日本語、特に日本語による会話では 多くの場合、 主語は省かれます。 先日もある日本人だけのパーティで自己紹介をするのに、「どうも
こんにちは 河合でございます」 と挨拶したのを覚えています。 こんな私でも 相手がアメリカ人だと 、ちゃんと “Hi, my nane
is Kawai” とか、“ I am Kawai” とか言って 主語を付けてしゃべっています。
英語では大抵の場合、「それは・・・・です」 とか、「私は・・・・と思います」 のように
主語を最初に持ってきて、話し手や話題の焦点を明確にしながら話を進めるのが普通です。もちろん英語にも命令形とか日常挨拶、慣用句などには主語がないのがたくさんありますけれど・・・。
私に言わせれば、日本人は元来、察しの良い民族であり、どこかの国の英語と違って日本人の日本語はいちいち主語を最初に持ってこなくても、ちゃんと察して理解できるんではないかと思っています。
私はドイツ語はまったくダメですが、ある言語学者に言わせると、ドイツでは 例えば、「昨日 いつもの カラオケ・バー へ入っていったら
そこには誰もいなかった」 と(ドイツ語で)いう言い方は間違いだそうで、「昨日 いつもの カラオケ・バー へ入っていったら そこには
『私以外には』
誰もいなかった」。と言わなければならないのだそうです。なぜなら、その場所には『私』がいたのであり、『誰もいなかった』わけではないからだそうです。(私はそんなバカなことと、今でも思っていますが、どなたかドイツ語に詳しい人、これは本当ですか。教えて下さい)
その点日本語はファジー(あいまい)な表現が多く、ちょっと微妙な状況になると 主語なし、明確な肯定・否定なし、目的語なし・・
そんな日本語が立派に幅を利かせます。そんなファジーな日本語をそのまま和文英訳してみても、英語としては 不完全で、「一体
お前は何が言いたいのだ」 と言われるのが落ちでしょう。よく アメリカの人から 「日本人は何を考えてわからない」 といわれる
一つの理由はこんなところにもあるのかも知れません。
よく日本人ほど英語の修得と上達が遅い民族はいないと言われる事がありますが、これもファジー発想の日本語と、論理発想・自己主張主体の英語との本質的な違いによるところも多いのではないでしょうか。
(陰の声: ところでお前は いったい何をいいたいんだね。 言いたいことが さっぱり理解できなヨ)
(私の声:要するにだねえ、詰まるところ、何と言ったら良いか、つまり、いわゆる、エート ・・・・ )
河合将介(skawai@earthlink.net) |