――― 私は月に一度、長野県の信越放送(SBC)ラジオに電話で生出演し、短時間(10分間)ですが「ロサンゼルス便り」を喋っています。以下は先日の放送用の原稿(及び覚え)です。―――
今日は映画界の祭典といわれる「アカデミー賞」についてお話させていただきたいと思います。
映画の世界における最大行事のひとつと言われる「アカデミー賞授賞式」は今年もハリウッドで2月25日(日曜日)に開催されます。ここロサンゼルスはハリウッドのお膝元ですので最近はこの話題で賑わっています。
ハリウッドという場所は、多分日本の皆さんもご存知の方が多いとは思いますが、ロサンゼルスの中心、ダウンタウンから車で20分ほど(北西約10マイル)のところにあります。そしてアカデミー賞授賞式の会場はハリウッドのど真ん中にある「コダック・シアター」というところです。
数日前に私は様子を見に行ってきましたが、今の段階ではまだ式の日まで間がありますので、いつもと同じようにただ観光客で賑わっていただけですが、これも授賞式が近づくと会場は勿論のこと、お隣のチャイニーズ・シアター(ここはスターの手形・足型が沢山保存されていることで有名です。2年ほど前には日本のゴジラもその仲間入りしました)も含め、ハリウッド大通りは完全に交通止めになって、式典の準備・設営が始まります。――― SBCラジオJのホームページに掲載していただいたのは数日前に私が撮ってきたコダックシアターです。
式の当日になると報道陣の取材用の車両がずらりと並び、スターが歩く赤じゅうたんが会場内外に敷きつめられ、屋外観覧席には徹夜組の観客たちが席を陣取り、前日から異様な雰囲気で盛り上がります。
今年は渡辺
謙さん出演の「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督――先日行われたゴールデン・グローブ賞では「最優秀外国語作品賞」受賞)が作品賞、監督賞などの候補に、また「バベル」に出演した日本人女優の菊地凛子さんが助演女優賞候補になったりしており注目です。 |
☆アカデミー賞とは?、その簡単な歴史について
アカデミー賞とは:アメリカ映画芸術科学アカデミーが最優秀映画作品・俳優・監督など(14部門)を選んで毎年与える賞で、オスカー賞ともいいます。1927年創始、今年は第79回になります。第1回授賞式は1929年でハリウッドのルーズベルト・ホテル(現在の会場のすぐ前)で行われました。
☆アカデミー賞授賞式をより楽しむ豆知識
オスカーとは:授賞式でプレゼンターが封筒を開ける時に使う常套句「Oscar goes to
・・」と言います。そして受賞者に渡される「黄金の人体像」がそのOscar なのですが、この人体像に
Oscarという愛称がついたのは1930年代からだと言われています。命名の逸話にはいくつかあるようですが、公式エピソードということになっているのは、アカデミー協会のスタッフの一人がこの黄金像を見て「おじのオスカーにそっくり・・」といったとか・・
☆ 日本人の受賞暦:三年前、渡辺
謙さんが「ラストサムライ」で助演男優賞の候補、「たそがれ清兵衛」が外国語映画賞候補、そして、四年前は「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)が長編アニメ賞受賞で日本人が大いに注目されました。それ以前の日本映画と日本人の受賞は次のとおりです。
1952年:羅生門(名誉賞、最優秀外国語映画賞:黒澤 明監督)
1955年:地獄門(名誉賞:衣笠貞之助監督)
1956年:宮本武蔵(特別賞:稲垣 浩監督)
1958年:ナンシー梅木(助演女優賞「サヨナラ」)
1986年:ワダエミ(衣装デザイン賞「乱」)
1988年:坂本龍一(作曲賞「ラストエンペラー」)
1990年:黒澤 明(名誉賞)
1993年:石岡瑛子(衣装賞「ドラキュラ」)
1999年:伊比恵子(短編ドキュメンタリー賞「ザ・パーソナルズ」)
今年も既に候補作品、候補者名が発表され、あとは2月25日の発表を待つばかりです。
米国ではABCテレビがロサンゼルス時間の午後5時から、会場のコダック・シアターからの実況中継で、スターが到着し、レッド・カーペット上を歩く様子(アライバル・リポート)から本番授賞式の様子を放映する予定となっています。どんな結果になるか楽しみです。
河合 将介(skawai@earthlink.net)
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