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NO.722                Ryo Onishi              3/14/2010  

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雑貨屋のひとり言

花粉症のシーズンです。飲み薬は朝と夜2カプセルずつ飲むようになっています。
しかし用法どおり2カプセル飲むと眠くなります。
1カプセルだけ飲んだらどうかとやってみたら、これでもちゃんと効果はありましたし、眠くもなりません。いいことを見つけました。≪R.O≫

文化講演会、老いを楽しむ(3)

 ――― 前号から続く ―――
土岐雄三さんの講演『老いを楽しむ』の内容についての続きです。
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若い方には実感はないと思いますが、私のような年齢になると人生の残りは少ないです。例えば、懐の中に一万円札が何枚もはいっていれば、百円玉ひとつくらい落としても別に騒ぎませんが、懐の中が淋しくなり、残りが千円か二千円になると、――― 特に私の場合なんかあと五百円くらいしかないでしょうから――― そうすると百円は大切になってきます。同じように人生の持ち時間が刻一刻と減って行くと、残りの時間を大切になります。

私は山本周五郎という作家に非常に可愛がられまして、戦後、私が本名でものを書き始めたころ、それがたまたま山本さんの目にとまって、彼がこの男に会いたいといってくれ、お目にかかったのがきっかけで、彼の仕事部屋の横浜へも行くようになりました。

あるとき、私が山本さんにカミさんに対する愚痴を言ったことがあります。そしたら山本さんが私に言うには「キミ、それはキミが悪いんだ。女房を誉めるのは亭主以外にはないんだ。おまえ、自分の女房をもっと誉めなければダメなんだ。大体、日本人の亭主は奥さんに対し怠けものなんだ。イギリス人を奥さんにしたある日本人の弁護士さんは、一日に3回『君を愛している』って言わなければならないそうだ」 ――― そりやねえ、結婚して二年や三年目なら言えるでしょうよ。でもねえ、10年も20年もたって『お前を愛しているよ』なんて言えませんよね。

さらに山本さんがいうには、『愛してるよ』だけでは不十分で、日に一回は彼女の肌に触れてやる必要もあるんだそうです。私はカミさんの肌に触れるなんてことは長い間ごぶさたしていました。たとえばコタツの中で互いに足が触れ合ったりしても、つい足をひっこめたりしちゃって。 ――― なんか汚物にさわったような気分がしちゃって・・・

でも気を取り直してずーとさわっていると決して汚物感はなくなるんです。そこでわかったのですが、愛しているものは可愛がってやらないとダメですね。

世の中には陰の苦労をしてくれる人たちがたくさんいます。たとえば、私のこの時計は誰が作ったのか知りません。この眼鏡も誰が作ったのかわかりません。でも誰かが作ってくれたから今、私の役に立ってくれているんです。このように考えると、世の中のすべてはみなめぐり合い、出会いです。

私の部屋の片隅に小さな箱があるんです。私はこれに『ご隠居箱』と名をつけて、これまで長い間使ってお役の終わった、壊れた時計とか、縁のとれた眼鏡とか、小学校時代の徽章とか、あるいは昔銀行に勤めていたときのバッジとか、みんなそこに入れてあるんです。――― 「そのうち、あなたも入ったら?」なんてカミさんに言われてますけど・・・
こんなふう私は70年以上の人生で50年以上にわたりカミさんと暮らしてます。

私は『日本ペンクラブ』という団体の理事をしています。『ぺんクラブ』のペン(PEN)というのはPlaywrights(劇作家)、Poets(詩人)、Essayists(随筆家・評論家)、Editors(編集者)、Novelists(小説家)等の頭文字を表すんです。これは国際的な文化機関で、言論・表現の自由を守るのが基本なんです。そのペンクラブの理事をやっている私が自宅へ帰ったらちっとも言論の自由がないんです。

でも考えてみれば、西郷隆盛は歴史に残っていますけど、西郷隆盛の奥さんはどういう人かはあまり知られていません。木戸孝允の奥さんはどういう人かわかんない。内助の功という言葉がありますが、奥さんはご主人を働かせた人なのです。

私もなんだかんだ、あちこちう、うろうろしましたけど結局はカミさんのところへ帰ってゆくのです。やがて時間の問題で、私かカミさんか、どちらかが先に逝くことになります。いづれにしてもう時間の問題で、私もボツボツ西のほうへ逝くときが迫ってきています。私が先に行ってあの世でいい場所を取って待っていようと思っています。

