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NO.538                Ryo Onishi              9/3/2006   

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雑貨屋のひとり言

神戸出身のジャズシンガー、綾戸智絵のコンサートが金曜日、神戸国際会館であったのでワイフと行きました。彼女の独特の歌い方もすばらしいのですが、関西弁のおしゃべりがとても楽しく、まるでお笑い劇場のようで疲れを吹き飛ばしてくれました。出演は綾戸さんとギターリストの・・さん(ものすごくうまい人)の二人だけで、ステージにピアノが置いてあるだけのシンプルなものでしたが、十分楽しませてくれました。「歌や演奏は毎回違い、同じことはない・・、観客の皆さんが創っているんです」という言葉が印象的でした。綾戸さんのコンサートは今回が初めてでしたが、また行きたいと思いました。(R.O.)

はなしのはなし

菓子製造業の家に生まれ、甘い砂糖に囲まれた環境で育ったにしては虫歯も少なく、シニア世代を向かえた今でも入れ歯がないことが私の自慢でしたが、ついに左側最奥歯(大臼歯)を、しかも上下ともに抜くことになってしまいました。

左奥の下大臼歯はもともと若干は虫歯の気配があったのですが、先日、定期の歯科クリーニング時に撮影したレントゲン写真で歯根部が歯茎の中で折れているのが見つかり、また同じく左奥の上大臼歯も歯根部が緩み歯槽膿漏の気配が見つかり、歯科医からちゃんとした処置をしましょうと言われてしまいました。

歯医者には歯科クリーニング以外の目的で行くのはアメリカへ来てはじめての経験であり、多少不安を感じながらも指定日に歯科治療室へ入りましたが、抜歯自体は麻酔効果のおかげで痛くも痒くもなく20分ほどですべて完了でした。

でも、上下2本の奥歯を抜くというので1日1本ずつ抜き、2日に分けて抜かれるのだろうと思っていましたらなんと上下同時に抜かれてしまい、歯だけでなく度肝まで抜かれた思いでした。

上下とも左奥の大臼歯であるので抜いたあとには大きな穴があき、ドクター二人掛かりで縫い合わせ作業があり、口に詰められたガーゼには真っ赤な血が染み込み、二日ほど食物がまともに摂れない状況で、これには“食べ盛りの”私だけに多少つらい思いをしました。

一週間後にフォローアップのため来なさいとドクターから言われています。抜いたあとどうしてくれるのか気になるところです。

老化現象は目、歯、足からといわれますが、私もいよいよ老化の第一歩を記したのかもしれません。目と足は今のところ健在ですのでまあ良しとすべきということでしょうか。

特に足のほうは毎日のエクササイズ(運動器具によるトレーニング)効果か、多少の山坂程度なら平気です。今でも若い人から「この山道を疲れた様子も見せず、よく平気で登れますね!」と言われています。(半分以上はお世辞?!?)。

人間、老化を気にするようになったら、それ自体が「老化の始まり」とも言われますので、どうも今回の話題は“若さ”を売りとする私としてはふさわしくない話題でした。
――― ところで私もここで68歳の誕生日を迎えました。とんだ“歯なしの話”でした。
      河合 将介(skawai@earthlink.net)

さくらの独り言「 ハトの群れ 」

このところ、過密スケジュールに追われた毎日。特にこの1週間は、愛知、大阪への立て続けの出張に加え、自分主催の研修会(チームビルディング)も重なって、まさに殺人的日夜であった。金,土の1泊2日にわたって行なわれた研修会は、初日が終わった夜、関係者と翌日の進行演出についてのミーティングが深夜まで続き、体力・思考力は、すでに限界を超えていた。それでも翌朝は、6時に目が覚めた。身体は重いが、頭は冴え亘っている。もともと、お台場なる場所を知らない(嫌いな)私は、身支度もほどほどに、朝の散歩に出かけた。研修会場(宿泊)のホテル近くにお台場臨海公園がある。涼やかな初秋の潮風が心地いい。と、あるベンチに腰かけ、すでに多くの車が行き交うレインボーブリッジや、幕末、黒船を迎え撃つための砲台として造られた台場(浮き島)を眺めながら、“今日の、意義・効果ある研修の演出”を考えていた。そんな時、ハトの群れの1シーンに目を奪われた。それは偶然の、短いストーリーだが、何かしら組織(会社)人の在りようを考えさせられるに十分な示唆的場面であった。

