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NO.503                Ryo Onishi              1/1/2006   

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河合さんの さくらの独り言 川柳 & コント 森田さんから ホームページ
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雑貨屋のひとり言

2006年、明けましておめでとうございます。穏やかな天気でとてもいいお正月を迎えることができました。みなさんはどんなお正月をお過ごしでしょうか?
先週は年末だったこともあってあっという間の一週間でした。この調子だと今年もあっという間に一年が過ぎてしまいそうです・・。昨年は健康について考えさせられた一年でした。今年も気をつけたいと思います。お酒の量はグッと減らしています。昨年10月に買ったビールがまだ残っている状態はこれまで考えられなかったことです。今年も毎週、雑貨屋ニュースレターを絶妙のチームワークで発行していきますのでよろしくお願いします。(R.O.)

お正月イン・リトル東京

 2006年の新春を迎えました。新しい年が皆さんにとって良い年でありますようお祈りいたします。私たち夫婦もロサンゼルス(郊外)滞在20年が過ぎ、明るい気持ちで新年を祝える喜びに感謝しています。
 ロサンゼルス日系社会では毎年元旦の恒例行事として、南加日系商工会議所主催のイベント「お正月イン・リトル東京」と呼ばれる催しがあります。今年は第8回目となり、日本人、日系人だけでなく、他民族系の人々も含め、毎年1万人を超える人々で賑わいます。
今年の実行委員長は我々の仲間でもある若尾龍彦さん(南加日系商工会議所筆頭副会頭)で、若尾さんらしい新鮮なアイデアも豊富に取り入れられ種々楽しい行事が予定されています。
会場となるのはロサンゼルス・ダウンタウン内のリトル東京周辺で、ホテル・ニューオータニ、ウエラコート、オニズカ・ストリート、ジャパニーズ・ビレッジ・プラザなどです。
今年の催し物の一端を紹介しますと、和太鼓演奏と鏡割りで始まり、武道・拳法デモ、餅つき、獅子舞い、初釜、生け花、民謡、日本舞踊、羽根つき、かるた取り、囲碁トーナメント、独楽廻し、福笑い、書道書き初め、琴演奏、着物着付けショウ、サムライ・アクション・ショウ、下駄タップダンス、凧揚げ、などなど・・。さらに福引による日本往復航空券など多くの賞品があたる福引まで用意されています。
日本酒にお雑煮、おせち料理も振舞われ、もしかしたらこちらの正月行事の方が今の日本より“はるかに日本的” かもしれません。
ロサンゼルスとその周辺には一時滞在者を除いても数万人の日本人・日系人(米国籍取得者を含めて)が住んでいます。中には日本へ行ったこともない日系三世、四世といった人もいれば、祖国(日本)を離れて数十年、いまだに心の奥に望郷の念を秘めて暮している人も多いようです。
「お正月イン・リトル東京」はこれら日本人・日系人にとって、ただ懐かしいだけではなく、自分たちのI.D.(アイデンティティ)を認識する場にもなっているのではないでしょうか。  
祖国やふるさとは離れてみて、はじめてその良さ、ありがたさを実感できるものかもしれません。
                                             河合将介(
skawai@earthlink.net

さくらの独り言「 初詣」

 東京で独り迎える2年目のお正月、昨年の元旦とは違い、重たい曇り空。のそのそと起き出し、バルコニーで2006年の新風を吸う。“春のうららの隅田川”はもう少し先だけど、鉛色の隅田川には早々と上り下りの遊覧船が行き交っている。浅草寺初詣客の粋な初乗りだろうか、船数の多さにちょっと驚く。太陽を目隠しした空に向かって、一年の安寧を心願し、部屋に戻りお雑煮をいただきながら“一年の計”を考える。が、特別の計も浮かばず、10時過ぎ、いつもの「気ままな散歩」に出かけたくなり、独り初詣へふらり。

正月早々、さくらのと言っても詣で先は、同じ佃町内の住吉神社。クリスチャンのさくら、本来なら教会で祈りを捧げなければならない身ではあるが、この地に住み着いて以来、夏祭りなどでお馴染みになっているせいか、宗教を超えて住吉神社が身近になっている。どこからお参りに来るのか大勢の参詣客が、神社の狭い境内を埋め尽くしている。そういえばこの住吉神社は「下町八福神」の一つである。「下町八福神」とは鷲神社(台東区千束)、今戸神社(台東区今戸)、第六天榊神社(台東区蔵前)、小野照崎神社(台東区東上野)、水天宮(中央区日本橋蛎殻町)、小網神社(中央区小網町)、住吉神社(中央区佃)の八つの神社である。これら八福神めぐりにより“八方除け”“八方開き”が叶えられると言う。鳥居から拝殿前のおよそ30メートルの距離を、2〜3人ずつが整然と並び順番を待つ。最初ビリっこだったさくらの後に、もう数十人もの参拝者が列をなし鳥居の外まではみ出ている。順番が来て、お賽銭を奉じ、2礼2拍1礼の正式参拝を済ませて社務所で御神籤を買う。「人は神の子、神は人の子皆を等しく可愛く思し召し、お恵み下さる・・」とは聖書の中でも謳われている。古今東西、神とは人のためにあり、神は人の心に存在するもの、したがって神を信じるということは自分を信じることであり、さらに自分の今日在るをなしたる者(先祖)と自分の存在を認めてくれるすべての人や自然に対して感謝の心を持つことが神への奉仕ではあるまいか、と、考えさせられた初詣であった。

