龍翁余話(224)「しながわ水族館」
灯台下暗しと言おうか、40年も品川区に住んでいるのに(こんな近場に)こんな場所があったのか、というケースが多々ある。『しながわ水族館』もその1つだ。旬刊(10日ごとに発行)の品川区広報紙『しながわ』(タブロイド)の3月21日号の一面トップに「春の訪れとともに出かけませんか“しながわ水族館”へ」という特集記事が掲載されていた。所在地は勝島の『しながわ区民公園』内とある。翁は、その公園の存在も知らなかった。そう言えば、昨年10月30日に配信の『龍翁余話』(204)「品川花海道から鈴が森刑場跡へ」で大森海岸辺りを歩いていた時、たしか、水族館の看板を見たような記憶がある。早速、カーナビに『しながわ水族館』をインプットして(鈴が森方面へ)出かけた。
五反田(山手通り)から第1京浜国道に出て川崎方面へ走る。鈴が森刑場跡の先を左に曲がって海岸通りへ。首都高速1号羽田線に沿って逆戻りすると間もなく『しながわ水族館』の専用駐車場。係員の指示に従って駐車し、水族館の方向へ歩いていたら『区民の憩いの広場・しながわ区民公園』の立て看板。のどかな昼下がり、優しい陽射しと爽やかな春風に誘われて、ちょっと散歩がしたくなった。“勝島の海”と呼ばれる池に浮かぶ水族館の建物(写真左)を横目に見て歩を進める。日本庭園としてもなかなかのもの。それに、かなり細長いようだ。資料によると、かつてこの場所まであった勝島運河を埋め立てて造られた公園で品川区内でももっとも大きい規模の総合公園だとか。1987年(昭和62年)5月の開園というから、もう直ぐ満25年。園内には『しながわ水族館』のほか、キャンプ場、屋外プール、テニスコート、少年野球場などの施設がある。この公園のテーマは@大規模なレクリエーション広場A緑化促進・自然の回復体験広場B防災機能(災害時の緊急避難所としての機能)強化の3つを柱としている。散策の途中、大人用、子ども用の自転車と行き交う。所々に“自転車無料貸し出し”の看板。場所柄、街場で見かける“暴走自転車”ではなく、父と息子、母と娘が楽しそうに語らいながら、ゆっくりと自転車を漕ぐ姿は実に微笑ましい。それに嬉しかったのは翁に「こんにちは」と挨拶してくれる10歳くらいの男の子がいたことだ。このレクリエーション広場(教育的余暇活動の環境)では、自然の回復体験だけでなく人間性の醸成も期待できるのでは、そんな感慨に浸るひと時であった。
さて、ほどほどの所(橋=写真右)で引き返すことにした。往復約40分、水族館に着いた時は革ジャンを脱ぐほどに汗ばんでいた。春休みが終わる3月末、館内は親子連れで賑わっていた。なるほど、<春季・親子お魚教室>が開かれていた。クイズ形式になっていて“親子で魚博士になろう“という試み。翁も少しだけ子どもたちの後にくっついて学習した。1991年(平成3年)10月に開館した当水族館は5年ごとに記念リニューアルを行ない、<ペンギンランド>、<サメ展示水槽>、<アザラシ館>などを増
設していった。現在、水族館には約10,000点の海の生物がいるそうだ。見所は沢山あるが<女性ダイバーと魚たちのパフォーマンス>(餌付け=写真左)、海底フロアの巨大な<トンネル水槽>(写真中)、それにウヨウヨ(悠然と)泳ぐ<シャーク水槽>(写真右)が混んでいた。翁は観ていないが1995年に公開された映画『ゴジラ&デストロイア』は、この水族館で大規模な撮影を行なったそうだ。
何と言っても最大の人気は<イルカ&アシカショー>。時間帯によってイルカとアシカのショータイムは異なる。翁が観たのはアシカショー。翁の目にはアシカ、オットセイ、トドの区別はつかないが「アシカとはニホンアシカとカリフォルニアアシカの2種の総称で、ここにいるアシカはカリフォルニアアシカです」とインストラクターのお嬢さんが説明し“演技”に入る。おじぎ、立ち歩き、餌のおねだり(仕草)、拍手の催促など、よくもまあ(芸を)仕込んだものだ。大人も子どもも一緒になって笑ったり拍手したり、どよめいたり・・・気がつけば、童心に戻って無邪気に笑う翁もそこにいた。つくづく平和のありがたさを実感する。この子たちの、この親子の平和と幸せを願う翁ではあるが、北朝鮮のミサイル発射予告が気になる。今日は4月1日、北の脅しが単なる“エイプリル・フール”であればいいのだが、あの国のことだ、そうはいくまい。政府は沖縄本島、石垣島、宮古島などに地上配備型迎撃ミサイルPAC3を、また、艦対空迎撃ミサイルを搭載したイージス駆逐艦を日本海、東シナ海などに配備した。国家国民の安全を脅かす敵に対しては当然の応戦態勢ではあるが、果たして・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |