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NO.555                Ryo Onishi              12/31/2006   

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雑貨屋のひとり言

 今日は大晦日です。大晦日に発行した雑貨屋ニュースはあったのかなーと思い、調べてみました。ありました!2000年12月31日発行の242号(20世紀最後号)です。(http://zakkayanews.com/zw/zw242.htm)
本日発行する雑貨屋ニュースは555号!なんか印象的!あれから313週間(2191日)も経ったのですねー。
というわけで、今週も雑貨屋ウィークリーを発行でき、うれしく思います。河合さん、さくらさん、成近さん、森田さん毎週、毎週、気楽な店主に原稿を送り続けていただき、本当にありがとうございます。感謝!!来年もよろしくお願いします。読者の皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。(R.O.)

クリスマス、年末休暇

 2006年もいよいよ押しつまりました。こちらロサンゼルスとその周辺の街はクリスマス、年末の飾り付けで賑わっています。この年末は例年に較べ一般に少し経済状態が良いようで、一般家庭のクリスマスの飾り付けも気のせいか派手に感じました。

小売業の年末商戦は必ずしも楽観的ではなかったようですが、間もなくその結果が出ることでしょう。消費者の財布のヒモがどれだけ緩んだか気になるところです。

 この年末は12月23日が土曜日であったため、公官庁、銀行、小売業などは別として、製造業を中心に多くの会社は23日(土)から2007年1月1日(月)までを10連休としたようです。

 私も駐在員現役のころは唯一の長期休暇となる年末連休を心待ちにし、夫婦で必ずどこかへ出かけることにしていました。

10年程前、私たち夫婦はアメリカ大陸を大西洋岸(ジョージア州)から太平洋岸(カリフォルニア州)まで、途中寄り道をしながら3,500マイル(約5,500キロ)をドライブ横断しましたが、これも年末連休のおかげでした。

最近のニュースによると、この冬コロラド州は寒波と大雪に見舞われ、コロラド州デンバーでは空港はもちろん市全体が数日間、陸の孤島化したとのこと、その間こちらロサンゼルス空港からデンバー行きの航空便はすべて欠航し大混乱でした。

10数年前、私たち夫婦はクリスマス休暇を利用してコロラド州へ行ったことがあります。あの時もたいへんな寒さでした。デンバー空港へ降り立った時の寒さ(寒さを通り越して顔が痛さでこわばりました)にびっくりしました。空港の外で借りたレンタカーは凍り付いており、雪と氷を取り除くのに苦労しました。でもロッキーの山々の澄み切った神々しさ、デンバー市と周辺の美しさに感動したことは忘れ得ぬ思い出です。とはいえ、旅行者にとっては感動的な寒さと美しさですが現地に住んでいる皆さんにとって寒波はさぞたいへんでしょう。

 現在の私は引退生活に入り、考えようによっては年中が連休のはずなのですが、やはり以前の習慣から抜けきらず、クリスマス・年末が来るとドライブ旅行に出たくなってしまいます。

さすがに最近は自分たち年齢(愛車も古くなり長距離に耐えないかも?)と体力が気になり長距離ドライブは避けるようにしていますが、カリフォルニア州内ならよかろうと今年も人並みに12月22日(金)の真夜中を期して我が老(朗)夫婦は勇躍ドライブに出かけました。

これから全米が年末連休に入るといっても、真夜中ならフリーウエイも空いているだろうとの甘い発想でしたが、これは見事に裏切られ、なんとロサンゼルス周辺のフリーウエイはどこもラッシュ時に準じる混雑さであり、さすが車社会の威力を思い知らされました。とはいえ、渋滞で動けぬというほどではなく軽快なドライブを楽しみました。

真夜中のドライブ数時間の行き先といえばカジノ場しかありません。どうしても最初の目的地はカジノ場ということになりました。

最近はラスベガスまで行かなくともカリフォルニア州内にいわゆる“インディアン・カジノ”なるものがパーム・スプリングス、サンディエゴ、テメチュラ、ソルバングなど各所にあり、数時間のドライブですみます。

 クリスマスの神聖な休日ドライブの第一目的地がカジノ場とは神を冒涜(ぼうとく)する行為かもしれませんが、そこは我々がノン・クリスチャンということでご勘弁願うことにした次第です。

ソルバングはデンマーク村で有名ですがサンタバーバラからさらに101号線を西に進む頃はさすがに車の流れも途絶えがちになります。何もない山間の荒野のただ中、丑三つ頃の冷えた星空は息を呑むほどでした。

空一面に大小の星々からスターダスト群、星雲まで黒い空間が見えないほどで、広い宇宙にはこれほど多くの星が存在していたのだと感動ものでした。星雲の中には気のせいか蒼くかすんで見えるものまでありました。私は安達太良山の空がどの程度かは知りませんが『東京には空がない』と嘆いた高村智恵子もこの夜空には感動してくれること請け合いの冴えた星空でした。

