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NO.730                Ryo Onishi              5/9/2010  

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雑貨屋のひとり言

先週は気温が上がり、真夏日となった地域もあったようですが皆さんの地域はいかがでしたでしょうか?寒い日があったり、突然暑くなったりする気候がこれからも続くかもしれませんね。
連休中はとくにどこにも行かず、家の中の片づけをやっていました。要らない物がたくさんあり、思い切って捨てることにしました。別に無くても困らないのに捨てるのが惜しいだけで持ち続けているものが多いと思いました。まだ迷っているものがあるので、これからも整理を繰り返していこうと思います。≪R.O≫

閑(しずか)さや 岩にしみいる 蝉の声

「閑(しずか)さや 岩にしみいる 蝉の声」 ――「奥の細道(芭蕉)」 で詠まれたこの句は、なぜか私の心に「しみいる」 なにかを感じます。日本人は、どちらかというと 一語一語の奥に広がる宇宙を想像し、楽しむことが得意な民族なのではないかと、私は思っています。

この句をみて“蝉が鳴いているのに なぜ閑(しず)かなの?”“堅い岩にどうして 染み込むの?”“蝉は何匹?”“だから それが何なの”など、論理的に詰めていくと、疑問と矛盾だらけです。でも殆どの日本人は、この句を何の疑問や矛盾も感じることなく、すんなりと受け入れるのが普通ではないでしょうか。

所謂 日本的発想とは、欧米的な理詰めで分析・細分化していくのではなく、むしろその逆で見えない、又は表に現れていないものも含めて、全体を心とか感性で捉えようとする発想といえると思います。特に「感性」というものを重視するといわれる俳句の世界では尚更のことだと思います。

俳句のような短い形式の表現だけでなく、日本人の日常会話でも「省略」の多いのが、日本語の特徴の一つであり、例えば「こんにちは」、「さようなら」などはそれぞれ「今日は...」 「左様ならば...」と続いた言葉を省略した結果できたのだそうです。

日本人は基本的に均質化した島国民族といわれ、お互いの常識にそれほど差がなく、従ってこまかく言わなくとも理解し合えるので言葉をすぐ短く省略してしまう ―― それを更に進めると、「ものは言わない方が良い」、特に「言い訳はするな。見苦しい」などという発想につながってきますが、少ない言葉で多くを理解する為 「気のきく」 「察しの良い」 人間が出来上がり、これまた日本人の美点になっていると思います。

最近、日本でも 国際化の荒波の中、「人の開国論」 について 色々な議論がなされています。国際社会で、もはや 一国孤立主義は許されない日本ですから海外からの「モノ」は受け入れるが 「人」は 受け入れないでは済まされないのは当然ですが、そのために日本的メンタリティが失われてしまうのはさびしい限りです。また 日本人でも最近の教育・生活環境に慣れた若い人々は、しっかりした自分の意見や主義主張を持つようになっています。これはこれで結構なことですが、その根底には所謂日本的発想もしっかり根付いたものであって欲しいと思います。

多くを語らなくとも 互いに理解し、察しあえるという 素晴らしい日本古来の美点も、一旦海外に出ると、今度はそれが大変な誤解の根源になり、「あの日本人は何を考えているのだ」といわれたり、ひどい時は「完全無視」され、泣きたい思いの経験をされた方も多いと思います。

日本的発想の美点は残しつつ、国際社会の中で尊敬され 生き続けるにはどうすればよいか、日本が21世紀を生き続けるための、私達に与えられたテーマのような気がしてなりません。(注:雑貨屋ウイークリー44号掲載を再掲)
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言「」

今週はお休みです。

川柳(東京・成近)


 


( 川 柳 )

三浪の穴をその後の汗で埋め

トレードに出されて水を得た魚

友情も踏み台にしたワンチャンス

平成の世にも木馬のマイペース

無印の気楽まさかを演じ切り


( ニュースやぶにらみ )

