1月20日、アメリカ合衆国はオバマ新大統領の誕生により新たな歴史のページが始まりました。世界を震撼させた未曾有の経済・金融危機と世相の不安の中で、オバマ新政権がどのような政策をとるのか、アメリカだけでなく世界中が彼の力量と指導力に期待し、注目しています。
嘗て1920年代の末に経験した大恐慌の直後、アメリカ合衆国第32代の大統領に就任したフランクリン・ルーズベルト(Franklin
Delano Roosevelt=F.D.R.)は、後の世に有名な「ニューディール政策」を打ち出し、改革によって経済の立て直しをはかりました。彼は農業調整、失業救済事業、産業復興、公共事業他で法的整備をし、連邦政府の主導による産業の振興を実現させました。ただし、この「ニューディール政策」による“チェンジ”もその後の評価は必ずしもポジティブなものだけではなく、たとえば肝心の失業問題も最終的に解決するにいたったのは第二次世界大戦の勃発に負うところが大きかったといわれたりしています。
今のアメリカと世界を取り巻く経済金融環境は、ある意味で当時のアメリカと相通ずるところがあり、今回の危機的状況を解決するため、オバマ政権にもオバマ流の新「ニューディール」が期待されています。
オバマ大統領はしばしばフランクリン・ルーズベルト大統領にたとえられたり比較されたりされています。そこで、この時期にフランクリン・ルーズベルト大統領(以後の記述では「F.D.R.」とします)について学んでみればオバマ流改革の方向に対する何かのヒントが見えそうな気がしたので、F.D.R.の経済政策について参考になるような本やインターネットで調べてみました。参考資料として次の資料を使いました。以下の覚え(メモ)はすべてこれらの資料からの引用(または参照)であり、私自身がF.
D. R.を知るためのメモであることをお断りしておきます。
*引用・参照資料:
「ルーズベルト、ニューディールと第二次世界大戦」
(新川健三郎著、清水新書)
「パクス・アメリカーナの光と影」
(上杉 忍著、講談社現代新書)
「ルート66、アメリカ・マザーロードの歴史と旅」
(東 理夫著、丸善ライブラリー)
「フランクリン・ルーズベルト」(T.V.番組、知ってるつもり)
その他、インターネットからの情報 |
〔T〕F. D. R.について
F. D. R.は
1933年3月4日、アメリカ合衆国第32代大統領に就任し、1945年4月12日脳溢血のため死去するまでの12年間、アメリカ及び世界の指導者として生きた。世界の現代史における最も卓越した政治家の一人と言われている。
【注】:アメリカ合衆国は初代大統領のジョージ・ワシントンからの慣例として任期は2期(8年)となっていたが、唯一の例外がF. D.
R.で、4期再選され、12年余り職務を遂行した。なお、その後1951年合衆国憲法修正第22条により、大統領の任期は2期を越えられないとする規定が設けられた。
F. D. R.が、アメリカはもとより、世界の現代史における最も卓越した政治家の一人と言われる理由としてつぎのようなことがあげられる。
(1)、大恐慌の経済的破局に際して、アメリカ経済の体質を変えるような大胆な政策の実行。
(2)、第二次世界大戦において、連合国側の指導者として優れた手腕を発揮。
即ち、社会不安と国際紛争に揺れた危機の時代に、歴史とともに歩み、その中に偉大な足跡を残した。ニューディールを推進し、反ファッシズム戦線の先頭に立った彼は、「進歩的な改革者」、あるいは「民主主義の擁護者」と高く評価された。
但し、他方では、その輝かしい業績は認めながらも、彼は確固としたイデオロギーや思想を持たない「日和見主義的な政治屋」にすぎず、共産主義勢力の脅威を充分に認識しなかった「楽観的な理想主義者」とも批判されている。
また、彼がこれまでの危機的経済状況から、国を立て直すことが出来た理由として挙げられるのは、
(1)、アメリカ国民の圧倒的多数から支持された。
(2)、失政を恐れず、積極的に改革に挑んだ。
(3)、弱者救済を基本理念とした。 ――― 以下次号に続く ―――
河合将介(skawai@earthlink.net) |