 私たちはここ数年、元日のドライブは止めています。というのも最近は近くの日系スーパー・マーケットの元日大売り出しに行くからです。わが妻もドライブより元旦9時からの福袋と大売出しのほうに興味を寄せはじめました。だから年越しは自宅というのが最近です。
 
 正月2日からまた観光スポットの取材も兼ねて出かけようと思っています。
 どうか皆さん良いお年をお迎えください。2007年こそ世界中の人々にとってより良い年になりますように。                                              河合 将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り言「 大晦日」

今日は大晦日、2006年も今日で幕を閉じる。多くの人がそうであるように、自分も今年一年を振り返る。そして、童話作家アンデルセンの有名な言葉を借り、『いい事も悪いことも沢山あった、だから幸せ』と締めくくる。さらに、2007へ思いを寄せながら鏡餅を飾り、カレンダーを差し替えて新しい年を迎える準備をする。この数年愛用している“日めくり”(『K作 日めくり作品集・道』・K作オフィス一空堂出版)の1日を開く、『始・・・いつからだって いちからはじめられる』。1年の終わりは一年の始まり、道はまだ続く。

“日めくり”カレンダーは、出張を除く家で朝を迎える時は必ず捲り、その言葉を胸に刻む。表紙の言葉を入れて合計32枚、毎年12回転する。この日めくりは、3年前に他界した純ちゃんこと長兄が最後を迎えた頃、私が病床の枕元に飾ってあげたもの。自分が選んだものだけど、天国の純ちゃんから送られてくるメッセージのように思えるから不思議だ。新年の準備が終わり、31日のページに捲り返してみる。『Power・・・あなたの胸の奥に あなた自身を救う秘密がかくされている』、まさに、新しい時を迎える前に、または何か新しいことを始める前に必要なことだなとうなずきながら、大晦日の意味を噛み締める。

ところで、筑前(福岡)藩士の息子で、江戸時代の本草学者であり儒学者でもあった貝原益軒(かいばら えきけん)は、幼少の頃から読書家で博識だった。しかし、書物だけにとらわれず、自分の足で歩き、目で見、手で触れたり口にしたりすることで確かめる実証主義を貫き、その生涯で60部270巻ぐらいの著書を残した。中でも、彼が83歳の時に自身の実体験をもとに書かれた『養生訓』は、健康で楽しみの多い人生、長寿を全うするための心と体の養生を学ぶ教育書である。養生の三楽を『道を行い、善を積むことを楽しむ。病にかかることのないことを快く楽しむ。長寿を全うすることを楽しむ』こととし、養生とは「畏(おそれる)」の一字、畏れると慎む心が生まれるからだという。不摂生な生活を常とし、慎む深くなれない私には、どの項も耳が痛い。ところが、ひとつだけこんな私も親しめる項がある、「大みそかの行事」である。この項は余り知られていないが、『大晦日の日は、大掃除をし、朝まで家の明かりを消さず、家族で仲良く過ごす。目上の人に礼の言葉をいい、家族で「とそ」を飲み、旧年を送り新年を楽しく喜びをもって迎える。これが、守歳(除夜、夜明かしをすること)である』(6巻22)。慎み深く、清く正しい生活で長寿を全うした貝原益軒でさえ、新年を前にした大晦日がかなり特別な日だったことがうかがえるというもの。

あと数時間で新しい年が明ける。今年を振り返るのもあと数時間で終え、新しい年への希望を考え始める。こんな風に、一つひとつの出来事、一人ひとりの友人知人と家族に感謝して大晦日を過ごす、まるで日めくりをめくるように新しい年が巡る。“終わりが始まり”のこの大晦日は、一年で一番感慨深い日だと思う。さて、年越しのシャンペンを呑みながら「元旦の計でも考えようかな」っと呟く、さくらの独り言。
 

週間五日坊主(東京・成近)


( 川 柳 )

この街の語り部でいる喫茶店

お客様は神様ここは馬鹿になる

暮までをもう一仕事今日柚子湯


大掃除妻に負けてる力瘤

いい知恵も悪知恵も無く恙無く

( ニュースやぶにらみ )

