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NO.616                Ryo Onishi              3/2/2008  

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雑貨屋のひとり言

イージス艦と漁船の衝突事故をめぐって防衛省の情けないやり取りがいっぱい報道されましたが、この国は本当に大丈夫なのかと思っているのは私だけでしょうか?それからギョウザ事件での中国側の態度は、一体何を考えているのかと思ってしまいます。サービス精神というものがまったく感じられません。そんな国に頼らざるを得ないこの国も情けないと思います。
(R.O.)

ロサンゼルスの春

私のパソコン不調のため2週にわたりこの欄に原稿が送れず休みました。あいも変わらず好奇心のおもむくまゝあれこれいじくりまわしたのが故障の原因でした。

この冬(2008年1、2月)はこちら米国、南カリフォルニアのロサンゼルスも例年に比べ気温が低く、外出時にはセーターやコートが欠かせない日々が続きましたが、“逃げ月”2月が終わるとともに早くも気温も上向き、戸外は一気に春のモードといった気配です。

ロサンゼルスの春はまずハリウッド(コダック・シアター)恒例のアカデミー賞授賞式とともに訪れます。今年のアカデミー賞授賞式は第80回記念の催しとして先週の日曜日(2月24日)に華々しく開催され、ロサンゼルス、特にハリウッド周辺は大変賑わいました。

といっても今年の我が家はテレビ中継で授賞式の様子を観ていただけですが・・。でもさすがハリウッドであり、きらびやかで華やかな授賞式の様子がテレビ画面を通じて充分伝わってきました。

尤もその後のリサーチによると、ABCテレビが独占中継したこの授賞式の視聴者数は前年比約20%減(推定3,200万人)で、記録を取り始めた1974年以降では最低だったようです。といっても、これだけ多くの人々をテレビの前にくぎ付けにするのですから、アカデミー賞の魅力と権威はたいしたものです。

今回の授賞式ではコーエン兄弟監督の「ノーカントリー」が作品賞を始め、監督賞、助演男優賞、脚色賞の四冠を獲得したのが印象的でした。外国語映画賞にノミネートされていた浅野忠信さん主演の「モンゴル」は賞を逃し、また、「マッド・ファット・ワイフ」でメーキャップ部門の候補だった京都府出身の辻一弘さんも賞に届かなかったのは日本人して少々残念でしたが、ノミネートされただけで充分誇れることだったと思います。

華やかなアカデミー賞授賞式の中で、昨年の物故者紹介がありました。その中に今から50年前の1957年の映画「サヨナラ」で日本人の俳優として初のオスカー(アカデミー賞)を手にした故ナンシー・梅木さんの紹介があり、私にとって懐かしく、胸にくるものを感じました。

もうひとつ、こちらで春を感じるのが桜の開花です。ロサンゼルスは毎年2月下旬から3月上旬が桜の花の季節で、市民はお花見を楽しみます。今年は例年より低温の日が続いたので、若干開花が遅れていますが、でも既に蕾が膨らみ咲き始めています。

ロサンゼルス近郊で最高の桜の名所はロサンゼルス・ダウンタウンの北西20マイル程にあるロサンゼルス市の“リクリエーション並びに公園局”が管理をしている公園で、ここには三つのゴルフコース、スポーツセンター、日本庭園(水芳園)、ピクニック場その他各種施設が整った総合リクリエーションの場なのですが、その中の一角にバルボア湖(Lake Balboa)という湖があり湖畔に約二千本の桜の木が植えられています。2月24日(日)に私たち夫婦は今年最初の開花下見に行ってきましたが、まだ開花にはいたっていませんでしたが、3月はじめには一斉に蕾を開きそうな風情でした。

 実はこれらの桜の木々は日本の匿名の企業の寄贈によるもので、1992年に植樹が始まりました。もともと、ここロサンゼルスは気象条件、土質などの理由で桜を育て、花を咲かせることは出来ない土地と言われていたのですが、(桜の花にとって必要なことは、暖かな春だけではなく、寒い冬、良い水はけ、適切な地質、病害虫が無い・・など、数多くの条件が満たされなければならず、また育ったとしても花と葉が同時に出現してしまうのだそうです)専門家に依頼して調査と研究に二年間を費やし、オオシマザクラという品種をベースに改良を重ねたピンク・クラウド(Pink Cloud)という品種に辿りつき、それがこの場所に植えられたのだそうです。(このピンク・クラウドは日本の桜をこちらの土になじませるため、現地のさくらんぼの根に接木をしているのが特色です)

