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NO.558                Ryo Onishi              1/21/2006   

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雑貨屋のひとり言

土曜日、中学の同級生だった永島さんと30何年以上ぶりで逢いました。
永島さんは昔、私からハムの面白さを聞いて、ハムを始められたそうです。しかし長い間お互い消息がわからなかったのですが、永島さんは私のことを探してくださいました。そのキーワードは私が持っていたハム(アマチュア無線局)のコールサイン(JA3PJM)でした。永島さんは私のコールサインをインターネットで検索して「雑貨屋」にたどり着いたそうです。たまたま私がハムのことを記事にしていたので、検索に引っかかったというわけです。この話を聞き、「雑貨屋」をやっていて本当に良かったと思いました。(R.O.)

想定内、想定外

 世の中のことはすべて筋書きのないドラマであり、事前に予測できることは少ないものです。昨年の2月5日の当欄(Zakkaya Weekly No.508号)に私は『想定外の年?』という駄文を書きました。

その中で私は、「この世のすべて一寸先は闇であり、今年もどこで何が起きるかわからない。年の初めの今時点で予想出来る項目など些細なことでしかなく、本当の2006年は国内外ともに、体制、政治、経済、社会ほかあらゆる側面で、現時点で発想すらしなかった大変動が起こるような気がします。2006年末、私たちを取り巻く世の中がどうなっているか非常に興味を感じます。年末の総括が楽しみです」といった趣旨のことを書きました。

 そしてその2006年が去りました。私自身の周辺では、私が直接指導いただいていた詩吟の先生(師範)の突然死という不幸がありました。

ただ家族・親戚には大きな不幸もなく恙ない1年でした。家族・友人・知人をはじめ周囲すべての人々に感謝の1年であり、幸せであったことは私にとってうれしい総括です。

 社会に目を向けてみると、昨年は年明け早々、日本国内ではライブドア事件をはじめ、村上ファンド事件、昨年から継続している耐震偽装建築問題、また、米国内では中間選挙での共和党の敗北(民主党の勝利)、その他の海外ではパレスチナ選挙でのイスラム原理主義ハマスの勝利とますます混迷する中東情勢、サダム・フセイン元大統領の処刑など、大事件・大問題が矢継ぎ早に噴出しました。尤もこのあたりはほぼ“想定内”のことと言えたのかもしれませんが、米国共和党の敗北、イラクの混迷・内戦化はブッシュ政権にとってはとんでもない“想定外”だったかもしれません。

 日本国内では「安倍政権の誕生」、「人口動態統計で日本が人口減社会に突入」なども“想定内”だったといえましょう。

 他方、日本の社会問題としての「小中学生のいじめと自殺の増加」、「高校必須科目未修問題」、「シンドラー・エレベータ―事故」、「子供が犠牲の犯罪増加」、「官製談合で相次ぐ県知事の逮捕」、「民主党の偽メール」、「政府タウンミーティングでのやらせ」など、海外では「内戦化したイラク情勢」、「原油価格の高騰(78ドル)」、「イランの核開発」、「タイの軍事クーデター」など・・これらは少なくとも私にとっては“想定外”のことでした。中でも「北朝鮮による一連のミサイル発射と核実験の実施」はまことに残念な“想定外”でした。

 うれしい“想定外”といえるのはトリノ冬季オリンピックでの荒川静香選手の金メダルをあげることが出来ましょう。また皇室に親王(悠仁殿下)が誕生したのも日本国としての慶事として記されることになりましょう。

 “一寸先は闇”がこの世の習いである以上、次に何が起こるかわかりません。でもわからないからこそ世の中は面白いのであり、さて今年はどんな“想定外”の出来事があるのか興味津々です。どうせなら明るくうれしい“想定外”であることを願うばかりです。
                                                   河合 将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り言「 強」

1月17日、東京発午前6時の新幹線に飛び乗り、出張先の愛知県へ向かう車中、雨雲に姿を隠した富士山の横を通過しながら、静かに目を閉じ、黙祷した。朝刊第一面の記事を手に、『阪神・淡路大地震から12年、死者6436名、行方不明者3名、負傷者43,792名、避難人数30万人以上』と、胸に刻んだ。1995年1月17日午前5時46分、新しい一日が始まりかけたその時、眠りから目覚への移ろう刻、暗闇と暁の狭間に起きた大参事。地球上には、そして人間の一生には、大小を問わず、こうした予期せぬ出来事があるものだ。そんな時、私の脳裏をかすめるのは「強」という文字。

