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NO.501            Ryo Onishi               12/18/2005   

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河合さんの さくらの独り言 川柳 & コント 森田さんから ホームページ
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雑貨屋のひとり言

 日本列島が寒波に覆われて、各地で被害がでているようですがみなさんいかがお過ごしですか?トロントに住んでいたとき、外がマイナス10度でも家の中ではTシャツで暮らしていたことをとても懐かしく思い出しています。この寒さで喜んでいるのはスキー場くらいではないでしょうか。
 笑いは「はっはっは」で世界共通です。「はっはっは」と笑うことで息を吐き出し、空気を多く取り入れることができるので体にいいそうです。明日の朝も寒そうだけど出かける前に「はっはっは」と笑い、すっきりさせて会社に行くことにします。(R.O.)

戦 中 ・ 戦 後 史

  日本の敗戦から六十年、節目の年も残り少なくなりました。年のはじめ私は「今年は戦後六十年、人間で言えば還暦です。

日本も“戦後という柵(しがらみ)”から脱却し、新しい国際関係を築く年となるでしょう」と友人たちに年始メールを送りましたが、日本を取り巻く環境はそれほど甘いものではなく、現実は私の希望的予測とは程遠いものになりそうです。

過去の歴史の清算は当事国、関係国にとって単純に割り切れるものではないようで、それに各国の政治的思惑までがからみ、どうも日本にとっての戦後はまだしばらく続きそうです。

私たち日本人にとって先の世界大戦と戦後の一定期間は苦難の時代であり、出来たら忘れたいというのが本音でしょう。しかし考えてみれば、現在のすべては良きも悪しきも過去の延長線上にあるわけで、歴史を忘れて水に流し去ることなど不可能です。

一般に日本人は戦中・戦後の現代史に関して意外なほど疎く、無関心な人が多いような気がします。私のような戦前生まれのシニア族にとっては戦中・戦後は現実の体験談であっても、今の世代を担う人たちにとっては感知しない古い出来事でしょうから当然かも知れません。

でも、日本人はもっと現代史に関心を持ち、そこから教訓を学び取ることも必要ではないでしょうか。

日本の若い人たちが現代史に無知・無関心な原因の一つは私たちシニア世代に責任の一端があるのかも知れません。日本にとって敗戦の屈辱と戦後の苦難は語るに耐えない側面があり、私たちが語りたがらないからです。

しかしその時代の生き証人である私たちシニア世代は後世のために自分の体験を語り残す義務があるように思います。そうすることにより若い世代が現代史に関心を持ち、何かを学び取ってくれるでしょう。

最近はパソコンのブログを活用し、自由に文章を発表できる便利な時代になりました。私の知人で数年前ロサンゼルスからデンヴァーへ移られた秋山晃通氏はご自分の体験を私小説の形式で綴り、「雲は流れて」としてブログ上で発表されています。(http://blog.livedoor.jp/denver/)

秋山氏のような時代の目撃者の文章はこれからの時代をになう日本人若者にとってまさに“生きた教科書”ではないでしょうか。  


                                             河合将介(
skawai@earthlink.net

さくらの独り言 プレッシャー

「プレッシャー」(精神的圧力)は、人間、誰にでもある。その内容、大小の違いこそあれ、
人はみな、見えざる敵・「プレッシャー」と闘いながら生きている。ある精神科医によると「人には大別してプレッシャーを重圧と感じ苦しみ、逃げ道を探そうとするタイプと、プレッシャーがかかるのは当たり前、それを真正面から受け止めエネルギー化できるタイプがある」とのこと。それが顕著に見られるのはスポーツの世界、だと、私は思う。極端に
“腕の差“が違えば別問題だが、技術的レベルが均衡している競技においては、勝利の女神はプレッシャーとの闘いに勝てた選手にのみ微笑む、のではないだろうか。

その代表的アスリートと言えば話題の女子プロゴルファー、宮里 藍。彼女の口癖は「プレッシャーを楽しみ、それを味方にして自分を信じ、もてる力を十二分に発揮、悔いの残らないプレーを心がけている」そうだ。言うは易しだが、それを実行(実現)しているから凄い、と言うほかはない。凄い、と言えば、女子柔道界に久々のニューヒロインが誕生した。YAWARAちゃんが世界に羽ばたいた柔道・福岡国際女子選手権の、48キロ級で初出場した高校1年生・中村里美選手がデビューVの快挙を成し遂げた。試合後の記者の質問「プレッシャーは?」に対し、「いいえ、別に・・・」と、ややハスキーな声でニンマリ。目指すはYAWARAちゃんこと谷亮子との対戦?と思いきや「北京オリンピックで優勝するだけです」とキッパリ。自分の言葉で、挑むべき道をしっかり示す堂々たる16歳である。

さらに、堂々たるアスリート、と言えば、昨日(12月27日のフィギュアスケート・グランプリで)これも初出場で、世界の女王イリーナ・スルツカヤ(ロシア)を破り堂々の優勝を果たした浅田真央(15歳)がいる。前日、殆どの選手が“精神状態の安定を図るため”を理由にテレビ取材を断った中で、浅田真央ひとりがインタビューに応じた。「プレッシャーは?」のレポーターの問いに「ありません」とキッパリ。その笑顔のあどけなさ、可愛らしさとはうらはらに「明日はトリプルアクセル(3回転半を2回)をやります」と公言した。そのテレビを観ていたさくらは一抹の不安を抱く。“世界の恐ろしさを知らない無邪気な少女”、と映ったからである。ところが、どうだ、本番で堂々とやってのけてくれたではないか。冒頭の1回目を決め、あとの3回転半からの連続ジャンプこそ単発の3回転フリップにとどめたが、『くるみ割り人形』の調べに乗って軽やかに舞う真央ちゃんは天女か妖精か・・・体力的に厳しい終盤で見せた(魅せたと言うべきか)難度の高い3回転ルッツからの連続技に、観客は総立ちして惜しみない拍手を送った。