ところで、昨年は、1899年の調査開始以来初めての(死亡者が出生者を上回る)人口自然減だったという。お正月といえば、以前は子どもたちのはしゃぎ声や羽子板つきやコマ回しの音が町中に響いたものだが、少子化の波は、正月の風情までも変えてしまっているようだ。とにかく静かだ。あまりにも静か過ぎて、小鳥のさえずりだけが耳をつく。枯れ木、枯れ葉にうずまる寒々とした佃公園の中で寒椿の花や梅もどきの赤い実が、やっと心をなごませてくれる。うれしいことに桜のつぼみも見つけた。静かな正月だが、自然は確実に新春の息吹を吹き込んでいる。平和な日本、平和な年明けだ。

さて、帰宅して友人からの“メール賀状”を読んだ。挨拶文と一緒に「犬」と「(犬)梅もどき」の写真が挿入されている。それによると「戌」は本来、「犬」とは関係なく、刃物で作物を刈り採りたばねるという、収穫の意味を有する漢字だったそうだ。また「犬梅もどき」の花言葉は「知恵」。“1年の計”はまだ考えつかないが、今年はどうやら「知恵」と「収穫」がキーワードになりそうだ。新しき年を祝って乾杯、さて一年の計でも考えるか・・・っと呟く、さくらの独り言。

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

七十余年語る陛下の白い髪

飛ぶトリが跡を濁して年を終え

元日の朝も回転皿で来る

それなりの期待も白い日記帳

小吉の神籤に今年賭けてみる

( ニュースやぶにらみ )

「ディープインパクト敗れる」 
 ええっ 支持率62・6%で ―小泉首相

「去年一年」
反抗期でした −平成17才

「年間上昇率40.24%」
上げましておめでとう −株価

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

連載「夫と私 」  
                 喉元すぎれば( 13 )
 八月三日、夫は、三週に一度のキモセラピーを四回受けた後、週五日の放射線療法を三十五回受けて、当初予定されていた癌治療をすべて終えた。けれども、吐気、痺れ、倦怠感、それに喉の痛みは相変わらずである。唾液さえ飲み込めない。
 化学療法医のG医師は、夫の胸や背中に聴診器を当て、
「good」
 と、いいながら何かを確認するようにうなずく。
 私は、わずかなG医師の表情も見逃すまいとそれこそ全神経を耳にし、呟きすら聞き漏らすまいとした。食べ物さえ喉を通れば、身体の他の部分は元気なのだ。ともかく喉さえ開けばいいのに、と思う。
 放射線医の若い女医はいう。
「食べ物を口から入れてください。はじめは痛むかもしれないけれど、少しずつ入れて訓練すれば痛みはとれるはずです。でも、半年はかかりますよ。喉が痛いのはノーマルですから、心配はいりません」
 血色がいいから癌に侵されているようには見えないともいった。
「たとえ喉が開かなくても『dilation』をする方法もあるから、大丈夫、大丈夫」
 癌で犯された食道内部に切れ目を入れ広げる手術をdilationもしくはstretch out というそうだ。
 女医の希望を持たせるような説明に、私の肩に張りついていた重みがとれるような感じがした。夫も女医の言葉に元気づけられたらしく、痛みが薄らいだような気がするといって喜んだ。私は、もし喉が開いたら何が一番に食べたいのか尋ねた。
「ソーメン」
 即、答えた。
 夏である。ソーメンの喉越しを思うとこたえられないらしい。
「それから、熱いごはんに『ちりめんじゃこ』をふりかけて食いたいなぁ。いつもオマエが美味そうに食ってるから」
 夫の前で私だけが美味しいものを食べる訳にはいかないと気を配り粗食に甘んじていたのに、それでも夫にとってはご馳走に見えたのかと思うと、かわいそうになる。
 早くて三ヶ月から六ヶ月、よくもって一年と医師に癌告知をされた春のことだ。こんな気持ちがふっと沸いてきたのを思い出した。
「神様がもし願いをひとつだけかなえてやるといわれたら、一ヶ月間だけでいい夫の身体を元の健康体に戻してくださいといおう。ファースト・クラスで日本へ飛んで帰り、夫のひとりしかいない兄や優しい叔母、親しい友人たちに『さよなら』をさせたい」
 私は祈るような気持ちだった。しかし、治る目途が立ってくると、健康保険なしの闘病だったからお金もずいぶん使った。飛行機はエコノミーでいい。ファースト・クラスなんて贅沢だ。そんなケチなことを考えている自分に我ながら呆れてしまった。喉もと過ぎれば、欲が先に立つ。
 キモセラピーで抜けた頭髪が二センチ伸びた。うっすらと口ひげが伸びた。腹に付けたGチューブから半透明な粘液がでると気分がいいという。気分がいいと、じっとしている夫ではない。ドライブをしよう、庭掃除だ、やれ友だちの家に行こうなどといった。
 あと、もう少しの辛抱。俄然、希望がわいてきた。
                                            つづく

 

編集後記

新年早々の雑貨屋ニュースの発行となりました。休みが続いてちょっとだらけた生活になっています。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.503

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com