「普天間弁当」
売れ残った肉をフライにしたな −コープかながわ

「?]
trust me - 英和辞典
 決着     - 国語辞典

「米ツアー今季3勝」
藍色に染まった −グリーン

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

 

森田さんから

今週はお休みです。

龍翁余話

龍翁余話(129)「約三十の嘘」

龍翁には、池畑天平(いけはた てんぺい=本名)という若い俳優の友人がいる(29歳)。まだ無名の役者だが、演劇(演技)経験は10年を超える。名古屋の出身で高校を卒業すると直ぐに地元の劇団に入り2年間(主として)舞台演技を勉強し、その後、東京に出て文学座演技研究所第43期生として修練を積んだ。舞台出演経験も10回を数える。その彼から、ある日突然(携帯メールによる)“公演案内”が届いた。5月5日から9日までの5日間、場所は新宿1丁目の『シアターブラッツ』。そこはどんな小屋(劇場)で、どんな役者たちが、どんな芝居をやるのか、内容が分からないまま6日の夕方、タクシーを飛ばした。開演は夜7時、終演は9時を過ぎるだろうから、開演前に天平君に会っておこうと思って、1時間も前に行った。『シアターブラッツ』は(先頃閉館した)東京厚生年金会館の真向かいの、とあるビルの地下1階。約100人収容のベンチシートに、(目算で)間口12m、奥行き7mの小さな舞台、劇場とは言いがたい芝居小屋だ。

実は翁、こんな芝居小屋は嫌いではない。と言うより、懐かしい。以前、この『余話』にも何回か書いたことがあるが、翁、30数年前、東京工学院という専門学校から依頼されて
“芸術学部”を創設した。その学部に放送、音響、映画、デザイン、音楽、演劇などの学科を設置、翁の友人たち、それこそ、それぞれの道のプロフェッショナルを講師や担任にお願いした。そんな中で演劇科を引き受けてくれたのが小演劇プロデューサーの由木杏平さん(故人)だった。1年修業公演、2年卒業公演は学校側の肝いりで1級の劇場(東京・
新橋のヤクルトホール)を借りることが出来たが、卒業した後の彼らの公演活動の場も支援しなくてはならない。義務はないのだが、担任の由木さんとしては自腹を切ってまでも、教え子たちのために、そうしてやりたかったのだろう。勿論、翁も友人として、いや、芸術学部の主任として協力を惜しまなかった。新宿、渋谷、池袋などの小さな芝居小屋を探し回り、小屋主たちには“教育実習の場”という大義を強引に押し付け格安で貸して貰ったりした。そんなことが思い出されて、だから、懐かしい。ちなみに同校演劇科の卒業生で活躍している役者やタレントは結構いるそうだが、俳優の鷲生 功、哀川 翔らも卒業生である。

さて、翁が『シアターブラッツ』に着いた時は、天平君たちはちょうどリハーサルを終えるところで、特別に彼の稽古風景を撮らせて貰った。池畑天平という若者、やや線は細いものの、生来的に優しく礼儀正しい好青年。しかし翁、以前、会うたびに「君の優しさ、礼儀正しさは失ってはいけないが、もっと骨太の雰囲気が必要だ。歩き方も、もっと背筋を伸ばして堂々と歩け。“俺は日本一の役者になるんだ”という気概を持て」と、ハッパをかけていた。ところが、1年ぶりに見る彼は一段と逞しさ(男っぽさ)が加わっている。居酒屋でアルバイトをしながら役者修業に励む中で、人間が一回り大きくなったようだ。