樹木自体はまだ若く、ほとんどの木が20フィート位ですが、毎年濃く鮮やかなピンク色の花を見事に咲かせます。これからの成長が楽しみです。

また湖の周囲十ヶ所に立派な藤棚もあり、これも同じ日本企業の寄付によるものです。湖(といっても下水処理水を集めた人工湖ですが)には沢山の水鳥が戯れ、広く明るい湖畔は、桜の季節以外でも充分素晴らしい環境です。“貸ペダル・ボート”に乗ったり、湖畔でバーベキュー・ピクニックをしたり、遊園施設で楽しんだり、一人でも、二人でも、家族全員でも楽しむことが出来る、思いきり明るいところです。

この公園はロサンゼルス市の公園局の管理下にあり、日の出から日没までゲートが開き、その間なら無料で自由に入園できます。夜間は立ち入り禁止ですので日本流の夜桜見物は出来ません。また、公園内へのアルコール類は常時持ち込み禁止ですので、酔っ払いはいません。折角のお花見なのにアルコール抜きとはちょっと淋しい感じもしますが、これはこれで家庭的、健康的で良いことでしょう。

アメリカの桜といえば首都ワシントンDCのポトマック河畔の桜が有名ですが、こちらロサンゼルスのバルボア湖畔の桜も、年とともに成長し市民から愛され絶大な支持を得ています。いつの日か「東のポトマック河畔の桜」に対し「西のバルボア湖畔の桜」と並び称される日がくるのではないかと期待しています。

年間を通じて雨量の少ないロサンゼルスですが、それでもこれから各種花の季節を迎えます。カリフォルニア・ゴールデンポピー、ラナンキュラス、ブーゲンビリア、ジャカランダなどなど・・。ロサンゼルスはこれから花の季節を迎えます。
  河合将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り 言華の餅

切り枝の花は買わないことにしていた私も、今年は買ってしまった、桃である。桃の節句にちなみ小枝を購入、玄関に飾った。時の経過とともにつぼみが膨らみ、開き、放つかほりが高くなる。勝手に自分が女の子みたいな優しい気分になり、にんまりしてしまう。先月福岡の大宰府で愛でた梅の花、そしてこの桃の花、次は桜だなと、再びにんまり。さらに、花にちなんで賞味した、大宰府の梅ヶ枝餅、桃の節句の雛あられ、そしてこの季節はやっぱり桜餅などと、三度にんまりの、ひなまつり2008である。

梅の花をこよなく愛した菅原道真、福岡の大宰府で京の梅を想って『東風吹かば においおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春な忘れそ』と詠む、すると道真を慕って京から大宰府へ飛んできて咲いたという“飛び梅”は、有名だ。毎年最初に開花するのは、大宰府天満宮敷地内に咲く数多い多種の梅の中でも、この“飛び梅”だともいうから驚きだ。私の好きな“梅ヶ枝餅”は、門前で餅を売っていた老婆が、京の都より太宰府・安楽寺に着いた道真に差し出した餅をきっかけに、道真の好物となり、道真の死後、その老婆が梅の枝とその餅を一緒に墓前に供えたことから名がついた、それが梅ヶ枝餅の謂れ。焼いた粉餅の軽い口ざわりと甘さを抑えた餡が、門前に建ち並ぶどの店で買っても、なんと1個105円。庶民的で、あっさり上品というのが気に入った。“梅ヶ枝餅”を口にするたび、京都の“亜砂利餅”を連想し、またもや舌鼓。