藍ちゃん、里美ちゃん、真央ちゃんの三人は、もちろん天性もあるだろうし厳しい練習の積み重ねもあろう。しかし、あえて共通点を見出せば、競技(競争)の場がかもし出す“重圧”「プレッシャー」を、むしろ“いい刺激”と受け止め、その刺激の中に身を置くことを楽しんでいるのではないだろうか。そういう心境になれるまでには、それ相当の実力が裏づけされなければならないが、彼女たちは、逆に「プレッシャー」を「エネルギー」に換える天分を持ち合わせているのではないだろうか。とは言え、その天分も、家庭教育、学校教育、そして社会環境によって摘み取られたり伸ばされたりするもの。彼女たちは、いずれも天分に拍車をかけてもらえる環境にある、ということだろう。幼児や児童・生徒の尊い生命が奪われるという暗い世相の一方で、“明るい明日への期待“をもたせてくれた年の瀬、雑貨屋「さくらの独り言」原稿執筆のプレッシャーに、毎週日曜日は苦しみもだえ、慌てふためきながら、でもそれを楽しんでいたりもするなぁ、と呟く、さくらの独り言。

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

ゲートイン無印なりにある気負い

善人の欲が一口乗っている

イエスマンだって譲れぬ線がある

あっけらかんと貧乏神を飼い馴らす

過去形の賛辞ばかりに囲まれる

( ニュースやぶにらみ )

「米加産牛肉の輸入再開」
全トウ検査しなくていいの? −マンション、ホテル

「時速6キロ」
アシモまで走り出した −師走

「たばこ増税」
1円と聞いただけでむせた −みずほ証券

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

連載「夫と私 」  
                 夫も私もつらい (11)
 七月中旬、あと数回で放射線療法が終わるというころ、夫は、一滴の水も唾液さえも呑み込めず、いちいち吐き出さなければならない状態である。流動食を入れるための腹につけたGチューブの付根が熱をもち、ただれた。医療知識のない私と夫は、ばい菌が入ったら大変だと思い患部をガーゼで覆い周囲をテープではった。それが悪かったらしい。蒸れたのである。チューブの中が黒ずみ汚れたように見えるので、取り替えなくてもいいのかと医師に尋ねると「ノー」と一言いって診察室から出ていった。入れ替わりに看護婦がきて患部を覆っていたガーゼをはがし局部を消毒しただけ。こんな些細なことも素人では分らず医者へいく。行けば、お金である。しかたがない。なんとかなると私は腹をくくった。
 右足裏全体に水虫ができ、常時冷やさないと痒くてしかたがないのでアイス・パックをくくり付けた。すると、松葉杖が必要になった。四、六時中抗癌剤の入った小型タンクを携帯している。抗癌剤の副作用で湿疹があちこちにできて、しかも痒い。唾液に血が混じる。喉はひりひり痛む。便秘もつらそうだ。
 吐気、倦怠感で夫はノイローゼ気味になり、ストレス解消の矛先を私に向けた。
「胸をさするように叩いてくれ。むかつく、気分がわるい。下腹を『の』の字を書くようにさすってみてくれ」
 つぎからつぎと要求する。さすりながら新聞を見ると、
「オマエは誠意がないやっちゃ」
 と、怒る。私はムッとなってつい手荒になる。するとまた、憎まれ口を叩く。
 真夜中「熱がある。冷やしてくれ」と、起こす。しかも二時間起きだ。いかに私でも寸暇を惜しんで寝なきゃ身体がもたない。
「亭主が便秘で苦しんどるのに、オマエはよう寝るなぁ。起きて、便秘について調べてやろうという気持ちはないのか」
 といって、たたき起こされると、
「いまから私に医学を勉強しろっていうの !  医者にきいてよ」
 と、愚痴のひとつもでる。
「うちは正常な人間が寝て、病人が早起きする家庭かい」
 と、夫は皮肉る。
 食べると吐く。そのたびに、やれ塩気が多いの薄味だの、はては味見をしているのかと叱る。身体にいいと思って使うニンニクは止めてくれという。Gチューブで入れるのに、細かいことまで指図する。腹に入れば同じじゃないかと思うが、どうも違うらしい。私だって気晴らしにEメールのやりとりくらいはしたい。だが、機嫌がわるい。
「病人をほったらかしてゴルフに出かけるのと同じじゃ。オレの傍から離れるな。オマエにオレの気持ちは分らんだろう」
 といわれれば、返す言葉がない。
 小言は、サンフランシスコから見舞いに帰ってきた娘にも向けられた。やり場のない夫の気持ちも分らぬではない。さりとて、どうすべきか方法がない。娘は涙ぐんでいた。
 真夜中にふと目が覚めると、夫がベッドに腰掛けている。肩をおとした姿が痛々しい。
「どうも、オレ、ダメみたいな気がするんだ」
 ぼそっと呟く。
「放射線、辛いんだよなぁ、明日は休もうかな」
 私は言葉がなかった。
                                            つづく

 

編集後記

500号を無事に発行できて喜んでいます。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.zakkayanews.com/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.501

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
tenshu@zakkayanews.com