素顔の天平君 『約三十の嘘』稽古中の天平君

開幕まで、近くの喫茶店でコーヒーを啜りながらチラシを読んだ。何と、今回の芝居のリーダーは天平君ではないか。アルバイト先の居酒屋で知り合った渡辺啓太という俳優と2人で立ち上げた演劇ユニット『Hide And Seek』(隠れん坊=居酒屋の店名らしい)に2人のほか4人の芸達者な俳優と数人のスタッフ(舞台監督・美術・照明・音響など)が集まった。立派な劇団構成だ。演目は劇作家・土田英生の『約十三の嘘』――2004年に椎名桔平、妻夫木聡、中田美紀、田辺誠一らの出演で映画化もされた作品だ。

物語は――ある詐欺集団が3年前、物販詐欺で一攫千金の荒稼ぎをしたものの、その金を仲間に持ち逃げされ、腑抜けた暮らしをしている当時の詐欺集団のリーダー・志方(池畑天平)のもとへ(もう一度、物販詐欺をやろうと)再び昔の仲間6人が集まり、北海道をめざして大阪からトワイライトエクスプレスに乗り込んだ。“北海道での物販詐欺”(その描写はない)は大成功を収め6人は意気揚々と(同じトワイライトエクスプレスで)帰路につく。ところが、途中で、稼いだ大金を入れたトランクが忽然と消えてしまう・・・
ストーリー自体は正直、面白くも何ともない。おまけに場面転換のない一幕芝居(ここではトワイライトエクスプレスのスーパー・スイート・ルーム、実際には存在しない)は、ややもすると、劇そのものが安っぽくなり観客を疲れさせる(飽きさせる)。しかし、今夜の芝居はリズム感、スピード感があって観客を(舞台に)惹き付けた。詐欺仲間同士が互いに抱く疑念(懐疑)、それを隠すための“約三十の嘘”と難しい心理描写を、天平君たちは見事に演じ切った。翁、彼らの熱演に対して惜しみない拍手を贈りたい。

劇団ユニット名の『Hide And Seek』は“隠れん坊”のことだが、天平君よ、君は、もはや“隠れん坊”している時期ではない。『Hide And Seek』を直訳すれば“隠されている真実を捜し求める”という意味になる。これからは『約三十の嘘』ではなく『約三十の真実』を捜し求めようではないか。そう、君はもう直ぐ30歳。年齢的にも経験的にも、君はすでに多くの真実に向き合う資格と実力を持っている。その事実を自覚し、自信をもってキャパ(客席数)300〜500〜1000の大きな舞台に挑戦して貰いたい・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。
 

ジャズ&ポップ−今週のお奨 めアルバム

 

これまでつぎのトランペットアーティストのアルバムを紹介してきました。
Clifford Brown(721),Miles Davis(720),Freddie Hubbard(695),Branford Marsalis(622),Booker Little(604),Art Farmer(602),McCoy Tyner(574),Lee Morgan(557),Wynton Marsalis(553)
それぞれ特徴のある素晴らしいアーティストです。
先日初めてDominick Farinacci のトランペットを聴きました。
トランペットがまるで人の歌声のような心地よい響きで、癒されます。
ピアノとのマッチングも素晴らしいと思います。ひとり静かに聴くのにとてもいいジャズだと思います。
ゴッドファーザーのテーマソングSpeak Softly LoveやMy Wayなど聞き覚えのある曲もありとても聴きやすいアルバムです。

Dominick Farinacci Quartet
Manhattan Dreams

1. Embraceable You
2. Hub
3. Manhattan Dreams
4. Speak Softly Love
5. Stablemates
6. Historia de un Amor
7. My Way
8. Maybe September

雑貨屋ウィークリー537号から紹介をはじめたジャズのアルバムをリストにしました。
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm
《R.O.》

編集後記

2年ぶりに、中野さん、高島さんと会いました。お二人とも少し肥えられていたようですが、話をしているだけで落ち着くのは波長が合うからでしょうね?今回も、大阪の福島での再会です。日曜日で閉まっている店もありましたが、やはり福島は期待通りの面白いところでした。

雑貨屋のブログ→ http://zakkayanews.jugem.jp/
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.730

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com