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NO.658                Ryo Onishi              12/21/2008  

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雑貨屋のひとり言

あと10日ほどで今年も終わりです。暗いニュースが多い一年でした、チェンジもありましたが、「変」なこともたくさん起こりました。我が家は息子と娘の結婚でファミリーが増えました。日曜日、我が家でにぎやかに忘年会をやりました。来年もきびしい状況が続きそうですが、自分らしく楽しく生きていきたいものです。
≪R.O≫

寒 い 年 末(1)

 中学時代の友人夫妻が日本から訪ねてきてくれたので、私たち夫婦は案内のため3年ぶりにラスベガスへ一週間ほど行ってきました。

事前の報道ではカジノとエンターテイメントの街ラスベガスも不況下にあり、集客・収入ともに前年を下回っているとのことでしたが、そこはさすが世界の不夜城繁華街だけあり、集まってくる観光客も多いし、街中いたるところ大きなビルの建設ラッシュも見られ、あまり不景気の実感は感じられませんでした。

しかし、表面的な活気と実態は大きく異なっている様子もうかがえました。閉鎖されたカジノ場があったり、オーナーやマネジメントの変更に伴い名前が変更になっているカジノホテルも多く、カジノ経営も決して楽ではなさそうでした。

 私たちのラスベガス滞在中は天候に恵まれ快適でしたが、最終日のロサンゼルスへの帰路、途中のビクタービルでは予想外の大雪にめぐり合わせ、フリーウエイは除雪のため大渋滞し、通常なら20分ほどで通過できるところを3時間あまり費やすことになってしまいました。ロサンゼルス周辺で雪による被害など高地を除いてありえないはずなのに、景気が冷え込むと天候まで影響をこうむってしまっているかのようでした。
 
 今年もあと半月あまり残すだけとなりました。アメリカも目下、年初には予想もしなかった不況の嵐の襲来中です。百年に一度ともいわれる地すべり的景気の悪化を食い止めようと各国の政府、金融当局は金利の引き下げはじめ、政策の総動員をかけ対応していますが市場も雇用も一向に改善の兆しどころか、さらに悪化が進んでいるようです。まさにいまは大恐慌への入口に突入したと言っても過言ではないのではないでしょうか。

比較的影響の少ないといわれていた日本の産業界でも12月の短観(企業短期経済観測調査)では急速な景気の落ち込みが確認されたとのこと、日本政府は2008年度の実質成長率の見込みをマイナス0・8%に下方修正し、09年度は実質0%成長とせざるを得なくなっているようです。でもこのまま進むと日本も実際には2年度連続のマイナス成長となるのではないでしょうか。

このような暗雲のもと、中小下請け企業の破綻や派遣契約社員から正規社員にいたるまでの大量解雇による雇用不安が発生など、来年以降の生活どころか、今年の年末も越せない企業主や一般勤労者が続出、犯罪事件や一家心中が多発する心配も大きくなっています。

金融当局によるゼロ金利と量的緩和政策、政府による雇用対策などがどれほど効果がでるのか期待を込めて見守りたく思いますが、ここまで落ち込んでしまった環境を回復するためにはかなりの期間が必要になることでしょう。

通常、資本主義のもとでは景気は循環するものであり、市場の原理からして上下するのはある程度はやむを得ないこととされていますが、しかし、今回の地すべり的降下を見るとき、昨年後半から始まったいわゆるサブプライム・ローンに発する一連の金融危機による不況という側面も拭いがたく感じられ、この問題がなければこれほど大恐慌に近い状況にはなっていなかったのではないでしょうか。

そういう意味では今回の不況は“人災”であり、人為的不況の側面もあるのではないでしょうか。そうだとすれば、そもそもサブプライム・ローン問題の発祥地であるアメリカには大いに責任があるということになります。――― 次号に続く ―――
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言

 

川柳(東京・成近)


 


( 川 柳 )

 賞罰は無しです職歴は一つ

賞罰の無しを案山子と笑い合い

健康を片目ダルマに褒められる

まだ老いは先と夫婦の万歩計

双六の上がりは100歳の笑顔

( ニュースやぶにらみ )