ところで、いよいよ桜餅、生菓子のお姫様みたいなものである。一口に“桜餅”といっても2種類、長命寺桜餅と道明寺桜餅があるのは周知のところ。塩漬けの桜の葉に巻かれているのはどちらも同じだが、小豆餡を包んでいる餅の部分がちょいと違う。前者は、白玉粉の生地を焼いたもので餡をクレープのように巻き包んだもの。後者は、蒸かしたもち米を粗いた皮で餡を饅頭のように包みこんだもの。前者は関東風、後者は関西風とも呼び、区別される。両方に共通の塩漬けの桜の葉は、どれでもいいというわけでもないらしく、やわらかく毛が少ない「おおしまさくら」の葉を使うという。どちらも食紅で桜色に染められた餅、食べるにはかわいらしく、私も同じ名を持つ“さくら”でありながら恥ずかしい。その可愛らしさにだまされて、ついつい食べ過ぎてしまうのも、桜餅。先日どこかの新聞の健康欄にも紹介されていた、『桜餅の葉の塩漬けは、クマリンという肝毒を持っているから食べすぎ注意』だと。美しいものには、少量であろうとやはり“毒”があるのかな。

塩漬けされた桜の葉でくるまれた桜餅、普段は桜の葉も一緒に食べてしまう。友人の中には、とって食べる人もいる。私の主人は、「本当はとって食べるの?、とらずに食べるの?」と聞いてくる。「私はとらずに食べる、あなたはお好きなように」と、あしらう。桜餅の食べ方に“本当”も“嘘”もない。「食べたい人が、一番美味しいと思う食べ方で食べればいい」と私は言っている。結婚して変わったこと、それは緑茶と甘味を好むようになったこと。その中に、こうした日本の和菓子とそれにまつわる伝説や日本の文化的行事を楽しむことが増えたことだろう。それも、独りではなく二人、もしくはそれ以上の“かぞく”とともに。桜餅、さくらが食べたら、共食いか・・・っとつぶやく、さくらの独り言。

川柳(東京・成近)

 


( 川 柳 )

ぬるま湯で熱くなってる机上論

匿名の袋叩きにあう正義

実力は五分根性で差をつける

ひたむきな汗 中東の笛に負け

土壇場で奴もやっぱりブルータス


( ニュースやぶにらみ )

「迷走」
防衛省も −イージス艦

「進退問題」
75日間の辛抱 −石破防衛相

「変わり雛」
ー喧嘩しているよ  ーオバマ、クリントン雛だって

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

 

森田さんから

  世が世ならば
  森田のりえ
熊本の八代駅で汽車を下りると、友人のK子は小用足しに行ってしまった。乗降客のいなくなってしまった駅構内にひとりぽつりと立っていると、改札口の外側で黒っぽいスーツ姿の長身の男女がじっとこちらを見ているのが目に入った。
「あ、あの人たちだ!」
 会ったこともなく、写真を見たのでもないが、K子から、背の高いすらりとした美人だと聞いていたので一目見て分った。
 旧八代城十四代目当主夫妻に違いない。

 話の発端は、小学校の同期会があるので日本へ行くつもりだとK子にいうと、
「ちょうどワタシもそのころは日本にいるから、ふたりで旅行しようよ」
気軽なウィドウ同士である。話は早い。安く費用をあげるために泊らせてもらえる親戚や友人の家をお互いに挙げていると、突然、K子が素っとん狂な声をだした。
「そうだ! 八代へ行こうよ」
興味をそそられる土地ではないが、泊りは熊本のビジネス・ホテルを取るという。熊本には数年前阿蘇山を案内してもらった友人がいる。ちょうどいい機会だ。あの時のお礼に夕食をご馳走しようと考えていると、
「従姉妹の嫁ぎ先が八代でね、お城を持っているのよ」
K子がそういったとき、私は、ハハーン、あれだなと思った。バブル景気のころに田畑が買収され思わぬ大金が入り、お城のような家を建て、近所のおじさんおばさんを招いて時代衣装をつけカラオケをする。そんなテレビのバライティ番組を観たことがある。K子には失礼だがその類だと思った。ところが、多くを語りたがらないK子に根掘り葉掘り聞き出しているうちに、私のとんでもない思い違いだということが分ってきた。念のためにインターネットで検索すると、元肥後藩細川家筆頭家老をつとめた松井家であった。
初代は足利将軍に仕え、戦国時代を生き抜き、後に細川家の家老となる。江戸時代、肥後藩は薩摩藩の島津おさえのため、一国一城の例外として八代城を認められ、代々筆頭家老職の松井家が城主となったという。
「こりゃ、本物の殿様だ! 世が世ならば殿様と奥方様じゃない」
驚きで上ずった声を出す私に、
「どうして従姉妹はそんな家にお嫁にいったのか、わからないのよ」
 と、K子は気負いもみせずにいった。
 出自を問われると比べものにならない我が家の家系である。子どものころ、遠縁に当たるおばあさんがうちにくると、
「うちは武士の家柄じゃけえ」
と威張っていた。
「武士いうてものう、たかが足軽じゃ」
そのおばあさんが帰ると母は決まって陰口を叩いていたのを思い出した。
家柄など時代錯誤という人もいるかもしれなが、遠い縁戚を探してやっと足軽止まりの家系の末裔にしてみれば雲上人にも等しい。俄然、私の好奇心が刺激された。由緒ある家に嫁いた女性の生き様はどのようなものなのか、この機会を逃しては知ることはできない。ぜひ連れて行って欲しいと私はお願いしたのであった。

