☆ 山内一豊の妻 (工藤 武城作)
婦徳(ふとく)豈(あに)要(よう)せんや
紅粉(こうふん)を施(ほどこ)すを
心中(しんちゅう)の貞節(ていせつ)は
嬌姿(きょうし)に勝(まさ)る
荊釵(けいさ)髪(かみ)を理(ととの)え
粧飾(しょうしょく)を避(さ)け
綿服(めんぷく)身(み)を裏(つつ)み
渇飢(かっき)を凌(しの)ぐ
切々(せつせつ)杼機(ちょき)
常(つね)に隙(ひま)を惜(お)しみ
営々(えいえい)針線(しんせん)
疲(つか)れを知(し)らず
誰(たれ)か知(し)らん
鏡厘(きょうこう)十金(じゅっきん)の貯(たくわ)え
遂(つい)に作(な)す
土州城主(どしゅうじょうしゅ)の基(もと)
今年のNHK大河ドラマでも取り上げられていますが、山内一豊の妻といえば、妻の鑑として有名です。
夫である山内一豊が馬を買う金がなくて困っているのを見た彼女が手鏡の中から黄金10枚をとりだし、「これで馬をお買いなさい」と一豊に与え、おかげで夫は馬を買うことができたという話です。
山内一豊は、織田、豊臣と2代に仕え、さらに関が原の戦にあたっては諸大名に先駆け東軍(徳川方)に積極的に味方することを表明し、東軍勝利のきっかけを作った武将でした。この功もあって、彼は徳川家康から土佐24万石の大名に大抜擢されました。
山内一豊の妻(千代、まつ、見性院)にまつわる「内助の功」の逸話は戦前の日本において教科書にも採用され、これぞ女性のあるべき姿として学校教育にも使われました。(小学校5年生用国語教科書)
妻が夫のために「へそくり」を差し出すなどという話は現代では通用しないことかもしれませんが、こんな逸話が教科書に登場するところがいかにも時代を感じさせます。
山内一豊の妻は「へそくり」を鏡厘(きょうこう:鏡箱)の中にかくしていたようですが、現代の妻(夫)たちは「へそくり」をどこにかくしているのでしょうか?
たまたまインターネットで栃木銀行のホームページを開いて見たら、へそくりに関する調査結果が載っていました。興味ある内容ですので、以下はそのホームページから引用させていただきました。(「とちぎのへそくり事情」より引用)
|
☆「へそくり」は「内緒で蓄えるお金」のことですが、そこには罪悪感は全くなく、むしろペーソスやユーモアを感じるものです。また「へそくり」は「いざとなった時の備え」であり、何かと気忙しい現代生活の「ゆとり」や「潤い」、「安心」でもあります。そんなイメージを持つ
「へそくり」ですが、人々は実際にはどのように工夫し、どのくらい蓄えているのでしょうか。
☆(質問)あなたは「へそくり」をしていますか?
(回答)「へそくり」をしている割合:
女性:20代(57.7%)、30代(58.3%)、40代(46.5%)、
50代(48.8%)、60代(22.2%)、70代(0%)
男性:20代(31.5%)、30代(23.3%)、40代(27.7%)、
50代(20.0%)、60代(33.3%)、70代(40.0%)
☆(質問)あなたは「へそくり」でいくら貯蓄していますか?
(回答)十万円未満(53.7%)、十万円以上〜百万円未満(13.0%)、
百万円以上(33.3)
☆(質問)「へそくり」の隠し場所はどこですか?
(回答)157名の回答内訳:103名(通帳・口座)、21名(タンスドレッサー)、5名(財布、車の中)、4名(冷蔵庫、本の間)、3名(金庫、机、かばん)、
2名(食器棚、台所、洋服の内ポケット)
☆(質問)「へそくり」の目的は?
(回答)万一の出費に備えて(32.8%)、旅行・レジャー用(18.5)、趣味の用品代(13.0%)、洋服代(10.4%)、生活費のたし(5.8%)、特になし(5.5%)、飲食代(4.2%)、子どものもの(2.6%)、習い事(1.3%)、そのた(5.9%)
☆(質問)「へそくり」がばれたことがありますか?
(回答)ある(12.5%)、ない(87.5%)
☆(質問)「へそくり」がばれた理由は?
(回答)財布の中をみられた、口をすべらせた、小遣い以上に使ってしまった、しまい忘れた、自分から話してしまった、居ないとき家中を探された、車のルームミラーの隙間に入れておいたがミラーがこわれてばれた、提灯に隠しておいたがライトがあたって透けてみつかってしまった、新しい釣り具を買ったのでばれた、友達に貸したお金を返してもらうところをみられた、・・。 河合 将介(skawai@earthlink.net)
|