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NO.727                Ryo Onishi              4/18/2010  

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雑貨屋のひとり言

4月16日(金)に第11回関西加州会が行われました。場所は大阪道修町にある、いつもの「味の花菱」です。今回も盛大で、参加者は31名ありました。昨年ロスから帰国された若尾さんご夫妻も来られており、久しぶりにお会いしました。毎年ひとつずつ歳をとっているはずなのですが、集まった皆さんはまったくそんなことを感じさせません。みなさんお元気そうで、楽しそうなお顔でした。花菱のご主人と奥様もお元気で、みんなのためにもっと店を続けてくれると言っていただきました。これからもお元気でがんばっていただきたいと思います。≪R.O≫

アメリカ医療保険改革法(3)

  ――― 前号からの続き ―――
 前回まで2回にわたって、最近アメリカ合衆国の議会を通過し、国民皆保険への歴史的な第一歩となる「米国医療保険改革法」について、新聞・テレビなどの報道を通じて発表された内容をまとめてみました。アメリカは1912年に当時のルーズベルト大統領が国民皆保険を提案してから約1世紀の歳月を要して、いよいよ世紀の改革のスタートにこぎつけたことになります。

今回の法律制定について、前にも書きましたように、米国内では必ずしも全国民がもろ手を挙げて大賛成というわけではないようですが、私は今回のオバマ改革は国民皆保険を目指した改革のスタートであり、ようやくこの国も国民皆保険への道筋をつけたことになり、評価できるものではないかと思っています。

ところで、今回のアメリカ医療改革法とは関係ない話題ですが、私は先日、病没した長兄の通夜・葬式に参列するため、数日間ですが日本へ行きました。その際、私の手もとに日本の健康保険証がないのに気付き、「国民皆保険」のはずなのに、なぜ海外在住日本人ある私に日本の健康保険証がないのはどうしてだろうか。もしかしたら私自身が紛失してしまったのだろうか、と心配になり、今回の日本行きのついでに、私の本籍所在地を所轄する区役所の相談窓口を訪れてみました。

相談窓口で聞いたところ、「あなたは外国へ行かれ、日本の住民票をお持ちでないので、健康保険証は発行できません。健康保険証は住民票にもとづき発行されるのです」といわれました。私の日本の健康保険証は25年前に日本を出るとき住民票とともに役所に返上していたようで、私の手もとに存在していないことを改めて知りました。

「でも、確かに私は海外に住んでいますが、海外は永住権によるもので、私はあくまで日本のパスポートを持つ日本人ですよ。日本は国民皆保険ではなかったのですか?」 この私の問いに対し、窓口の職員は、「でも、保険証はあくまで住民票にもとづき発行することになっており、その住民票をお持ちにならなければ、お気の毒ですが保険証の発行はいたしかねるのです。どうしてもというなら、いったん日本へご帰国になり、日本の住民票を取っていただければ、こちらで健康保険証の発行手続きをいたします」

私は厳密の意味では、日本も国民皆保険ではなかったのだと始めて知りました。ものごとには必ずといってよいほどに例外があるのですね。「そうか、私は日本人だが海外で生活し、日本に住民登録をしていないのだから日本の住民税も払っていないし、日本の健康保険を利用しようなんて虫が良すぎる甘えだったのかもしれないと、一応納得しせざるをえませんでした。  

  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言「」

今週はお休みです。

川柳(東京・成近)


 


( 川 柳 )

二兎追った驕りまともに不況風

サブプライム以来我が社に来ない春

カド番のピンチゆるふん締め直す

土壇場にきて鈍刀の馬鹿力

ドカ弁に日本築いた自負がある


( ニュースやぶにらみ )

