最近の日本は焼酎ブームだそうで、日本国内における焼酎全体の出荷量はここ数年、清酒(以後“日本酒”と記述します)よりも多いのだそうです。産地により製法が異なり、また芋や麦など原料素材や種類が豊富な焼酎は健康志向の女性からも支持を受けているようです。
ところが最近、こちらロサンゼルス周辺では日本酒がちょっとしたブームになりつつあります。この地域は年間を通して青空が多く湿度も低く爽やかなお天気が多いためか、人々はいつも明るく陽気で賑やかなことが好きです。友人たちを集めて庭でバーベキューをしたり、ホームパーティを開いて楽しんでいる家庭を良く見かけます。
パーティといえばお酒がつきものですが、今回はこちらアメリカ、特にロサンゼルスの日本酒に関する話題についてレポートさせていただきたく思います。
こちらの人が飲むアルコール類でポピュラーなものは、ビール、カリフォルニア・ワイン、バーボン・ウイスキー、メキシカン・リカーなどですが、最近は日本人のパーティだけではなく、現地の人たちも日本酒で楽しむ風景をしばしば見かけるようになりました。
私もインターネットで調べてみたのですが、最近日本の財務省がまとめた日本貿易統計によると、2005年の日本酒の日本からの輸出量は年間で約9,5kl(一升瓶で約530万本相当)であり、その輸出額の半分近くは米国向けなのだそうです。3年前までは台湾がトップの日本酒輸入国だったそうですが、一昨年(2005年)からアメリカが台湾を追い抜きトップになっています。
これら日本から輸入される日本酒のかなりの量がロサンゼルスとその周辺のレストラン、スーパー・マーケットに持ち込まれているようです。
米国人、特に中流以上の人々の間で健康志向の高まりから日本食に対する関心が高まり、それに伴って日本酒の消費量も増加しているのも日本酒輸入増の一因のようです。また、中部カリフォルニアを中心に日本からメーカーが進出し現地生産も始まっています。
米国人の日本酒への関心が高まるにつれ、今では日本酒は日本食レストランだけでなく、日本食以外の多くの高級レストランでもサーブされるようになっています。特に純米吟醸酒など高級品の人気が高く、白ワイン感覚で冷酒を飲む人が増えています。
日本酒のことをこちらでは以前は “Japanese wine”、“rice wine”とか“Japanese
SAKE”という呼び方をされるのが普通でしたが、最近では Japanese を省いてただ
“SAKE(サキ)”だけでもアメリカ人に結構通じるようになっています。(“サケ”ではダメで、“サーキ”といわなければなりません。“カラオケ”が“カラオーキ”と発音されるのと同じです)
先日(3月22日)は当地の高級住宅地で有名なビバリーヒルズのホテルで日本酒祭り(サケ・フェスティバル・イン・L.A.)が開催されました。これは在ロサンゼルス日本国総領事館、JETRO、ロサンゼルス日本商工会議所など日本の政府、民間が共同で開催して、日本酒のおいしさを広く伝え、米国市場での販路をさらに拡大しようと企画されたものです。
日本から酒の蔵元180社、350以上の銘柄が出品され、こちらのレストラン関係者、地元の日本酒ファンなど、たった一日の催しだったにもかかわらず、なんと1,700人あまりがの参加者があり、日本酒を楽しみました。
当日の参加者は試飲会では日本全国から集めた美酒を飲みくらべながら和食に舌鼓を打ち、また、日本酒に関する講習会まであり、日本酒の専門知識を深めた。試飲会はレストランやスーパーマーケットなど業界向けの昼の部と、夜の一般向けに分かれ、両方とも大入り満員で、「人種のるつぼ・ロサンゼルス」が日本酒で一つにまとまったといった感じになりました。日本酒がこちらの人たちに受け入れらつゝあることが良くわかるフェスティバルでした。
また、地元の有名日本食レストランが八店もこのサケ・フェスティバルに参加し、すしや日本酒に相性のいい独自に開発した料理を提供するなど充実した内容で、このイベントは大成功でした。
われらが日本酒もいよいよ“SAKE(サーキ)”として国際社会に大きくはばたいています。
河合将介( skawai@earthlink.net )
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