犬を連れた初老の男性が、私から5メートルほど離れたベンチに座わると、2、3羽いたハトに向かって、いきなりパンくずを撒き出した。あっという間に、数10羽のハトやスズメがそこに群がった。元来、ハト大嫌いの私、すぐにその場を立ち去ろうとしたが、どういうわけか、餌を漁るハトたちの機敏な動きに目が留まり、浮かした腰を再び下ろして、しばし、ハトやスズメたちの“餌獲り行動”に観入った。スズメたちは、大きなハト群の間に割り込んで、自分の嘴(くちばし)に見合う小さい粒のパンくずをくわえては素早くその場を離れ、食べ終わると、また、ハトの群れに侵入する。不思議なことに、ハトたちは、そんなスズメの動きを制止したり、攻撃を加えよとする気配は、いささかもない。むしろ、“小粒はお前たちのもの、大粒は俺たちのもの“という、自然の共存本能があるように思える。それは、この場所が、生きるための熾烈な戦いを余儀なくされる自然界ではなく、人間社会の一隅で、いつでも人間に餌を与えられる環境によって、生き残りのための過酷な餌獲り合戦を繰り広げる必要と習慣を無くした、”街場の鳥“のゆえんだろうか。不思議、と言えば、一羽が餌を口にくわえている間は、それを横取りしようとする鳥はいない。が、ひとたび口から落とすと、数羽がいっせいに、その餌に飛びつく。まばたきする間もない素早さ。他の鳥に(自分が落とした)餌を取られた鳥は、未練がましく、それを追うことはしないで、また、他の餌を探す。この動きは、ハトもスズメも同じだ。鳥類の専門家ではないから、これが鳥類の本来的習性であるかどうかは知らないが、少なくとも“街場の鳥”は、そうだ。それが何とも微笑ましい。

この10分足らずの、小さなドラマを観ているうちに、私はふと、“今日の研修会”の、本質的テーマを教えられたような気がした。会社は、社員の業績(会社経営貢献度)によって額を定め、全社的・心理的不公平が生じないルール(規定)によって報酬を考える。また、社員のキャラクターや能力によって、その人間の力が発揮できるような環境(部署)を与える。まさに適材適所を考えた上での配置である。なのに、(わが社に限らず)社員は、給料や仕事に、何がしかの不満を抱く。これは、労使の宿命的隔離軸である、と片付けてしまえばそれまでだが、“溝在りき”で組織論や人材育成論を論じてみても、本質は少しも変わるものではない。その本質とは何だろうか。一つの共通目標(餌獲り)に向かって同士が集まり(群れ)、お互いの人間性と領域(職域・権限)を尊重し合いながら(共存)、組織規範(ルール)に基づいて知恵を出し合い切磋琢磨(努力)する社会、それが人間社会の本来的姿であろう。そのことを踏まえ、社員は会社に何を求め、会社は社員に何を期待するかを考えたい、そこに生きる人たちの共栄共存と組織(会社)の永続的発展のために・・・「ハトの群れ」から、そんなヒントを得た、お台場の朝の爽やかな散歩であった。

石原慎太郎東京都知事が、あるテレビ番組で『相対的認識論』という言葉を使った。「人間や社会・国家は、他人や他の地域社会・他の国々から教えられることが多い。他との比較を通して、おのれ(自身)、所属する社会(組織)、国家の現在(レベル)を認識すべきである」という意味らしい。そういえば、ハトとスズメ、あるいは同類同士、相対的認識が存在しているように思えた。ひとたび嘴にくわえた餌は、あくまでも自分の物だが、他人の持ち物を横取りしたり、餌の取り合いで争いを起こしたりする習性は、10分間ドラマの中では無かった。おのれを主張するも、他を妬んだり陥れたりすることのない「ハトの群れ」に見習うべき点多しだと思った。とはいえ、わがままな私、大嫌いなハトを好きにはなれなんだもん、っと呟く、さくらの独り言。

週間五日坊主(東京・成近)


( 川 柳 )

ゼロコンマながらもカラットの驕り

ブランドでびしっと決めて隙だらけ

親馬鹿と子馬鹿で億の披露宴

美しい嘘に幸せ抱かれてる

カラットの軽さを知った離婚印

( ニュースやぶにらみ )