あれから日本列島には、“強震”や“耐震”が重要課題となった。東京大都市の高層マンションに住む私にとっても、ヒトゴトではない。私たちの生活する住居(建物)にも強震・耐震が求められ、防災意識や活動が強化されている。首都圏の企業、公共団体や地域住民の防災・復旧計画や活動は、阪神・淡路大地震の教訓を活かそうと必死だ。そしてもうひとつ、阪神・淡路大地震の被災者自身の忍耐と強さの伝承だ。阪神・淡路大地震によって破壊的だった町も港も、復興や再生・再建を目指して強く立ち上がった。一歩、わずかでも一歩前に進む、少しずつであっても、今より強く生きるしか、そのスタートはできなかったという。同様に、私たち自身の人生にも、働く仕事にも、強震や耐震が求められる。それは天災や人災、人間関係といった出来事や事件に遭遇した時、小さな自分に求められる、“強さ”なのだと思う。

ところで、現在上映中の映画『ありがとう』も、阪神・淡路大地震から蘇生した時の強烈なメッセージが込められている。この映画は、現在シニア・プロゴルファーとして活躍中の古市忠夫氏を描いた原作、『ありがとう』を元にしたノンフィクション映画。神戸市鷹取商店街でカメラ店を営業していた古市氏が、震災によって住居兼店舗や財産、そして友人も失った。しかし彼はそこから、町の復興・再生に奔走する。そんな中、彼の車のトランクから奇跡的に焼け残ったゴルフバックを発見、“運命”を感じた彼は、プロゴルファーへの挑戦を決意し、いよいよ還暦という直前にプロテスト合格、第二の人生としてシニアプロの生活を始めた。崩壊から復興、絶望から自分自身への挑戦、そして、それを支える妻・家族愛の事実と真実が織り成されている。まだこの映画を観ていない私がこれを知らされたのは、私の友人J.Kが、この古市氏の友人であり、ゴルフ界のビジネスパートナーとしても古市氏と親交が深いという縁だった。この話を聞いて、“強”と“感謝”という文字が1個のコイン(マーカー)の表裏に刻まれているように感じた。

さて、これから建設する場合は別としても、既に建築済みの建物の耐震補強は大変だ。同じく、既に取り掛かった仕事・プロジェクトも、既にスタートした人生の耐震補強も大変だ。最近、仕事や自分の生活の中で、天災や人災かと思えるような、思いもよらない出来事に遭遇することがある。自分に原因がなく、防ぎようがない場合が多く、途方にくれる。そして人間不信または自信喪失に陥り、深いため息しか出ず、ふさぎ込んでしまう。まるで地震で崩壊して行くビルのようだ。しかも、そんな時に限って、仕事やプライベートで、周りから普段以上に自分の成果を求められる立場におかれてしまう。なるようにしかならないと思いながらも、前に進まなきゃ、と自分を奮い立たせる。ふさぎこみながらも独り膝小僧を抱え、遠くを見つめて自分に問うことにしている、「強くなりたいか?」と。この言葉は、逆境を越え、再生・復興の一歩をなした神戸の人たちから、同じ日本人である私に問われていると、今、思う。阪神・淡路大地震からの教訓の活かし方には色々あるだろうが、こうして、独りの小さき人間が小さな一歩、「強く」と歩み出させられることもそのひとつだろう。強という字は、カブト虫の如く、硬く丈夫で強い“からだ”を意味したというが、ゴルフがそうであるように、生きるとは「強い」身体力と精神力だろう。今年の干支は猪だが、生き方はカブト虫で行こうかな・・・っと呟く、さくらの独り言。

週間五日坊主(東京・成近)

   


( 川 柳 )

鼻ビアス 親の嘆きが見えるよう

鼻が伸び出してエースの座を滑り

外反母趾 ガラスの靴がきつすぎる

削除キー 二人羽織の手の無情

クローンの指が明日の闇に触れ

( ニュースやぶにらみ )