「年間の10大ニュース」
来年の候補かな −麻生首相

「増える失業者」
サンタさんは大丈夫かな −子供

「不況下の年賀状」
年が越せたらおめでとう −会社社長

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

句会場(千駄木)周辺ぶらり散歩(5)
団子坂C 「D坂殺人事件」 
 江戸川乱歩のデビュー作「二銭銅貨」の舞台に神楽坂が登場しますが、
初期の傑作「D坂殺人事件」(大正14年) のD坂は団子坂です。まだ乱歩に
なる前の平井太郎(本名)は大正8年団子坂に近い本郷区駒込林町で二人の
弟とともに古本屋「三人書房」を開いています。『D坂〜』の殺人事件も古本屋で起こった事件です。この作品で名探偵明智小五郎が始めて乱歩作品に登場し
ました。

 「それは九月初旬のある蒸し暑い晩のことであった。私は、D坂の大通りの
中ほどにある、白梅軒という、行きつけの喫茶店で、冷やしコーヒーを啜って
いた(中略)さて、この白梅軒のあるD坂というのは、以前菊人形の名所だった
ところで、狭かった通りが市区改正で取り拡げられ、何間道路とかいう大通りに
なって間もなくだから、まだ大通りの両側にところどころ空地などがあって、
今よりはずっと淋しかった時分の話だ。」 「いつもの荒い棒縞の浴衣を着て、
変に肩を振る歩き方で、窓のそとを通りかかった。彼(註:明智小五郎)は私に
気づくと会釈をして中へはいってきたが、冷しコーヒーを命じておいて、私と同じ
ように窓の方を向いて、私の隣に腰かけた。」

 大正8年頃の団子坂は道幅が拡げられて、もう以前のような急坂でもなく、
菊人形の小屋もない寂しい坂になっていました。

森田さんから

 
                                                                                                            

龍翁余話

龍翁余話(62)「天皇杯・全日本レスリング選手権大会」

未曾有の経済危機に襲われ、緊急対策の知恵も出ず、コップの中でウロチョロするばかりの無能な政治屋どもによって政治も経済も人心も混迷を深めるばかり。その煽りを喰らって会社倒産、生産(削減)調整、リストラ、内定取り消し、派遣社員の首切り、おまけに詐欺や殺人事件など暗い話ばかりで終わりそうな年末、何かスカッとする話題はないものかとエッセーのテーマを探していた矢先、親友のCさんから『天皇杯・全日本レスリング選手権大会』の観戦に誘われた。『龍翁余話』(44)「戦場にかける橋“最後の巡礼”」など、これまでに何回かご登場いただいているCさんは青山学院大学レスリング部のOB。卒業後40年近く経っても、なお後輩たちから“面倒見のいい兄貴(オジサン)”と慕われている男。大会は12月21,22、23日の3日間。そこで翁、エッセーを書く都合で今日(21日)を希望、朝9時過ぎ、JR原宿駅でCさんと待ち合わせ、東京・代々木第2体育館へ向かった。前号の柔道に続いて、また格闘技の話だが、お付き合いのほど・・・

翁、実はレスリングをほとんど知らない。プロレスは神戸(中学〜高校)時代、力道山を街頭テレビで観たことはあるが、以後、ナマは勿論、テレビでも観たことがない。プロレスのファンには申し訳ないが、ショー的要素が濃い(と思える)ので好きになれない。しかし本日のレスリングは、ショーではない。純粋なスポーツだ。しかも“天皇杯”の冠がつく。“にわか学習“によると、日本のレスリングの歴史は、84年前の1924年(大正13年)のパリ・オリンピックに参加した内藤克俊選手に始まる。彼は米国留学中にレスリングを習い、フリースタイルのフェザー級で3位に入賞した。初参加の銅メダルだから日本中が驚き、沸いた。その後、故八田一朗氏(日本レスリングの育ての親、元日本レスリング協会会長)らが、1931年(昭和6年)に早稲田大学にレスリング部を創設、これが日本におけるレスリングの本格的なスタートとなった、そうだ。

