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NO.618                Ryo Onishi              3/16/2008  

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雑貨屋のひとり言

暖かくなりました。ほっとします。暖かくぽかぽかの陽気の中、汗をかきながら一万歩歩きました。同じところを歩くだけではつまらないので、ローカルテレビ番組で杭瀬市場の中にある豆腐屋でおいしそうな湯葉豆腐が紹介されていたので、それを求めて行きました。杭瀬市場は昔ながらの市場で多くの店が並んでおり、活気のある市場でした。そこで売られている野菜など、家の近くのスーパーで売られているものより安く量も多いので驚きでした。それに無駄な包装もないしエコでもあります。
(R.O.)

ファジーな発想

世の中は複雑であり、そう単純に割り切れるものではありません。しかし、デジタル時代の今、すべての現象を0(ゼロ)と1(イチ)に分割し、イエス/ノーで決めつける論理がもてはやされています。

最近の若い日本人の皆さんはこちらがびっくりするほど単純明快に割り切る人もいますが、本来、日本的な発想とは、いわゆる 「二者択一、 二進法」ではなく(ものごとを明確に「分類・細分化」するのではなく)その逆で全体のバランスや相互関係、整合性を重んじるものであり、そう単純明快とはいかないものだったはずです。

ものごとを徹底的に細分化し、分類し、体系化する欧米的発想のおかげで、近代の学問と科学が大きく進展し、人類文化の進歩に貢献したことは確かですが、その反面これは妥協を許さぬ対決型思考であるため、物・心のバランスに欠けるという弊害を生み出していないでしょうか。

全体としての調和と、そこに見える全体像の体系化により、人間が人間らしく生きる道と真理を求める――。そこでは、必ずしもイエス/ノーで全てを割り切るのではなく、ファジーな発想が必要であり、重視されなければならないはずなのです。

ここでいう「ファジー」とは決して「いいかげん」とか「適当にお茶をにごしごまかす」と言うことでも「中途半端でうやむやにしておく」ことでもありません。物と心と自然のバランスを通して人間が人間らしく生き、自然と共生するための知恵としての「ファジー」です。そして人間関係においては相手にレッテルをはり、一方的に決め付けることではなく、互いの立場を尊重しあう心を持ち合うということです。

例えば私たちの日本語表現には省略や曖昧・婉曲な言い回しが多く、直裁で明確な表現を避けたり、裏の意味を持たせたり、その上、聞き手である相手の勘に頼る表現をすることが多くあります。このような日本語をそのまま字句通りに英訳して語ってみても、欧米的発想からすれば、「この日本人は何を言いたいのかさっぱりわからな〜い!!」ということになってしまいますので、配慮は必要ですが、日本的表現には聞き手に対する微妙な思いやりや、調和をいかに保つかという思慮が感じられます。

尤もこれも程度問題で、例えば 「前向きに善処します」などという日本語は、言葉としては「前向き」でもその意味は「ソレハ出来マセン」というのが本音であり、配慮と調和もここまで来ると行き過ぎでしょう。

日本人は概して欧米人に比べホモジニアスな(均質化された)民族であるために、言葉でこまかく表現しなくとも「目で物を言う」、「以心伝心」、「阿吽(あうん)の呼吸」が通用する民族と言われており、これがファジー表現に磨きをかけたのかもしれません。私たち日本人の文化は「ファジー」の文化といってもよいのではないでしょうか。私たちはこのファジーの心をもっと大切にすると同時に、この発想を世界に向かって明確に発信する必要があるのではないでしょうか。
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言「交代」

この時期になると、いつもより細かく見る新聞のある欄がある、人事(異動・就任)欄セッション。お客様関係の主要関連人事はもちろん、知人友人の異動などは、気になるところ。第一線で活躍した大先輩達の引退、逆に若い友人たちの経営層への参画は、一枚のコインの裏表のようなもので、寂しさと喜びが微妙に混在する。また自分に関係のない企業の経営陣人事の異動記事の、年齢、経験、取り組みなどから、驚きや感銘を受けたりすることも多く、企業や社会が、そしてまた人が、生きている、動いているのだということを実感する。時代や人の交代、世代交代の時期を思い知らされる今日この頃のさくら。

交代といえば、名古屋国際女子マラソンで展開されたドラマの中にもそれを見た。シドニー五輪のゴールド・メダリスト高橋尚子選手(35歳)は失速して27位でゴール。一方、トップでテープを切ったのは、ほとんど無名の新人、初マラソン参加の中村友梨香選手(21歳)だった。故障や体調不良など予期せぬことはあったにせよ、素人の私には“時が代わる”・“交代”という文字が頭に浮かんだ。スポーツという世界ゆえ、私達のようなビジネス界で働く者の現役期間(寿命)に比較すると、かなり短いと思う。マラソンだけではなく、プロ野球選手でも同じこと。そう思うと、現役時代よりもその後の生き様や生活が、その人自身にとって課題の多いものかもしれない。名古屋国際マラソンの翌日に発表された北京オリンピックへの女子マラソン代表選手名、そこには高橋尚子の名前はなかった。しかし、“交代”は終わりではなく、受け継がれるマラソンの見えない襷(たすき)だと、私は思った。

