weekly

NO.655                Ryo Onishi              11/30/2008  

 weekly

 

LAの観光スポット ホームページ バックナンバー
 .
雑貨屋のひとり言

タイの反政府市民団体によるデモにより混乱が続き、空港閉鎖にまで発展しています。9月に訪れて良い印象だったタイなのに、ちょっとがっかりです。観光客だけでなくタイに進出している企業も困っています。このままではタイの印象が悪くなります。なんとか早く解決してもらいたいものです。
≪R.O≫

信じられない!(2)

  ――― 前号からの続き ―――
人種による差別は当然のことながら、人道上許されることではありません。しかし、アメリカ合衆国の場合、この国の成り立ち、歴史の中で奴隷制度という悲しい過去があり、いまだに拭い傷として残っています。

1860年代の南北戦争によりこの国で奴隷解放が宣言されたといっても、黒人たちに対する偏見・差別・蔑視はその後も長く続きました。南部諸州では人種隔離政策の名のもとに、交通機関やレストラン、さらには学校でも白人と黒人などの有色人種を分離することが当然のように行われていました。黒人がリンチを受けたり、黒人と白人が同じ蛇口から水を飲むことも許されなかったのは、それほど昔のことではないのです。

 20世紀中ごろになってようやく、黒人をはじめとする有色人種による公民権運動が本格的に盛り上がり、1964年7月、公民権法(Civil Rights Act)が成立し、彼らもアメリカ合衆国民として法律上平等な地位を獲得することになります。1963年のワシントンD.C.で行われた集会でマーチン・ルーサー・キング牧師が“I have a dream”と叫んだ演説は有名です。   

 どこかの記事で読んだ記憶がありますが、故ケネディ元大統領の弟、ロバート・ケネディ元上院議員(元司法長官、1968年に暗殺)が「40年後には黒人の大統領が誕生している可能性も十分にある」と言ったそうです。ロバート・ケネディ氏の予言(?)はまさに的中したことになりますが、これは例外として、公民権法が成立した当時、四十数年のちに黒人系大統領が誕生するとどれだけの米国民が想像できたことでしょうか。

タイガー・ウッズやマイケル・ジャクソン、オリンピック選手など、アメリカでも黒人が全米的に評価されている事例も多いですが、これはスポーツやエンターテイメントの世界であり、一国の元首で、軍の総司令官たる大統領となると話は別です。また、現政権下での国務長官であるコンドリーザ・ライス氏、前の国務長官のコリン・パウエル氏も黒人ですが、やはり国家のトップではありません。

 もうひとつ、私が個人的に今回の民主党の勝利を疑った理由がありました。私は過去2回の大統領選挙を思い出しています。2000年の選挙(ジョージ・W・ブッシュ vs. アル・ゴア)ではフロリダ州の開票結果が最後の最後までもめてブッシュ氏の勝利となり、2004年(ジョージ・W・ブッシュ vs. ジョン・ケリー)の時は結果としてはブッシュ氏の勝利とはなりましたが、ケリー候補の善戦により現政権への不満も多く、いかに国内世論の沈静化を図るかが最大の国内問題となったほどでした。この2回(2000年、2004年)ともに共和党に対し、何か“見えざる手”が働いたように思え、この点からも今回の民主党の勝利をいまいち信じられない気持ちにさせられていたのでした。

選挙運動期間中、オバマ氏の優勢が伝えられるにしたがって、国際情勢、国内情勢、治安の不安などの噂も耳にし、最後まで結果が見えない思いでした。

オバマ新政権は来年の1月20日に正式に発足することになりますが、世界とアメリカを取り巻く状況はまことに厳しいのが現実です。新大統領は新しい政策を実行に移す前に、目の前の諸クライシスへの対応に追われることでしょう。私たちもオバマ新政権に期待しながらも、ある程度長期展望で将来の変化を見守る必要があるのではないでしょうか。

「黒人大統領誕生」が特別な話題にならない時代になるにはさらに時間が必要でしょうが、今回の選挙がそのための第一歩になることは確かでしょう。アメリカ国籍を取得している知人の日本人が「今回の選挙を通じて、自分がアメリカ国籍を取得して良かったと思った」と語っていたのが印象的でした。
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言

 

川柳(東京・成近)


 


( 川 柳 )

 整形の鼻が銀座を闊歩する

ブランドの街で清楚が振り向かれ

シンデレラその後の沙汰を聞いてない

ドングリもやがて格差の渦の中

天婦羅の匂いかけそば嗅がされる

( ニュースやぶにらみ )

