆっくり長く炊いてふっくら柔らかく美味しく煮て料理する。残念ながら殆どのアメリカ人はこの大根の調理した匂いが好きではない人が多い。大根はともかくとして柚子の方はだんだんポピュラーになってきてヨーロッパでも柚子を料理に使うシェフもだいぶいるようだ。
今回、イタリア人で、もとフィッシャーマンの友人に柚子を紹介してみた。柚子胡椒と柚子味噌の両方を味見してもらったら柚子味噌の方が好きだと言ったのでおすそ分けしたら、とても喜んでくれた。今度LAに戻ったらどんな風に料理してみたのか聞いてみようと思う。時々、外国人のシェフが日本の食材を使って日本人とは全く違う発想と斬新なアイディアで料理を創作していくのを見て感心してしまう事がある。
柚子は食べるだけでなくその独特な香りがいい。同じかんきつ類でもレモンやオレンジやライムとは全く違う。香りの効用も少しずつ違うのだろうと思う。先日またユタに帰った日本の友人に冷凍してあった柚子を数個おすそ分けしたら早速持ち帰って塩麹に漬けたスルメいかの上に柚子の皮を擦って食べたら激ウマだったとメールが来ていた。
柚子の事を書いていたら急に日本産の柚子を試してみたくなった。今日は久しぶりに八百屋さん巡りでもしてみよう。
茶子 スパイス研究家 |