「五月決着」
首相の進退ですか −普天間

「1Q84」
本の帯を読んだ −巷の評論家

「亀田選手の父親、永久追放」
品格がなあ ー朝青龍

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

句会場(千駄木)散歩(36)
*豊島與志雄 (1890〜1955)
豊島与志雄は漱石の旧居跡の前を入ったところに住まいし、まだ確認はしていないのですが、その家も現存しているようです。 
「市内本郷千駄木町の一部に、太田の池という幽邃な大池があった〜」の書き出しで始まる「樹を愛する心」で周辺の緑がどんどん失われていくのを惜しんでいます。その与志雄の所に太宰治がよく訪れていたようです。『人間失格』を執筆中にも訪ねています。
豊島與志雄 『太宰治との一日』より。 「(略)「今日は愚痴をこぼしに来ました。愚痴を聞いて下さい。」と太宰は言う。 彼がそんなことを言うのは初めてだ。いや、彼はなかなかそんなことを言う男ではない。心にどんな悩みを持っていようと、人前では快活を装うのが彼の性分だ 。(略) 然し、愚痴をこぼしに来たと言いながら、それだけでもう充分で、愚痴らしいものを太宰は何も言わなかった。その上、すぐ酒となった。(略)太宰はさっちゃん (注:山崎富栄、太宰と玉川上水に入水) に耳打ちして、電話をかけさせる。日曜日でどうかと思われるが、さほど遠くないところに、二人とも懇意な筑摩書房と八雲書店とがある。太宰さんが豊島さんところに来ているが、お酒が手にはいるまいかとねだる。お代は原稿料から差引きにして、と言う。――両方に留守の人がいた。八雲から上等のウイスキーが一本届けられ、夜になって、筑摩からも上等のウイスキーを一本、臼井君が自分で持参された」 それからまた飲み直し翌日の夕方、再び顔を出した八雲書店の亀島さんと筑摩書房の臼井さん、さっちゃんに護られて太宰は帰って行きます。 「背広に重そうな兵隊靴、元気な様子はしているが、後ろ姿になにか疲れが見える。疲れよりも、憂欝な影が見える。 それきり、私は太宰に逢わなかった。 逢ったのは彼の死体にだ。(後略)」
太宰が玉川上水で入水自殺する二ケ月前のことです。

森田さんから

今週はお休みです。
                              

龍翁余話

龍翁余話(126)「歌舞伎座さよなら公演」

今年2月21日に配信した『龍翁余話』(118)「歌舞伎座」以来、すっかり歌舞伎づいてしまった。先日、翁の愛弟子(我が社の演出家)関根 清が監督したシネマ歌舞伎2本、『蜘蛛の拍子舞(くものひょうしまい)』と『身替座禅(みがわりざぜん)』の試写会に行った。『蜘蛛の・・・』は、源頼光(みなもとのらいこう=尾上菊之助)とその家臣・渡辺 綱(わたなべのつな=尾上松緑)、坂田金時(さかたのきんとき=坂東三津五郎)、碓井貞光(うすいさだみつ=中村萬太郎)、卜部季武(うらべのすえたけ=尾上右近)ら、いわゆる四天王による土蜘蛛退治の物語。坂東玉三郎演じる女郎蜘蛛(妻菊)の美しくも妖気漂う変化(へんげ)に息を呑む。歌舞伎の醍醐味を充分に堪能出来る古風でスケールの大きい舞踊劇。“拍子舞”とは拍子に乗って歌うように台詞を言いながら踊る技法。
『身替・・・』は、恐妻と浮気夫のだまし合いのユーモア溢れる狂言(舞踊劇)。大名の山蔭右京(やまかげうきょう=中村勘三郎)は、恋人の花子に逢いに行きたいが、奥方・玉の井(たまのい=坂東三津五郎)の外出許可が出ない。そこで屋敷内にある持仏道(じぶつどう)に籠もり座禅の行(ぎょう)をすると嘘をつき玉の井を納得させる。右京は太郎冠者(たろうかじゃ=市川染五郎)を呼び身替りとして衾(ふすま=現代の掛け布団)を被せ「誰が来ても、この衾をとるな、声を出すな」と言い聞かせ、急いで花子のもとへ向かう。が、結局はバレル。怒った玉の井は太郎冠者に代わり衾を被って右京の帰りを待つ。
夜も更けて何も知らずに千鳥足で帰ってきた右京は、衾の中の太郎冠者(実は玉の井)に、花子との逢瀬の一部始終を語る。衾の中で怒りに震える玉の井とほろ酔い加減に舞う右京の浮かれぶりとの対比が実に面白い。勘三郎の“目の演技“に”芸術“を見た。(このシネマ歌舞伎は5月15日から全国一斉公開、製作・配給は松竹)。