“レスリングをほとんど知らない”とは言うものの、近年、オリンピックで女子レスリングの活躍が目覚しく、翁、オリンピック種目の中で柔道と女子レスリングは必ず観るようにしている。だから吉田沙保里、伊調千春、馨の姉妹、浜口京子らの試合をナマで観たい、と思っていたのだが、残念ながら彼女たちの試合は、22日、23日(伊調姉妹、浜口は欠場とのこと)。しかし、本日行なわれる女子51kg、59kg、67kg級でどんなスターが生まれるか楽しみだ。もちろん、男子でも期待の選手は多い。Cさんの後輩・長谷川恒平(グレコローマン55kg級)の出場は23日だが、本日出場するグレコローマン84kg級の尾曲伸之祐(10月の全日本選手権で優勝)と同120kg級の河野隆太の両選手がCさんの席に挨拶に来た。ついでに翁も紹介された。礼儀正しい若者たちだ。これで翁の応援対象が決まる。

試合開始前にCさんからレスリングのスタイルとルールを学ぶ。女子は『フリースタイル』
だけ。男子は『フリースタイル』と『グレコローマンスタイル』。『フリー』は手足など全身を使って闘う。『グレコローマン』は足を使ったり、相手の足を攻めてはいけない。上半身(肩と腕)の力と力の闘い。試合時間は2分。相手の両肩をマットにつけた瞬間、フォール勝ち。ほかには、相手の背後に回り(1ポイント)寝技に持ち込む(1ポイント)、立ち技から相手を投げて肩を90度以上マットに近づける(3ポイント)など、ルールや判定法を教えて貰った。翁のようなシロウトには難しい、と思ったが、観戦しているうちに何となく審判員になったような錯覚を覚えるから不思議だ。やはり、ナマはいい。

熱戦が展開した。柔道の時もそうだったが、
観ている翁、力が入ってかなり疲れる。期待の尾曲選手は残念ながら2回戦で敗退したが、河野選手は3位に入賞した。素晴らしいのは、たとえ敗れても全力を出し切って闘った充足感だろうか、彼らの表情は、清々しい。まさにスポーツマンの顔だ。
資料によると、アマチュアレスリングは世界最古の歴史を持つスポーツ。紀元前2800年頃エジプトでレスリングが行なわれていたという。レスリングの「レスル(wrestle)」は、1人対1人が組み合って闘うという意味だそうだ。だから、ルールの遵守はむろんのこと、相手に対する礼儀、敗者への思いやりなど高邁な人間性が求められる。勝てばいい、というものではない。マナーの具現がそのスポーツ(技)をより美しくする。本日の観戦で、そのことを実感した。それは、柔道も相撲も剣道も空手も合気道も同じ。スポーツすべてが体力・技術とともに人格が加わってこそ一流の競技者と言えるだろう。こう書いているうちに、国技の最高位にふさわしくない男の顔が浮かんできた。

Cさんのおかげで爽やかなひと時を過ごせた。が、帰路、頬をかすめる師走の冷たい風で厳しい現実に引き戻された。政府はウロチョロした挙句、ようやく『生活防衛のための緊急対策』を発表した。「国民生活の不安を取り除く。とりわけ、年末を控え、雇用と企業の資金繰りを最重要課題として取り組む」とある。遅いよ、麻生さん、もう年末は終わるよ!手を打つのが遅すぎるが、今からでもいい、一日、いや、一刻も早く“実行”しなさい。政治家は、マスコミ的評論は不要、行動あるのみだ。ところが、せっかく行動しようとする首相の足を引っ張る輩が自民党に多すぎる。引っ張られる首相も軟弱だが、間隙を縫って勢力を強めようと企む連中の何と見苦しいことか、情けない。彼らに本日のレスリングを見せたい。ルールやマナーを守り、全身全霊をかけて闘う選手たちの美しい姿を見せたい。政治家たちよ、いつまでもコップの中の争い(党利党略=私利私欲)を続けていると、いずれ、国民からフォールされる(落とされる)時が必ずやって来るよ・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

ジャズの魅力−今週のお奨めジャズ

今週は邦楽女性ジャズボーカリストの鈴木重子です。たぶん二回目の紹介だと思います。落ち着いて聴けるジャズ、いいですよね。聴き覚えのある曲があり、味のある歌い方で聴かせてくれます。

鈴木重子 Breath of Silence

1 We've Only Just Begun
2 A Bady River
3 Overjoyed
4 Scarborough Fair
5 Annie Laurie
6 On The Road
7 この道
8 あなたへ
9 かぜのみち
10 Ave Maria

<R.O.>

編集後記

雑貨屋ウィークリーを毎週、発行できることをうれしく思います。今年も雑貨屋の発行があと一回となりました。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.658

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com