2006年もいよいよ押しつまりました。こちらロサンゼルスとその周辺の街はクリスマス、年末の飾り付けで賑わっています。この年末は例年に較べ一般に少し経済状態が良いようで、一般家庭のクリスマスの飾り付けも気のせいか派手に感じました。
小売業の年末商戦は必ずしも楽観的ではなかったようですが、間もなくその結果が出ることでしょう。消費者の財布のヒモがどれだけ緩んだか気になるところです。
この年末は12月23日が土曜日であったため、公官庁、銀行、小売業などは別として、製造業を中心に多くの会社は23日(土)から2007年1月1日(月)までを10連休としたようです。
私も駐在員現役のころは唯一の長期休暇となる年末連休を心待ちにし、夫婦で必ずどこかへ出かけることにしていました。
10年程前、私たち夫婦はアメリカ大陸を大西洋岸(ジョージア州)から太平洋岸(カリフォルニア州)まで、途中寄り道をしながら3,500マイル(約5,500キロ)をドライブ横断しましたが、これも年末連休のおかげでした。
最近のニュースによると、この冬コロラド州は寒波と大雪に見舞われ、コロラド州デンバーでは空港はもちろん市全体が数日間、陸の孤島化したとのこと、その間こちらロサンゼルス空港からデンバー行きの航空便はすべて欠航し大混乱でした。
10数年前、私たち夫婦はクリスマス休暇を利用してコロラド州へ行ったことがあります。あの時もたいへんな寒さでした。デンバー空港へ降り立った時の寒さ(寒さを通り越して顔が痛さでこわばりました)にびっくりしました。空港の外で借りたレンタカーは凍り付いており、雪と氷を取り除くのに苦労しました。でもロッキーの山々の澄み切った神々しさ、デンバー市と周辺の美しさに感動したことは忘れ得ぬ思い出です。とはいえ、旅行者にとっては感動的な寒さと美しさですが現地に住んでいる皆さんにとって寒波はさぞたいへんでしょう。
現在の私は引退生活に入り、考えようによっては年中が連休のはずなのですが、やはり以前の習慣から抜けきらず、クリスマス・年末が来るとドライブ旅行に出たくなってしまいます。
さすがに最近は自分たち年齢(愛車も古くなり長距離に耐えないかも?)と体力が気になり長距離ドライブは避けるようにしていますが、カリフォルニア州内ならよかろうと今年も人並みに12月22日(金)の真夜中を期して我が老(朗)夫婦は勇躍ドライブに出かけました。
これから全米が年末連休に入るといっても、真夜中ならフリーウエイも空いているだろうとの甘い発想でしたが、これは見事に裏切られ、なんとロサンゼルス周辺のフリーウエイはどこもラッシュ時に準じる混雑さであり、さすが車社会の威力を思い知らされました。とはいえ、渋滞で動けぬというほどではなく軽快なドライブを楽しみました。
真夜中のドライブ数時間の行き先といえばカジノ場しかありません。どうしても最初の目的地はカジノ場ということになりました。
最近はラスベガスまで行かなくともカリフォルニア州内にいわゆる“インディアン・カジノ”なるものがパーム・スプリングス、サンディエゴ、テメチュラ、ソルバングなど各所にあり、数時間のドライブですみます。
クリスマスの神聖な休日ドライブの第一目的地がカジノ場とは神を冒涜(ぼうとく)する行為かもしれませんが、そこは我々がノン・クリスチャンということでご勘弁願うことにした次第です。
ソルバングはデンマーク村で有名ですがサンタバーバラからさらに101号線を西に進む頃はさすがに車の流れも途絶えがちになります。何もない山間の荒野のただ中、丑三つ頃の冷えた星空は息を呑むほどでした。
空一面に大小の星々からスターダスト群、星雲まで黒い空間が見えないほどで、広い宇宙にはこれほど多くの星が存在していたのだと感動ものでした。星雲の中には気のせいか蒼くかすんで見えるものまでありました。私は安達太良山の空がどの程度かは知りませんが『東京には空がない』と嘆いた高村智恵子もこの夜空には感動してくれること請け合いの冴えた星空でした。
私たちはここ数年、元日のドライブは止めています。というのも最近は近くの日系スーパー・マーケットの元日大売り出しに行くからです。わが妻もドライブより元旦9時からの福袋と大売出しのほうに興味を寄せはじめました。だから年越しは自宅というのが最近です。
正月2日からまた観光スポットの取材も兼ねて出かけようと思っています。
どうか皆さん良いお年をお迎えください。2007年こそ世界中の人々にとってより良い年になりますように。 河合 将介(skawai@earthlink.net)
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