いま、私はここに来ていただいた聴衆の皆さんの大切な持ち時間を頂戴しています。私も皆さんに私の持ち時間を皆さんに提供してます。『老いを楽しむ』とは自分の持ち時間を楽しむということです。どうかみなさんご自分の人生の持ち時間を存分に楽しんでください。私が先に逝ってあちらでお待ちしています。ありがとうございました。
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上記のように、土岐雄三さんは、どう見ても非は自分にあることを承知しつつ「カミさん」への愚痴をめんめんと述べていらっしゃる。こんなに奥さんを無視し、奔放な生き方をされては、いまの時代では到底受け入れられないことでしょう。土岐氏の奥方へ心から同情を禁じえないところです。でも、私の勝手な推測ですが奥方もご亭主のこんな気性に惹かれていたのではなかったでしょうか。土岐雄三氏は平成元年に82歳で亡くなりましたが、死を意識した最後の作品「これが最後の『カミさんと私』の物語」の中で、「八十年という放浪の旅もそろそろ終わりだ。最後にヒトコト。かあさんゆるしてくれ―――」と締めくくっています。
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言「」

今週はお休みです。

川柳(東京・成近)


 


( 川 柳 )

つい駆ける癖定年の靴になお

それなりの夢を浮かべたコップ酒

年金の額に合わせる守備範囲

無位無官です自己流の名取です

晩鐘に諸行有常と励まされ


( ニュースやぶにらみ )

「ひびだらけ」
受け皿 −自民党

「ウオッカ引退」
酔わせてもらった −競馬フアン

「カネ疑惑」
先生からセンセイに −北教組

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

森田さんから

今週はお休みです。
               

龍翁余話

龍翁余話(121)「大相撲のこんな話」

きょう(14日)から大相撲3月(大阪)場所が始まる。朝青龍の引退について「多少、行儀が悪くても、強い横綱がいないと土俵が寂しい」、「(彼がいなくなって)すっきりした。大相撲が清廉で爽やかに思える」など、意見はさまざま。翁は?と問われれば勿論、後者“清廉で爽やかに思える”だ。翁『余話』でこれまでに何回か“朝青龍叩き”をした。その度に数人の読者から「モンゴルから異国(日本)にやって来た少年が、頑張って横綱になった。その彼に、日本精神だの作法などを求めるのは可哀想だ。多少の我が侭を見逃してやる寛容性もあってもいいのでは?」という同情的反論を頂戴した。が、それは違う。その同情と寛容が“甘やかし”となって彼をますます増長させ、相撲道ばかりでなく我が国の伝統文化までもないがしろにする“独善者”にしてしまった。その責任は1に馬鹿師匠、2に馬鹿協会、3に馬鹿マスコミ(特にワイドショーの馬鹿リポーターたち)だ。あれほどチヤホヤされれば(未熟な人間は)よほど自分は偉いのだ、という大いなる錯覚に陥る。しかし、これまでにも異国(ハワイ)からやって来て関脇・大関・横綱をつとめた人気力士はいた。今も頑張って相撲をとっている外国出身者は沢山いる。彼らの殆どは土俵上の礼儀作法を守り、私生活でも力士としての自覚を持って日本文化に慣れようと研鑽している。翁は、そんな力士たちへの声援は惜しまない。そんな外国人力士たちの一生懸命な姿を観て、日本の子どもたちが、逆に日本精神の素晴らしさを学び、尊ぶ心を養い、他国の歴史や文化にも敬意を払える大人になってくれるなら、大相撲は、正に国技の名に相応しい伝統文化発信の道場となり得よう。

さて、大相撲の場所が始まる度に、十両の土佐ノ海(伊勢ノ海部屋)から必ず番付表が送られてくる。土佐ノ海はその名の通り土佐の出身。今ブームの坂本龍馬(高知市)ではなく、岩崎弥太郎(三菱財閥の創始者)と同郷の安芸市の出身だ。今でこそ十両だが、かつては関脇(97年、04年)をつとめた。今年38歳の古参力士だから、多分、近い将来に現役を退き親方になるだろう。翁と土佐ノ海とはそれほど深い付き合いではないが、一度、一緒に食事して彼の律儀さ、礼儀正しさを知り、途端に翁は彼の大ファンになった。人間的に成熟したこんな男が親方、協会幹部になり、新理事・貴乃花らと一緒に後進の指導や改革に当たるなら、数年後“大相撲維新”は必ずや成る、と翁は確信する。

番付表の相撲文字は、歌舞伎文字、寄席文字とともに江戸文字と呼ばれ、それなりに味わいはあるが、読みづらいこと甚だしい。幕内や十両までは何とか読めるが、幕下、三段目(番付表の三段目に書かれる)、序二段(一番下の序ノ口から1つ上の2段目に書かれる)は老眼鏡が必要。そして序ノ口は虫眼鏡でなければ読めない。だから相撲界では序ノ口を“虫眼鏡”と呼ぶ。なお、十両という地位は江戸時代にはなく、明治になってからの格付けで、当時の(そのランク力士の)年俸が10両だったことに由来するらしい。ついでに江戸時代から明治にかけての貨幣価値を調べてみたら、1両の価値は江戸時代初期で今の10万円、中期で5万円、幕末から明治にかけては3〜4千円だったそうだから、当時の十両力士の年俸は4〜5万円。当時としてはかなりの高給取りだっただろう。現在の関取(十両以上の力士)の月給は十両が104万円、前頭131万円、小結・関脇169万円、大関235万円、横綱282万円。(千円単位は四捨五入)