映像だと、手・足・目の動きがアップで撮られ、それぞれの役者の演技力(芸の真髄)を見ることが出来てそれなりに楽しめるが、芝居やコンサートなどは、やはりナマがいい。あの独特の雰囲気(舞台と客席の一体的空間)に身を置くこと自体、浮き浮き気分だ。
見納め歌舞伎座(前景) 「さよなら公演」4月演目 名優たちのブロンズ群(2F)

つい先日、福岡の親友Mさんと『歌舞伎座さよなら公演』(第2部)を観に行った。『寺子屋(てらこや)』、『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』、『藤娘』が演目。
『寺子屋』は、重厚な義太夫狂言の名場面。時は醍醐天皇の御世(平安時代)、藤原時平(左大臣)は、天皇に讒言(ざんげん=ありもしない事柄をデッチあげ)して政敵・菅原道真(右大臣)を九州・大宰府へ左遷させる。寺子屋を営む道真の旧臣・武部源蔵(片岡仁左衛門)は道真の子・秀才(しゅうさい)を匿っていたが、そのことが時平に露見、秀才の首が打たれることになる。源蔵は妻・戸浪(中村勘三郎)と図って寺子の中から身替りをたてようとするが、みな山家育ちの子どもばかりで秀才ほどの器量、才気を備えた子どもはいない。しかも首実験を行なうのは、かつて源蔵と共に道真に仕えた松王丸(松本幸四郎)だから、当然、秀才の顔を知っている。源蔵夫婦が困り果てていたところへ、突然、小太郎という気品に満ちた子どもが入門してくる。源蔵夫婦は泣き泣き小太郎を秀才の身替りにしてその首を松王丸に差し出す。松王丸もその首を秀才と認める。やがて小太郎の母・千代(坂東玉三郎)が息子を迎えに来る。源蔵は千代に斬りかかるが千代は「わが子・小太郎が身替りの役にたちましたか」と尋ねる。驚く源蔵夫婦。そこへ松王丸が再来、実は身替りの小太郎は松王丸・千代の息子であったことが明かされる。涙を誘う名場面に目頭を押さえる観客があちこちに・・・

『三人吉三・・・』お嬢吉三(尾上菊五郎)は夜鷹・おとせ(中村梅枝)の懐から百両を奪い取った挙句、大川へ突き落とす。それを見ていたお坊吉三(中村吉右衛門)がお嬢から百両を巻き上げようとして二人は争う。そこへ通りかかった和尚吉三(市川團十郎)が仲裁に入る。互いに名乗り合ったら偶然にも三人とも“吉三”。そこで義兄弟の契りを交わす。七五調の台詞でお馴染みの黙阿弥(幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者)の名作だ。『藤娘』(藤の精)を演じる坂田藤十郎は、さすが人間国宝だけあって年齢(79歳)を感じさせない艶やかさ、五変化(衣装の早替わり)も見事。

ところで翁、今回の観劇で特に関心を強め注目したのが舞台の左右で演じる浄瑠璃と歌舞伎音楽囃子。浄瑠璃は三味線を伴奏楽器として太夫(浄瑠璃を語る人)が詞章(ししょう)を語る音曲で、それは単なる歌ではなく劇中人物の台詞やその仕草、状況の描写をも含むところから“語り物”と言われている。さらに歌舞伎音楽囃子も歌舞伎には欠かせない。三味線、能管(笛)、大小の鼓(つづみ)、摺鉦(すりがね)、太鼓などがそれぞれの場面(情景や人物の心理・感情)を盛り上げる。

