龍翁余話(153)「羽田空港新国際線ターミナル」
先日(21日)、朝から各テレビ局が競って『羽田空港新国際線ターミナル』オープンのニュースを流した。このターミナルに乗り入れている東京モノレールと京浜急行を降りると、もう目の前がチェックイン・カウンター、1分とかからない。ガラスをふんだんに使って開放的な雰囲気を醸し出している出発・到着ロビー、世界初の段差のない旅客搭乗橋(ブリッジ)を採用し、車椅子利用者にも配慮している。江戸の街並みをモチーフにした和風のレストラン街、土産物コーナー、休憩所など、首都圏の新たな玄関口で(いきなり)日本文化を味わってもらおうとする仕掛けにもなっている・・・などなどレポートしながら、レポーターが撮影班を引き連れて忙しく建物の中を走り回るシーンを視ていたら、翁も急に行ってみたくなった。我が家から羽田空港まで、一般道路で通常45分、高速道路を使えば20分で行ける。午前中、所用を済ませ、午後から(雨の)高速道路を走った。
1978年に成田空港が開港すると、中華民国(台湾)の中華航空を除く国際線定期便は全て
成田国際空港に移り、羽田は事実上、国内線専用空港となった。中華航空も2002年4月に成田へ移った。その年(2002年)に開催された日韓共催ワールドカップ(サッカー)の時、羽田空港とソウルの金浦国際空港との間に日韓両国の航空会社がチャーター便を運航させた。そのチャーター便が好評を博し、翌2003年からは毎日運行され、限りなく定期便に近い“定期チャーター便”という方式で羽田−金浦間の運航が始まった。その後、同じく“定期チャーター便”方式で中国・上海虹橋国際空港(2007年)、香港国際空港(2008年)、北京首都圏国際空港(2008年)との航路が次々と開設され、国内線専用空港のはずだった羽田空港は、新たな滑走路(D滑走路)建設で次第に“国際空港化”の様相を呈してきた。そして2010年10月21日、ついに“その日”を迎えた。
これまでに羽田空港には、国内線ターミナルは翁自身の帰省(福岡空港)と九州・沖縄・四国方面からの客人の送迎で、また、国際線(従来の小規模な)ターミナルは韓国からの客人の送迎で、もう何十回と往復、通い慣れた空港だから迷うことはあるまい、とタカをくくっていたら、いざ『新国際線ターミナル』のパーキングへ向かうのに2度も道順を間違えてしまった。驚いたのは、新ターミナルの建物の大きさ=地上5階建て、延床面積約15万9千平方メートルと資料に書いてあるが、何でも、従来の羽田空港(建物)の2倍もあるそうだ。駐車場もデカイ。2300台収容の7階建て。ようやくその駐車場に辿り着き、ターミナルへの連絡通路がある3Fに停めた。
連絡通路を渡ってターミナルに入ると(パーキングは3Fからなのに)そこは2Fの到着ロビー。今朝、香港から最初の到着便(ANA=全日空機)が到着したそうだが、翁はそのニュース(映像)は視ていない。エスカレーターで3Fへ、そこは出発ロビー(写真左)。
今日は出発便がないのでチェックイン・カウンターは閑散としているが(写真中)、4Fに上がると、まるでお祭り広場(写真右)。そして当ターミナル呼び物の『江戸小路』が左右に広がる(写真下)。ある日本料理店を覗いたが、円高のこんにち、外国人観光客にはとても手が出せそうもない高い料金。この超高級料理店、いつまで持つことやら・・・
その他の飲食店(うどん、串揚げ、とんかつ、焼肉、おでん、日本蕎麦、中華、イタリアン、フレンチなど)は比較的庶民価格。空港に回転寿司屋があるのも面白い。免税店24店舗を含め105店が出展しており、手ぬぐいなどの和風の土産物屋が注目される、空港では初めてというプラネタリウムを導入したカフェ(5F)があるが、満杯で入れなかった。
「とにかく近くて便利、国際空港はやはり羽田でなければ」と言うのは、あながち東京人、神奈川県人ばかりではなさそう。北海道や東北方面の人も『羽田空港新国際ターミナル』の開港を歓迎しているとか。翁と親しい米沢(山形県)の友人・Yさんご一家は毎年暮れに“ウイーン・フィル・ニューイヤー・コンサート”に行っているが、前日に成田空港近くのホテルに1泊して翌日出発、帰国時も(時間帯によっては)東京で1泊、という余分な経費と時間を費やしていたが、羽田開港によって時間も経費もかなり節減されるだろう。
『羽田空港新国際線ターミナル』は今月31日からアメリカ、ヨーロッパ、アジアの17都市への運航が始まる。翁は毎年、1度は海外に出向いているが、翁の場合、成田空港近くのゴルフ場(メンバーコース)で昼間ゴルフをしてから夜出発するので、今後も多分、成田空港利用は続くと思うが、羽田の新国際線ターミナルは、飛行機に乗らなくても魅力的な観光スポットである。北海道や九州方面から上京する友人たちを国内線ターミナルで出迎え、直ぐに国際線ターミナルへと案内するのも楽しみだ。だが、知ったかぶりをするにはもう2〜3回足を運ばなくてはなるまい。3Fの出発ロビーが見下ろせる4FのカフェCのキノコとジャガイモのポタージュが美味かった・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。 |