「快挙」
ホールイン億 −石川遼

「日馬富士(ハルマフジ)」
待ったをかけたい −国語審議会

「寒波」
だいぶ前から −兜町

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://homepage3.nifty.com/itukabouzu/

句会場(千駄木)周辺ぶらり散歩(2)
団子坂@  二葉亭四迷「浮雲」
句会場の駒込学園の正門を出て左へ行き、二つ目の信号の先右側に森鴎外の旧居観潮楼がありました。昭和12年の失火で半焼、先の戦災ですべて失しました。現在はその跡に本郷図書館鴎外記念室が建てられ、鴎外の貴重な遺品や資料が保管展示されています。そこから千駄木駅まで一気に下る坂が団子坂です。

この団子坂は数多くの文学作品に描かれており、二葉亭四迷「浮雲」、夏目漱石「三四郎」、 森鴎外「青年」、江戸川乱歩「D坂殺人事件」、室生犀星の詩「坂」, 宮本百合子「菊人形」、夏樹静子「螺旋階段をおりる男」、結城昌治「殺人者の一夜」、その他まだたくさんあります。
 
またこの千駄木周辺は江戸時代より、植木職人が多く居住し、菊の花の品種改良等が行われていて、安政年間(1854〜60)からは、菊人形展が団子坂行われっるようになりました。維新期には一時下火になったものの復活し、、明治20年代頃には道幅が2間半、現在の4分の1の狭さの急な坂道の両側に、菊人形の見世物小屋が並び、秋には大変な賑わいだったようです。

 以下は明治21年の二葉亭四迷の小説「浮雲」の一節です。
さてまた団子坂の景況は、例の招牌から釣込む植木屋は家々の招きの旗幟を
翩翻と金風に翻し、木戸々々で客を呼ぶ声はかれこれからみ合て乱れ合て、
入我我入でメッチャラコ、唯逆上ッた木戸番の口だらけにした面が見える而巳で、何時見ても変わッた事もなし。中へ這入ッて見てもやはりその通りで〜。

地雷也もがまも枯れたり団子坂 は菊人形を詠んだ正岡子規の句です。
 

森田さんから

                                                                                               

龍翁余話

龍翁余話(59)「痴呆症」

以前、仕事仲間だったW君、昨年までは月に1、2度は翁を訪ねてくれていたが、今年に入って、急に足が遠のいた。頻繁に交わしたメールも途絶えがちになった。『龍翁余話』を読んでくれているはずだが、反応(読後感)も無くなった。気にはしていたが“多分、仕事が忙しいのだろう”と思い、翁から問うことは控えていた。その彼が、先日、ひょっこり訪ねてくれた。酒好きの彼、(自分用の)缶ビール数個と、(翁のために)大福の土産を持参して・・・そこで、疎遠になった理由を初めて聞かされた。
「今年になって、おふくろ(86歳)がボケ始め(アルツハイマー型老年痴呆)、女房に面倒をみてもらっていましたが、その女房がダウンして入院、結局、私が、おふくろと女房の面倒をみなければならなくなり、とんだご無沙汰をしてしまいました」
「ご無沙汰はどうでもいいが、大変だったね。で、奥さんの容態は?」
「軽いギックリ腰とストレスからきた胃潰瘍でした。1ヶ月ほどで退院、また、おふくろの相手をしてくれています。それで今日、ご無沙汰のお詫びにお邪魔しました」
「お母さんは?」
「可哀想ですが・・・医者からは、いろいろなアドバイスをもらっているのですが、アルツハイマー型老年痴呆には、これといった治療方法はなく、ゆっくりではありますが、確実に進行するそうです」・・・

翁、2年前から近く(戸越銀座)のK医院へ毎月1回コレステロールの薬(メバロチン)を貰いに通っている。たまたま、そのK医院のロビーの本棚に『ボケないためのマンガ読本』(浴風会病院院長・大友英一監修、メディカル・ジャーナル社)が置かれていることを思い出し、先日、拝借してきた。以下は同本の抜粋(要旨)である。

老年期痴呆には、アルツハイマー型老年痴呆と脳血管性痴呆の二つがあり、日本人のボケの5、6割は、脳血管性痴呆と言われている。脳血管性痴呆は脳梗塞や脳動脈硬化を予防すれば、あるていどボケは防げる。動脈硬化は、加齢に伴い、程度の差こそあれ誰にでも起きる可能性があるが、進行度は、個人の体質や生活習慣が影響する。暴飲暴食(特に塩分のとりすぎ)、深酒、喫煙(翁、ドキッ)、ストレス、運動不足などは更に動脈硬化を促進させるので、日常生活の摂生がボケ予防の第一歩と言える。