お金の話になったので、ついでに“懸賞金”について触れておこう。(1991年から)懸賞金1回(1本)6万円、1場所につき5回(30万円)以上から受け付ける。6万円のうち5千円は協会の事務経費(取り組み表への掲載費、場内アナウンス費および企業団体名のキャッチコピー費など)、2万5千円は納税充当金として獲得者本人名義で協会が預かる。税金を支払った残金は貯金され、引退時に本人に還付される。したがって勝利力士が勝ち名乗りに際し手刀を切って受け取る賞金(袋の中)は手取りで3万円。更に本場所の各段優勝、三賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)の金額は、幕内優勝1000万円、十両優勝200万円、幕下優勝50万円、三段目優勝30万円、序二段優勝20万円、序ノ口優勝10万円、三賞(各)200万円だそうだ。こんな“大相撲のこんな話”を知っておいてテレビを観るのも一興だろう。(関取の月給、賞金等の金額は、いずれも2010年3月現在)

翁、たった一度だけ東京場所を観に行ったことがある。その時は、今の両国国技館ではなく蔵前国技館(1984年閉館)で、あの名横綱・大鵬が32回目の優勝を成し遂げた1971年(昭和46年)1月場所のことだった。ある企業からの“マス席招待“だった。マス席のAだったかBだったか記憶にないが、正面土俵の10列目くらいの場所、1.5m四方の狭い間仕切りに座布団が敷かれ4人が押し込められた。土俵からは比較的近かったので、仕切りの間の緊張感が伝わり、立会いの時の気合やぶつかり音が聞こえて迫力満点。その間、袢纏姿のお兄イさんが、4人分の酒やつまみ、食事(3重箱)、お土産(力士の名入り暖簾や手ぬぐい、大鵬のサイン入り1合枡など)を次々と運ぶ。昔ながらの相撲情緒が味わえた観戦だった。なお、大鵬は、その年の5月に引退した。

3月場所の番付表を見たら幕内(横綱以下41人)の中にモンゴル10人、ブルガリア、エストニア、ロシア、韓国が各1人、グルジアが2人、計16人の外国人力士がいる。十両にも4人いる。2002年から外国人力士は“1部屋1人”と決められた。「相撲は日本の国技、外人は要らない」という意見もある。翁も本来は日本人力士だけの大相撲がいいと思うが、もうこんな時代だから“1部屋1人”程度の枠で外国人力士を採用することに反対はしない。但し、きちんとした相撲道と日本の伝統精神・文化の何たるかを指導し、かの傍若無人力士を作らないことが絶対条件だ。さて、今までテレビ中継を観なかった翁、今場所から“清廉・爽やかな気分で”テレビ観戦を楽しむことにする。日本人力士の奮起と大好きな土佐ノ海関の健闘を祈るや切・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

ジャズ&ポップ−今週のお奨 めアルバム

 

私がサウスベイに住んでいたころFM放送局"KTWV"(94.7MHz)を毎日聴いていました。
さわやかな南カリフォルニアらしいSmooth Jazzが私のお気に入りでした。KTWVはNEW WAVE JAZZ Stationとも呼ばれ、クラシックジャズではなくフュージョン系のジャズが多く、電子楽器を使った音楽が多かったと思います。私が好きだったのがDave GrusinやBob JamesといったアーティストのJAZZでした。これが私がジャズを聴くきっかけになっています。ジャズが24時間いつでも聴ける放送があるアメリカをうらやましいと思ったものでした。今回はDave Grusinの出世作であるアルバムをご紹介します。

Night-Lines Dave Grusin

(1984年発表)

1. Power Wave
2. Thankful N' Thoughtful
3. Theme from St. Elsewhere
4. Haunting Me
5. Secret Place
6. Night Lines
7. Tick Tock
8. Kitchen Dance
9. Somewhere Between Old and New York
10. Bossa Baroque

雑貨屋ウィークリー537号から紹介をはじめたジャズのアルバムをリストにしました。
http://www.zakkayanews.com/jazzlist.htm
《R.O.》

編集後記

みなさんPCのセキュリティソフトはどうされていますでしょうか?
無料のアンチウィルスソフト"アバスト"をインストール使ってみました。
チェコで開発されている海外製のソフトですが、日本語に対応しています。
無料にしてはいいソフトではないかと思います。

雑貨屋のブログ→ http://zakkayanews.jugem.jp/
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.722

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com