八代駅で待ち合わせた当主夫妻の車に乗り込むと、K子と当主夫人は何年ぶりかの出会いにお互いの家族の話を懐かしそうにはじめた。私が聞きたいのは別のことである。話の切れ目を見つけて、後部座席から身を乗り出すようにして、ハンドルを握るおだやかそうな感じの当主に尋ねた。
「司馬遼太郎の『街道を行く』シリーズの肥薩のみちに八代のことが出てきます。そのなかで松井家ご当主と書いてあるのは・・・」
 最後までいい終らないうちに、
「ああ、あれはオヤジです。私は運転をしていましたが、司馬先生はいろいろと質問されていましたねぇ」
 それっきり話が途切れてしまった。
何か聞きたいが、質問が思いつかない。走行していると車は武家屋敷風の塀がつづく門のなかへ吸い込まれるようには入っていった。当主夫妻の住いである「松浜軒」に到着したのである。築三二〇年。現在は国指定名勝史跡になっている。
家の維持も人間関係も、伝統を守り次世代へ伝える暮らしも大変だろう。その苦労話を当主夫人に聞きたいと気ばかり焦ったが、場違いな所へきてしまった硬直感から、口は貝のように閉じたままだった。
おもてなしのお抹茶を「二回まわすのだっのかなぁ、三回かな」と首をかしげながら、夢のような時はあっという間過ぎていった。                 つづく                   

龍翁余話

 

ジャズの魅力−今週のお奨めジャズ

今週は先週の続きで三宮のTSUTAYAで見つけたジャズを紹介しようと思っていたのですが、"The Cool Jazz Collection"が発刊されたのでそれを紹介することにしました。テレビでもコマーシャルしているのでご存知の方も多いのではないでしょうか?創刊号はマイルスデイビスです。マイルスデイビスのアルバムはこれまでに10枚聴きましたが、まだご紹介していなかったのでちょうど良い機会でした。
選曲された5曲はどれもトランペットのすばらしさを感じさせてくれる曲です。そして共演しているメンバーもすごいアーティストで聴き応えのあるジャズです。

◇クール・ジャズ・セッションズ
(1)♪いつか王子様が Someday My Prince Will Come
 John Coltrane(テナーサックス)、Wynton Kelly(ピアノ)、Paul Chambers(ベース)
(2)♪マイ・ファニー・ヴァレンタイン My Funny Valentine
 この曲はたくさんのアーティストが演奏していますが、トランペットもいいなあと思います。Red Garlandのピアノがこの演奏をさらに引き立てています。
(3)♪オン・グリーン・ドルフィン・ストリート On Green Dolphin Street
 Bill Evansのピアノも楽しめます。
(4)♪ラウンド・ミッドナイト 'Round Midnight
 この曲もたくさんのアーティストが演奏していますがトランペットで聴くとこうも違うのかと思います。
(5)♪死刑台のエレベーターのテーマ Generique
 映画"死刑台のエレベーター"の映画音楽、他の曲とはまったく違うエコー効果を使った魅力的な曲です。

<R.O.>

編集後記

3月になりました。
この週末はちょっと暖かくて、なんとなく春が近づいて来ているのを感じましたね。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

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Zakkaya Weekly No.616

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com