盛り上げる、といえばもう1つ“大向こう”がある。劇場の3階辺りから舞台に向かって「成田屋(市川團十郎)」、「音羽屋(尾上菊五郎)」、「中村屋(中村勘三郎)」、「高麗屋(松本幸四郎)」、「松嶋屋(片岡仁左衛門)」、「山城屋(坂田藤十郎)」、「大和屋(坂東玉三郎、坂東三津五郎)」など屋号で声を発する。その掛け声を自分の演技(演出)にうまく活用する役者もいるそうだ。しかし、その掛け声、むやみに発しては舞台(劇)を台無しにする危険性もある。有名役者が舞台に登場した時、見得を切る時、引っ込む時、語りや鳴り物がない時などが一般的である。原則としては男性なら誰でも声を掛けていいのだが、歌舞伎座の場合は“掛け声の会”というのがあって、簡単な審査(歌舞伎の歴史、俳優の屋号、掛け声の実技など)が行なわれ、その会に所属することを条件に“木戸御免”(無料入場)制度があるそうだ。但し、殆どの場合、3階席。そもそも“大向こう”とは、安い料金の席(3階席)を買って、しょっちゅう劇場に足を運んでくれる歌舞伎ファンのこと。彼らはかなりの歌舞伎通(かぶきつう)で、役者たちの演技が彼らから喝采を得られれば“大向こうをうならせた”ということになる。

歌舞伎の、あの独特の音曲やセリフ回しは、正直なところ翁は(国語的理解力としては)半分くらいしか聞き分けることが出来ないが、拍手を送りたい箇所、掛け声を発したい所では自然と反応する。プロの掛け声、拍手とタイミングが合った時は、それなりに嬉しいものだ。声は出さないけれど拍手は送る。その時、舞台との一体感を実感する。

さて、明治22年(1889年)にその第一歩を踏み出した歌舞伎座は、大正13年(1924年)に現在の建物の原型である奈良朝桃山様式の大殿堂が落成、戦時中の空襲で消失したが、昭和26年(1951年)に現在の歌舞伎座が復興。しかし老朽化が進みこの4月末日をもって解体、建て替え工事に入る。新しい歌舞伎座がお目見えするのは2年後の2013年春の予定だ。あのカビ臭い古びた場内には半世紀を超える歴史の匂いがあって、翁はその雰囲気が大好きなのだが、“危険”とあっては建て替えも仕方あるまい。風雪に耐え抜いた場内の柱や床、天井に名残を惜しみながら「さよなら」を告げた。親友Mさんも“最後の歌舞伎座”を存分に堪能した様子だった。「行く春に 歌舞伎囃子の 音(ね)も寂し」・・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

ジャズ&ポップ−今週のお奨 めアルバム

 

今週も先週と同じ春にちなんだ曲名の入ったアルバムのご紹介です。
日本のジャズボーカリスト、AkikoのGIRL TALKです。
1976年さいたま市生まれ。
一曲目のSpring Can Really Hang You Up The Nostはピアノだけの伴奏で歌っている美しい曲です。
GIRL TALKはスイングジャーナル誌主催2001年ジャズディスク賞<ニュースター賞>を受賞しています。
"GIRL TALK"  Akiko (2001年6月26日)

1.Spring Can Really Hang You Up the Most 7:20
2.Love Is Here to Stay 4:00
3.Don' Cha Go 'way Mad 4:25
4.Crazy He Calls Me 4:30
5.Close Your Eyes 4:24
6.Girl Talk 4:58
7.Sweet Georgia Brown 3:30
8.Fly Me to the Moon 2:55
9.Night and Day 3:50
10.Autumn Leaves 3:47
11.Honeysuckle Rose 2:40
12.Born to Be Blue 5:23
13.Rim Shot - On & On 4:16

雑貨屋ウィークリー537号から紹介をはじめたジャズのアルバムをリストにしました。
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm
《R.O.》

編集後記

関西加州会でお会いした菅原芳延さんはJAZZのプレーヤー(Sax)ということで4月21日心斎橋のラグタイムでライブがあると言われていました。 
関西加州会の皆さん、サウスベイの皆さん、読者の皆さん、もし何か皆さんに伝えたいことなどがありましたら、ご遠慮なく私に連絡してください。記事も大歓迎です。

雑貨屋のブログ→ http://zakkayanews.jugem.jp/
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.727

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com