昨年末のこの欄(Dec.12,’10付Zakkaya
Weekly #760)で『日本人のマナー』というタイトルで書きました。日本の電車に設置されている「優先席」に対する無関心さについての私の感想を記しました。私自身もこれまであまり関心のなかった「優先席」でしたが、いざ自分が利用させてもらう年齢と健康状態になってみたら、本来はお年寄り、妊婦、身障者などの人たちのために設けられているはずなのに、学生や若者など体力にまったく問題のなさそうな人たちが平然と席を占めているのに驚きました。これでは何のための「優先席」なのでしょうか。守られない制度なら設けないほうが良いのでは、とまでいいたくなります。
もちろん、日本人のすべてが「マナー知らず」というわけではありません。私の文章に対し、知人の一人(T氏)から下記のようなメールを受信しました。
(前略)実は私も数年前東京の電車内で始めて席を譲られ、自分も老人に見られるようになったかとショックを受けましたが、最近は、特に家内と一緒の時は、
ホームで優先席の扉の位置を探して乗ることにしています。私たちの経験では、必ずしも若い人だけではなく、かなりの年配の方も含め、ほとんどの場合、どなたか
が席を譲ってくださり、日本人のマナーもまだまだ健在だと嬉しく、また感謝し
ています。確かに若い人たちが悠然と優先席に座り、携帯 でメールのやりとり
をしているのは、そばにペースメーカーを着けている人もいるかもしれず問題で
すが。(中略)約1ヶ月日本に滞在、伊豆熱川温泉や、九州の熊本、柳川、福岡などを旅行しましたが、どこに行ってもホテル、お店、レストランなどのサービスの良さと人々の親切さに感激しました。最近の日本を見ていると心配なことばかりですが、なんとか日本人のこの美徳は保って行って欲しいと思います。 |
私も日本の電車内で若い人から席を譲ってもらった経験が何度もありますし、上記T氏のご意見にはまったく同感です。しかし常識では考えられないマナー違反も残念ながら増加傾向にあるように思えてなりません。これらマナーの乱れについては、そんな若者を育てた私たちシニア世代にも責任があることを充分認識することが重要でしょう。
また、私はZakkaya
Weeklyに書いたとほゞ同様な内容の文章を当地の日系新聞にも寄稿しました。見ず知らずの読者の女性からも次のような感想の手紙を受け取りました。
始めまして!! 新年おめでとうございます。
12月28日の「日本人のマナー」、その前のも読ませていただきました。すぐに書きたかったのですが、新年早々に「カッカ」としたくなくておくらせました。三十三年間ここにおりますが、日本へはよく参ります。若い時は気がつきませんでしたが、七十八才となりますと、やはり席を探したり、それに優先席という字が目にとびこむ様になりました。電車もそうですが、浦安市のバスによくのります。そうしますと、若い人達がまづ優先席から座り始めます。次は後部座席が二段高くなりそこにゆかねばなりません。貴方の文章を読みまして、私はまづ「カー」とする気持ちをおもい出してしまいました。それでは精神上よくないので、日本中の優先席を廃止したらよいだろうとおもっています。勿論、親切な方々も沢山いらっしゃるので、その場その場でゆずり合いの心でゆくほかはないと考えております。
新年早々なので良いはなしも。
東京にいる妹(六十代)ともう一人が女性(九十代)の目の見えない女性(非常に元気、車椅子)をつれて東京から倉敷での特別のオペラに御一諸し、大変に電車でもなんでも駅員の指導により良い旅が出来たとのこと、(乗車券もやすくなるとか)でした。昨年のこと。勿論、新幹線は指定席でしょうが。
ということで、私の考えを日本に行きました時に提案しても、かんたんには聞いてもらえないでしょう。どこが間違ってしまったのか。日本に敬老の日はありますけれど。
【追伸】:もうひとつ、(沢山あるけれど)
弟のいる団地の人々はおとしよりから子供まで、エレベーターの中で皆きちんと挨拶する。これにはおどろいています。私の方が挨拶される側になり、恥ずかしく思う時もあります。 |
私の書いた駄文にコメントを寄せていただき感激しています。早速お礼の文章を手紙にしたため返信しました。(以下、次号へ続く)
河合将介(skawai@earthlink.net) |