「ラストランも圧勝」
これからは伝説の中で駆けます −ディープインパクト

「姉歯被告に判決」
5年か、短くていいな −35年ローン

「大納会」
安倍株がずいぶん下がったなあ −兜町

今年一年ありがとうございました。来年も五日坊主をよろしくお願いいたします。

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

  チベット紀行( 9 )
森田のりえ
  ラサ二日目の午前中、風邪を引いてしまった娘をひとりホテルに残して、一行は大昭寺へ向かった。この寺はラサ旧市街地の中心にある七世紀中期に創建された寺院で、またの名をジョカン。チベット仏教の総本山とも言える寺である。 
 百年前に鎖国状態にあったチベットへ侵入した僧「河口慧海」は、どこの寺に行っても耐えがたい臭いに襲われる。これは燈明にバタを使い、僧侶がバタ茶を飲んだときに湿った漆喰のような床にこぼすから茶が腐敗し、異臭鼻を打つと紀行文に書いている。大変なところへ行く。覚悟しなければ・・・。
 また、映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』では、舌を出し、右の掌を耳に持っていき、左手は帽子を胸に当てるような挨拶をしていた。僧が舌を出して奇妙な挨拶の訳を同行のM氏に聞くと、こう説明した。
「自分より偉い僧に対する挨拶の仕方で、舌を出しているとき、後からポカッと頭を叩かれると舌を噛んで死んでしまいます。ですから、あなたに命を捧げていますよという意志表示なのです」
 もしかすると、この一風変わった風習が見られるのではないか、異臭とはどの程度の臭いなのか、私は恐いもの見たさから、
 いざ出陣!
 とばかり、ひそかな期待と緊張した面持ちで迎えのマイクロバスに乗り込んだ。
 大昭寺前でバスから降りると、たくさんの人が歩いていた。とりわけ目を引いたのは、チベットの服装をした女性である。腰まである長い髪を三つ編みにし、途中から赤と緑の布切れを編み込んで垂らしている。なかなかお洒落な感じである。足首まである黒いスカートに膝まであるベスト、手織りのような横縞の前掛け、誰もが肩から斜めに布製のずた袋をかけていた。
 そして、チベットの伝統的な服装をした人たちのほとんどが手に祈祷具のマニコルを回転させながら歩いている。マニコルとは赤ん坊の玩具にガラガラというのがあるが、あれを想像すればいい。
「あのなかには経文の巻紙が入っていて、右まわりに回転させ、一回まわせばお経を一回読んだことになるのよ」
 浄仁さんが教えてくれた。
 経読みの手抜き道具だと思うと可笑しくなった。けれども、誰がこんな便利で合理的な物を作り出したのだろう。チベット的専売特許にも等しい利器である。
 スニーカーにジーンの上下を着た少年が裾まである前掛けをし、額に何か貼りつけ、大きな手袋のようなものをはめている。カメラを向けると、はにかんだような笑顔を向けてくれた。この少年は観光客に五体投地を見せてお金を稼ぐのかも。どうも私の考えは世俗的すぎるようだ。
 大昭寺の正門前ではたくさんの人たちが五体投地をしていた。五体投地の作法とは、合掌した手を頭上に、口元、胸へ、それから両膝を地に着いてうつ伏せになり両手を伸ばす礼拝の方法である。
 テレビのドキュメンタリー番組で何度も観たことがある。「ああ、これがあの礼拝か」と思い見とれてしまった。ラサとは「神の国」という意味だそうだ。なるほど、彼らは仏教とともに生きているという思いを強くした。
 巡礼の旅は、身を投げうちながら地を這うようにして身の丈ずつ進む。一生に一度、五体投地を繰り返しながら長い年月をかけて巡礼をするのがチベット人の生涯の目的だと聞いたことがある。なぜ、これほどまでに祈りつづけるのだろうか。輪廻転生を信じる彼らは、今生に人間として生まれたからには仏法にあって転生の輪廻を断ちきり、極楽浄土へ生まれるためという強い信仰があるからだというのだが。
「あの人たちと話がしてみたい!」
 と思ったが、残念ながら言葉ができない。
 毎日十回五体投地をすれば、身体のあちこちに付いた贅肉が取れること間違いないなどと、不謹慎なことを思いついた。
 大昭寺のなかに入った。
 薄暗い寺院のなかは迷路のようだった。バタ灯に照らされ黄金色に輝く仏たち。どの部屋の仏たちにも供養のためのカタやお賽銭のお札が手の届く位置に無造作に置かれ、隙間にねじ込んである。盗む人はいないのだろうか。はやり彼らは「神の国」に近いのかもしれない。
 僧侶たちの舌を出す独特の挨拶も見られず、異臭もない。私の臭覚が鈍くなったのか。あるいは空気清浄器が取りつけられたのか。おおいなる期待が外れてしまった。
 接待用の部屋に通された。
 明朝五時、一行のうち七人がラマ僧になる受戒式がこの大昭寺で行われるのでその打ち合せがあった。珍しい儀式が見られる「しめた!」と、私は内心ほくそえんでいたのだが、部外者は参列できないといわれがっくり。
 ちなみにチベット仏教を称してラマ教と称するのは、彼らにとってはいい呼び方ではなく、ラマとは密教の修習を積んだ者で、弟子に伝法できる者をいうのだそうである。              
                つづく
               

 

編集後記

先週はクリスマス・イブの日の発行、今週は大晦日の発行とオメデタイ日にかかわっています。何が大きく違うかといえば、今は本格的な休みに入っているということでしょうか?なんてったってお正月は日本国民の休日ですからね。
今週お薦めのジャズ
28日、TSUTAYAに行き、今年最後のジャズ探しをしました。今年は驚異的なペースでジャズを聴きまくった一年でした。家でも、車に乗っても、電車の中も、歩いていても聴いています。自分は本当にジャズが好きだと認識できた年でした。今週は”Tommy Flanagan”のSea Changes”を紹介します。すっきりしたピアノの音が気分を良くしてくれるジャズだと思います。

雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.555

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com