ところで、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」を座右の銘にして、今まで多くの大会を走り続けたという高橋尚子。名古屋国際女子マラソンの記録は自己ワースト、皮肉にも当時日本最高タイム(2時間25分48秒)を記録して初優勝したのは、今からちょうど10年前の同じ名古屋国際女子マラソンだった。今回の屈辱的結果でも「走ることはまだまだやめない」と明言した彼女。さらに、それは、「強さを証明したいわけではなく、自分が頑張ることでメッセージを伝えること」とも述べた。それは、有る意味、記録やメダルを目指して挑戦し続けるマラソン選手として自分の、もうひとつのミッションを示唆しているのかもしれないと、私は思う。“交代”は、終わりではなく形が変わること、止まることではなく続くこと、そう、マラソンのように走り続けることなのかもしれないな、と。

さて、仕事を辞めて専業主婦を決意した私、早速、“交代”の準備を進めている。これがまた結構大変。何が大変って、引継ぎ業務の難易度ではなく、「口も手も出さない」と自分自身に言いかせることだ。気づいていたり知っていたり、はたまたやりたくても、ぐっと我慢。はたから観て怠慢だと観られても動かない眉と心、それを今訓練している真っ最中。たとえ口や手をださない忍耐力があっても、ついつい、心があっちこっちへ、揺れ動いてしまう。そんな時、高橋選手ではないけれど、「下へ下へと根を伸ばせ」と自分に言い聞かせている。そしてもうひとつ、“交代”は、終わりじゃなくて、人生の襷渡しだ、っと、つぶやく、さくらの独り言。

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )

ミシュランの死角で三つ星の屋台

デパートで捨てた故郷の味を買い

梅干しも親の躾も甘くなり

ビール注ぐやっとカルテの許可が下り

渋茶色夫婦茶碗に味が出る


( ニュースやぶにらみ )

「新入荷」
ドル ー百円ショップ

「円高、株安、原油高」
ああそうですか −国会

「大盤振る舞い」
歓迎!道路財源御一行様 −観光地

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

 

森田さんから

                                    

龍翁余話

龍翁余話(22)「囲碁」

ハワイ島のヒロ(日系人が開拓、開発した街)に、日系1世の西村さんという俳人(ハワイ島俳句協会会長)がおられた。西村邸への初訪問は12年前、オアフ島の親友・R君とハワイ島へゴルフに行った時。西村さんはR君の大叔父。厚かましくも2晩泊めてもらった。西村さんは、その時、すでに90近いお歳だったと記憶するが、ご自分でキャデラック(米国高級車)を運転して、奥さんをスーパー・マーケットへ連れて行ったり、広い庭の手入れをしたりなど、すこぶるご壮健でおられた。どういうわけか初対面からご夫妻は翁に(身内のように)親しく接してくれた。翁がR君の"兄貴分“というだけではなく、(自己流だが)いささか俳句をたしなむ翁と話が合ったのと、R君の口真似で、翁もお二人を「アンクル(叔父さん)、アンティ(叔母さん)」と馴れ馴れしく呼び、無遠慮に振舞ったことも翁に好感をもってくれた要因だったようだ。その西村さんのご自慢が二つ・・・一つは80歳の時、日本政府から授与された藍綬褒章の勲章、もう一つは、古びた(しかし重量感のある)碁盤だった。「俳句も囲碁も、静かなる心、つまり、わび(侘)・さび(寂)という日本の美意識という点で共通している」が、西村さんの自論だった。その後(西村さんが96歳でお亡くなりになるまで)数回、西村邸を訪問したが、「囲碁は大局を観ることによってビジョン(未来を見通す力)を養い、ストレイトジー(戦略・戦術)の知恵と力を生み出します」が、西村さんの口癖だった。