「日本の歌百選」
あれっ!“君が代”がない −大相撲

「三菱車またリコール」
おたくもやるねえ −不二家

「井沢八郎さん逝く」
戦後も遠くなりにけり −集団就職世代

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

  チベット紀行(12)
                   森田のりえ
  バルコルへお土産を買いに行った。
 チベットはどのお寺でも周囲を一周できる巡礼路がある。バルコルとは、ラサ旧市街の中心部にあるチベット仏教の総本山ともいえる大昭寺のまわりを巡る環状路のことである。まだ夜も明けぬ薄暗いころに行くと、祈祷具のマニコルを手に巡礼の人々が歩いていたり、五体投地で祈りながらいく人。また、鳥葬にするために遺体を白い布で包み野辺送りの葬列が通っていることもあるという。日中の巡礼路は商店が軒を連ねる巨大な市場と化すのだが、私は、最もチベットらしい景色が見られる早朝のバルコルへ行きたいと思った。しかし、団体行動ではそれができない。私たちがバルコルへ行ったのは午後からだった。
「向こうの言う値で買ったらダメですよ。外国人の観光客だと思ったら、法外な値段をふっかけてきますから、そのかわり、一応値切って話がついたら買ってあげてください」
 事前にガイドから注意をされた。
 お土産は「シィ」というチベット人が災難よけのお護りに身につけている石。シィはチベット文化圏でしか見ない石で元は虫だったという。砂地に棲むこの虫は勇気のある人だけがつかまえることができ、つかまえた時に虫は石になるといわれている。また、粉末にして薬として使うそうだ。色は黒か茶系で白い縞模様がある。同行のハシル君が「これだよ」といってペンダント・へッドの紡錘形の丸い石とブレスレッドを見せてくれた。
 バルコルは右廻りと決まっている。買い物時間は二時間である。
 荷物を満載した大八車が路地に消える。母親に背負われた幼児のパンツがお尻の部分が二十センチほど縫ってない。用便のためかもしれないが、寒かろうと思う。何もかも珍しい。善行を積みたいと願う人びとの喜捨を目当てに集まってきた物乞いにまとわりつかれる。青洟をたらした子供がついてくる。現金はあげないようにと注意されているから「ごめんねと」と、日本語でいって無視する。
 バルコルは私たちと同じ顔をした人や西洋人などの観光客らしい人出で賑わっていた。
 商品が路に溢れ出ている。ぶらりと装飾品店に入る。お目当てはもちろんシィである。ショーケースを覗く。すばやく男性店員がシィを出して、ガラス板に擦って見せる。堅いだろ、本物だよ、とでもいっているのだろうが言葉が通じない。濃い茶系の色艶の良さそうなブレスレッドの値段を聞く。
「百二十元」
「七十五元」
 すかさず値切った。
 ダメダメといっているようだ。日本円の一円が中国の十三元である。換算すると安い。だが、数字が大きくなると高価な物を買っているような錯覚に陥ってしまった。チベット族は根っからの商人。うかうかすると向こうの言う値で買ってしまいそうだ。出ようとすると、待て待てという仕草で計算機を叩き「これでどうか」と、値段を示す。
 トルコへ行った時、値切ったつもりなのに後で勘定をするととんでもない高値で買わされたことがあった。その轍を踏むのが口惜しい。娘は値切ることを恥だと思っているのか、いい加減で手を打ったらと私の肘を突付く。しかし、お金を出すのは私である。
 娘は義兄弟にシィのブレスレッド、義母と義妹には怪我除けのチェル(血赤サンゴ)と幸運を招き不慮の死から免れるというユ(トルコ石)のネックレス。まとめていくらと値段交渉をする。体力、気力が勝負である。
 ちなみに、海で採れるサンゴがなぜ山地でと疑問に思うが、遥か何億年か前に大陸は移動をはじめた。インド大陸がユーラシア大陸にぶつかって押し上げられてチベット高原になった。大昔、ここは海底だったのである。
 迎えのマイクロバスの運転手に買い求めたシィのブレスレットを見せると、
「ガラス」
 一瞥していった。
 今売られているシィのほとんどは台湾製の偽物で練り物かガラス製で、もし本物なら丸が四つ五つも増えるという。
 いよいよ明日は帰国だ。私と娘は泊まっている外賓用ホテルで毎回同じような中華料理の夕飯をすませたあと、ぶらりと門外へ出た。夕方七時は明るい。ポラタナス並木の大通りである。行き交う車は少なく、歩道に椅子を持ち出して大人はお茶をすすっている。狭い間口の店には、商売ができるのかと心配になるほど商品が乏しい。奥には、天井から十ワットほどの裸電球がぶらさがっていた。
 
私は再びここを訪れることはないだろう。だが娘はエキゾチックなところに惹かれたのか、ぜひハズバンドともう一度来たいという。よほど気に入ったらしい。娘を連れてきた甲斐があったというものだ。
 私たち一行の飛行機は成都に向かって飛んでいる。窓側の座席だった私は、見渡すかぎり幾重にも連なる山を見下ろしながら、ひょっとして揚子江が見えるのではないか目を凝らしていた。しかし、はっきりと見定めることはできなかった。
               おわり               

 

編集後記

TUTAYAの半額レンタルキャンペーンが始まりました。このときとばかりにまだ聴いていないジャズを探しに三宮のTUTAYAへ。いくつかお目当てのジャズを見つけました。最近はジャズだけでなくフォークソングやクラシック、そして落語にまで手を広げています。
最近はまっているのが「落語」です。でも外で落語を聞くときは笑いすぎに注意しないといけませんね。
私のハードディスクはこれらのコピーでどんどん肥大化しています。

今週お薦めのジャズ
クレオパトラの夢「Cleopatra's Dream」はたくさんのアーティストが演奏しています。
土曜日、見つけたのがEric Reed TrioのCleopatra's Dreamです。
先日、ご紹介した"Kenny Drew"とはまったく違う音楽のように聞こえます。


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Zakkaya Weekly No.558

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
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