ボケ(痴呆症)には、次の症状が見られる。
1.記銘力・記憶力障害
記銘力とは、ものを覚える能力、記憶力とは、覚えたものを忘れず保持しておく能力。それらの能力が低下する症状。たとえば、同じ事を何回も訊ねる。訊ねればいいほうだが、訊ねることも億劫になる。最近の新しい記憶は忘れやすいが、昔のことはよく覚えている。固有名詞や抽象名詞を忘れやすい。(翁も、幾分、その傾向が出てきた)
2.見当識障害
時・所・人と、自分との関係に正しい認識が持てなくなる。今日は何日(何曜日)で、今どこにいるか、相手が誰かが分からなくなる。これは生理的、病的なボケを区別する大事なポイントである。
3.計算力・思考力障害
簡単な計算が出来なくなる。判断力が低下し、質問されても同じ答えを繰り返す。こらえ性がなくなり、注意力が散漫になる。
4.感情障害
感情が不安定で興奮しやすく喜怒哀楽が激しくなる。時には鬱(うつ)的になり、被害妄想や嫉妬妄想に陥る。自己中心で頑固、わがままが著しくなる。(頑固、わがままは、翁は昔からだから心配ない)。
5.病識・感覚障害
ボケているという自覚がない。味覚・触覚・臭覚が衰える。
6.意欲・自発性・言語減少障害
何もする気力がなくなり、周囲に無関心、会話をしなくなる。
7.異常行動
夜間の徘徊、作り話、不潔行為、自傷、(不要な物の)収集癖、過食、浪費、(ところ構わず)排泄・・・この段階になると、厄介だ。

自宅で痴呆症老人を介護する人の心構えとしては、(1)ボケをよく理解する(2)心の平静を保ち、相手の気持ちになって接する(3)相手のプライドを尊重する(4)言葉は簡潔で的確に伝える(5)残っている能力を、うまく引き出す・・・
言うは簡単だが、長期戦ともなれば、W君の奥さんのように介護人の方が参ってしまう。
大問題だ。

お節介はしたくないが、少しでもW君の話し相手になれば、と思い“にわか学習”を試みたものの、現実に痴呆症になった母上を抱えて日夜苦労しているW君(夫婦)、こんな知識はとっくに熟知のこと、それより翁自身の問題に置き換えて肌寒くなった。ボケてしまったら自分ではどうにも手がつけられない。人間、老いは必ずやってくる。だから、一日・一刻をもっと大切にしたい。ボケないために普段から脳動脈硬化の予防だけは心がけたい、と、書きながら、いっぱいになった灰皿を見つめてニガ笑い。

「龍翁さん、一度、我が家に遊びに来て下さい。女房も喜びますし、もしかして、おふくろ、龍翁さんを見て正気に戻るかもしれませんから(笑い)」それはあり得ないが、近日中の訪問を約束、W君夫婦の励ましを兼ねて・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

ジャズの魅力−今週のお奨めジャズ

雑貨屋538号で紹介させていただいたFalling Love With Loveについで二曲目のHarold Mabern Trioのアルバムです。
思わず身体が動き出すそんなジャズです。力強いピアノが特徴です。
Harold Mabern Trio『Fantasy』

1. 恋をしたみたい
Almost Like Being In Love《 F. Loewe 》( 5 : 08 )
2. ハーレム・ドーン
Harlem Dawn《 D. Hathaway 》( 7 : 05 )
3. ロリポップス・アンド・ローゼス
Lollipops And Roses《 T. Velona 》( 5 : 20 )
4. セサミ・ストリートのテーマ
Sesame Street Theme《 J. Raposo 》( 6 : 33 )
5. 宇宙のファンタジー
Fantasy《 M. White 》( 6 : 58 )
6. ザ・サイドワインダー
The Sidewinder《 L. Morgan 》( 4 : 58 )
7. イット・オンリー・ハーツ・ホエン・アイ・スマイル
It Only Hurts When I Smile《 H. Mabern 》( 6 : 07 )
8. 陽気に踊ろう
Let's Face The Music And Dance《 I. Berlin 》( 4 : 11 )
9. ジャクソン・パーク・エル・トレイン
Jackson Park El Train《 H. Mabern 》( 4 : 11 )
10. あなたは私のもの
You Belong To Me《 P. W. King, C. Price, R. Stewart 》( 4 : 30 )

Harold Mabern 《 piano 》
Dwyane Burno《 bass 》
Joe Farnsworth《 drums 》
<R.O.>

編集後記

明日から12月ですね。あっという間に今年も終わりそうです。サブプライム問題に端を発した金融危機で世界中が不景気になってしまいました。気持ちだけは明るく持ちたいものです。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.654

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com