西村さんの遺言というわけではないが、翁、遅ればせながら最近、囲碁に興味を持ち始めた。今年に入って間もなくジンマシンに罹り、悶々の日々を過ごしたことは以前、『龍翁余話』(17)「読書」で書いた。ゴルフに行っても風呂に入れず(入れるのだが、上がった後、痒み止めのクリームを体中にベトベト塗るのが面倒くさかったので)、皆が風呂に入っている間、ラウンジでテレビを見ながら(実は居眠りしながら)皆を待った。車1台に4人乗って帰るので待つしかない。そんな翁を可哀相に思ってか、仲間の1人(というより、翁の我侭を最大限受け容れてくれる親友)M君が(自分も風呂に入らず)「龍翁さん、碁を打ちましょうか」と誘ってくれたのが、翁の囲碁への興味を駆り立てた、そもそもの始まり。M君は4段の腕前。“対局”などという大それたものではない。用語も基礎(定石)も知らないド素人を相手にするには何ら面白味もなく、かなりの忍耐を要するだろうが、M君はラウンジに設置された碁盤と碁石をさっさと用意して対面に翁を座らせた。本来なら格下(黒石)が先に準備して上級者(白石)を迎え「お願いします」と挨拶するのが礼儀だが、M君はそういう形式には拘らない。「5目(もく)置きから始めましょう」(5目置きとは、4線上の4隅と中央に黒石を先に置いて対戦すること)。普段、偉そぶっている翁だが、こんな時はさすがに神妙、「お願いします」と頭を下げ、対戦が始まった。結果は言うまでもないが、M君「いやア龍翁さん、なかなかいい筋をお持ちです。碁盤と『囲碁入門』の本を買って、本格的に練習なさったら?NHK(毎週日曜日に放送している教育テレビの)囲碁番組も参考になりますよ」と煽り立ててくれた。

その気になって、早速、近くの商店街にある古道具屋から安物の碁盤と(古道具屋の前にある本屋で)『早分かり囲碁入門』(山本達夫著)を買い求めた。が、入門書をじっくり読むのはシンドイ。NHKの囲碁番組を見ながら、プロが打つ手順通りに石を並べるのだが、一つの石を置くのに、何故、あんなに時間をかけるのか、あいつら、そんなに頭が悪いのか、とイライラが募る。実は、一局の碁は序盤、中盤、終盤に分けられ、序盤を布石(ふせき)といって碁の骨格を形成する上で極めて重要な一手一手であり、しかも36箇所も打つ所があるというのだから、序盤に時間をかけるのは当然のこと。しかし、奥の深さを知らない、せっかちな翁は、とても待ちきれないでウトウトを催す。おまけに途中で邪魔が入る。邪魔とは、解説者だ。対戦通りの石を並べているのに、解説者が「こういう打ち方もあります」と余計なことを早口で言って、対戦しているプロが並べた碁石を(別の碁盤で)勝手に動かすから、翁がせっかく並べた置石が分からなくなる。翁のような初心者には、解説は邪魔以外のなにものでもない。やはり、M君のご指導を仰ぐ以外に、翁の進歩の道はなさそうだ。何事もかしこまって取り組むのが嫌いで、ゴルフも、パソコンも、アマチュア無線も、囲碁も、やりながら(貧しい感性を頼りに)覚える、というのが翁の性に合っている。

もっと早く囲碁に目覚め、ハワイ島の西村さんと碁を打ちたかった、と、つくづく思う今日この頃だ。西村さんはもういない。だが、存命中、ハワイの日系人、特に若い世代(3世、4世)に、俳句と囲碁を通して日本人としての血脈を忘れまじ、と説き続けたアンクル・ニシムラの“日本魂(やまとだましい)”は、今もハワイで脈々と受け継がれているという。
西村さんのようにワビ・サビの境地に達するのはおぼつかないが、翁、せめて碁石の音を聞くたびに日本人の誇りを失わないようにしたい、と願うばかりである。「M師匠、懲りずにご指導頼みます」っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。

ジャズの魅力−今週のお奨めジャズ

ジャズの紹介をはじめてから今回で82回目になりました。最低82枚のアルバムをご紹介したことになります。これまでに聴いたアルバムから、印象に残った曲を紹介することになるのですが、いつも困るのはどう紹介したらいいのかわからないことです。
聴いていただければすぐ分かるのですが・・・・
インターネットで視聴できますので聴いてみて下さい。
http://www.videoartsmusic.com/new_release/new_release10enrico.html

先日六甲道のTSUTAYAで見つけたアルバムで、お気に入りに入れている曲があります。一曲目のThiakiは素晴らしい曲だと思います。

Enrico Pieranunzi / The Chant Of Time

1)Thiaki E. Pieranunzi 5:24
2)September Waltz E.Pieranunzi 4:47
3)Non Dimenticar... (Le Mie Parole) A.Bracchi/G.D'Anzi 5:05
4)Nefertiti W. Shorter 4:53
5)Ein Li Milin (No More Words) E. Pieranunzi 5:03
6)The Chant of Time E. Pieranunzi 3:22
7)Jitterbug Waltz T. "Fats" Waller 5:30
8)Very Early B. Evans 6:16
9)The Fool On The Hill Lennon/McCartney 3:22
10)You Don't Know What Love Is D. Raye/G.D.Paul 5:38
11)Un'alba Dipinta Sui Muri E. Pieranunzi 4:13
12)The Surprise Answer E. Rieranunzi 7:53

Recorded on March 18&19, 1997 NYC

Personnel
Enrico Pieranunzi (piano)
Marc Johnson (double bass)
Joey Baron (drums)

<R.O.>

編集後記


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http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.618

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com