――― 前号からの続き ―――
(番外2):戦後の経済成長とベビーブーム
(1)第二次世界大戦後、アメリカの経済は、かつてなく安定した長期の成長局面に入った。1945年〜70年まで、GNPは年平均3.5%成長し続け、この間に5倍になり、国民実質購買力も大幅に伸びた。
(2)出生率も急激に増加し、1946年〜60年までの出生数の
6,350万人は史上最大だった。そしてベビーブームは、住宅建設ブームへとつながり、政府の低金利住宅建設資金の貸付を受け、多くの中産階級向け住宅が建設された。そしてその多くが都市の郊外に建てられた。(1950年〜60年の間に建設された住宅1,300万戸のうち1,100万戸は郊外に建てられた)
(3)全国各地に、郊外型の広い駐車場に囲まれたスーパーマーケットやショッピングモール、ガソリンスタンドのある郊外コミュニティが出現した。
(4)この郊外コミュニティの誕生を可能にしたのは、アメリカに縦横に張り巡らされたハイウエイだった。
(5)1956年、アイゼンハワー政権によって「州間及び国防ハイウエイ全国網(National System of Interstates
And Defense
Highway)」が立法化され、インターステイツ・ハイウエイの建設費のほゞ90%が連邦予算、残りを州政府予算の分担され、大規模な高速道路建設計画は、アメリカ史上最大の公共事業であった。
(6)因みにこの時代に5万人以上の都市のほとんどを結ぶインターステート・ハイウエーの 着工を可能とする法案を起草したのが、1953年〜71年まで連邦上院議員を務めたアルバート・ゴア・シニア(現在のゴア副大統領の父)であるであったことはよく知られている。
(7)必然的に自動車需要は急増した。1960年代から70年にかけて、2台以上の自家用車を持つ家庭も珍しくなくなった。
*自動車登録台数:1945年 約2,500万台、1970年 約9,000万台
(8)ハイウエイ沿いには宿泊設備が立ち並び、公園や、さまざまなリクリエーション施設が家族旅行客を受け入れた。(1955年 ディズニーランドがオープンした)
――― 次号へ続く ―――
河合将介(skawai@earthlink.net) |