「宿題」
小泉さんだってやり残したよ −夏休みの子供

「10年後」
とうなっているかな −東京オリンピック
            −小泉チルドレン

「関心」
9月20日より9月6日 −国民

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

 連載 ウィドウ(7)
 森田のりえ
「どうしても結婚したいというのなら、親でもない。子でもない」
 澄江が逗子の火薬庫に駐留していたアメリカ兵のエルマーと結婚したいと告げた時、父親は激怒していったそうだ。両親から半年間、脅され、すさかれ、泣かれた。元軍人の父親に口答えをすれば往復ビンタをもらうのは間違いない。怖くて何もいえなかった。だが、
「高級パンスケ!」
 とまでいわれた時、澄江は毅然としていい返した。
「違います。好きになった人がたまたまアメリカ人だったのです。それほどまでに私たちの結婚に反対なら、わたしを絶対に幸せにするという男性を連れてきて下さい」
 エルマーは、澄江が米軍でタイピストをしていた時の上司である。仕事上での間違いがあれば、以前の上司と違って、日本人のせいにはせず自分で責任を負い誰も咎めたりはしなかった。エルマーは格好よくて寛大、寡黙であり、親切で優しい男性だった。
 怖い父親、威張った物言いをする許嫁。そんな日本男性を見ていた澄江がエルマーに惹かれたのも当然だろう。
「絶対に泣きついて帰るな!」
 勘当であった。
 四十八年前、澄江はご主人の実家があるミネソタに一時身を寄せて長女を出産。それから二年半後のことだ。毛筆で書かれた父親の長い手紙が澄江の元に届いた。
――嫁いだからには、アメリカ人として幸せな家庭を築いてくれ。悔いのない人生を――
エルマーとの結婚を認めてくれた手紙に、澄江は泣き崩れた。
 コロラド州、ドイツ、ジャージア州、ギリシャとご主人の配属に澄江は付いてまわった。三人の子供に恵まれ、最後に落ち着いた先がモンタナ州のビリングスだった。
「飛行機から見ると、茶褐色の大地にポツンと針で突いたような緑の塊があるの、あれがビリングスだと主人に教えられた時は、ぞっとしたわ。あの小さな所に一生住むのかと思うとね。飛行場から十五分も車で走れば、街を突き抜けてしまう。主人は田舎暮らしが好きだったけど、わたしは都会育ちだから死にそうだったわ。そこに三十年もいたのよ」
 ああ、嫌だ嫌だ。思い出すだけでも嫌といって彼女は首を振った。
 五十三歳の時、澄江はご主人を肺癌で亡くした。長女はプリンストン大学でオリエンタル・アート・ヒストリーを学び大学教授の道へ、長男は東部の名門校エール大学を卒業してエンジニヤ、末っ子は軍の仕事と、子供たちはすでに社会人になっていた。
 日本食が食べたくて、日本語で話したくて、ウィドウになって三年目、澄江は長女夫婦が住むロサンゼルスへ引っ越してきた。念願だった日本人のボーイフレンドも見つかった。これは訳あって別れたけれど、ともかく、夢が全部叶えられたのである。
「わたし、いま、本当に幸せだわ」
 澄江は喜色満面な顔でいう。
「三十年間、損したわ。わたしの人生から日本がぽっこり抜け落ちている感じよ」
 というが、二つの違う文化を体験し、英語での日常会話も難なくできる。「得難い体験をしたから羨ましい」といえば、まぁ、それも考えようねといって、澄江は笑った。
 ウィドウ仲間の幸子と澄江は日系マーケットで知り合った。聞けば、我が家から歩いて行ける範囲にふたりは住んでいた。ウィドウ三銃士と名付け、何時とはなし、お互いに連絡しあうようになった。
「美味しいお蕎麦屋さんができたわ」
「行こう!」
 伺いを立てる相手はおらず、即決だ。だが、
時には感情の行き違いもある。
「あなた、どんなつもりであんなこといったの? わたし、傷ついたわ」
 アメリカナイズされた澄江は、腹蔵がない。
「え、あら、そう、ごめんなさい」
 で、一件落着。腹に一物抱えがちな私は、澄江に教えられることが多い。
「変なもの作ったけど、食べにこない?」
「行く行く。変なもの食べたい」
 澄江のいう「変なもの」とはごった煮のことだ。お呼びがかかると、おかずの残り物など持って私たちは集まる。
 彼女の家の玄関には、長女夫婦が天皇皇后両陛下と映ったスナップ写真が額に入れられ、壁にかけてある。長女が早稲田大学へ留学していたころ、学生を代表して両陛下に挨拶をした時のものだ。三人の子供を立派に育てた自負を澄江は持っている。  
「わたしを戦争花嫁と呼ぶ人がいても、嫌悪感はないわ。侮辱や差別されたことがないから……。いつの時代でも戦争が起きれば、兵士は異国に派遣される。そこで若い兵士が現地の女性と恋におち生涯をともにする。人間だもの、当然よ。むしろ『戦争花嫁』を侮蔑言葉として使う人の品性を疑うわ。卑下することではない」
 堂々と言い切る澄江を私は、立派だなぁと見上げるのである。
               つづく

 

編集後記

毎日の散歩(もう散歩ではなくスポーツかも)は二週間続いています。今朝も6時過ぎから歩きいい汗を掻きました。朝の涼しい空気の中、緑を楽しみながら歩きました。いつ来ても同じ人たちが歩いておられるので勇気付けられます。

今週のジャスのお薦め
今週も歩くときに聴くのにぴったりなジャズを紹介します。Harold Mabern Trioのアルバム"Falling In Love With Love"《恋に恋して》です。この曲も軽快なテンポが良いですね。力強いピアノが元気にさせてくれます。
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Zakkaya Weekly No.538

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com