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No.498          Ryo Onishi               11/27/2005   

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雑貨屋のひとり言

毎日、耐震偽造問題がニュースで取り上げられています。どこに住んでいても大きな地震の発生する日本なのに、いい加減な建物を平気で建てる神経が理解できません。姉歯設計事務所みたいな設計事務所が他にないことを願うばかりです。自分たちの住んでいる建物は大丈夫なのか心配になってきます。(R.O.)

あまり知られていないL.A. 観光スポット(185)

ロサンゼルス市立図書館小東京分館

ダウンタウン・ロサンゼルス内のリトル東京に待望の図書館が完成し、先日(2005年9月8日)オープンしました。この図書館はこれまでは少し離れたアラメダ通りにあったのですが新館の完成に伴いこちらに移転しました。ガラスをふんだんに使い、広く明るい図書館となりました。

 この建物は12,000スクエアー・フィートの広さを誇り、一階建ですが天井まで約40フィートあり、自然光の入る開放的な感じであり、窓の外に広がる日本式庭園の緑が安らぎと憩いをもたらしてくれます。

 幼児から青少年、大人まで、各年齢層が利用できるコーナーが設けられている他、I.T.化に対応し、コンピューターも30台設けられています。

 図書館の説明資料によると、日本語の蔵書数は5万冊以上あり、英語、スペイン語の本もこれまでより大幅に増えているそうです。また日本語の雑誌も85種類揃っているそうです。

先日、私たち夫婦が取材を兼ねて訪れた時も、閲覧机やソファでくつろぎながら雑誌・週刊誌・新聞などを楽しんでいる日本人や日系人はもちろん、日本と日本語に関心を持つ非日系の人たちも多く見かけました。また、貸し出しコーナーでは何冊もの本やビデオを抱えた人たちが手続きをしていました。

ここには各言語によるDVDやVHFテープも4千本以上揃えているそうで、日本語ビデオテープの中には往年の日本映画(「7人の侍」、「東京物語」など)が棚いっぱいに並んでいました。

これだけの規模の図書館は数あるロサンゼルス市立図書館の中でも大きいほうと言えるのではないでしょうか。

図書館入口右側には市民が非営利の会議や集会に利用できる「多目的室」もあり、この建物全体がロサンゼルスと周辺の日本人、日系人の文化センターとしての役割も果たすことになるでしょう。

メンバーシップ・カード(図書カード)はフロント・デスクにある「申込み用紙」に氏名・住所などの必要事項を記入さえすればよく、その日から借り出しが出来ます。このカードはロサンゼルス市内の71の市立図書館共通です。一回の借り出しは10冊までとなっています。

■住 所:203 South Los Angeles St., CA 90012
    (ホテル・ニューオータニの斜め前、旧セント・ビビアナ教会の敷地内)
■電 話:(213)612−0525
■ウエブサイト:http://www.lapl.org/branches/64.html
■開館日:月曜日 ― 土曜日(祝日を除く)
■時 間:12:30pm ― 8:00pm(月、水曜日)
       10:00am ― 5:30pm(火、土曜日)
      12:30pm ― 5:30pm(水、木曜日)
■入場料:無 料
■駐車場:建物に隣接する駐車場は図書館でバリデーションの印を貰えば90分無料

                                             河合将介( skawai@earthlink.net

さくらの独り言 御手洗い

US時代、会社の大先輩に、今は亡き“御手洗さん”という方がおられた。その方は途中で転職なさったので、その後、私とは係わりはないままの別れになってしまったが、今でも忘れられない初対面の場面がある。「さくらつぼみさん、って、珍しい名前ですね」と言われた私は、「あら、オテアライさんだって、珍しい名前ですよね」と言ってしまい、周囲を唖然とさせてしまったのだ。大先輩の名前は、オテアライではなく、ミタライと読むと後で知らされた。最近、この場面を思い出し、ひとり吹き出してしまった。出張の移動中や出張先で、お手洗いは、隠された文化のひとつだとうなずいた。

お手洗い、つまりトイレは案外、その地方、会社やビル、もしくは施設や家庭の、品質やサービス、管理体制や躾などを表すと、私は思う。たまに例外もあるが、ほぼ当たっていると思う。駅や公園の公衆トイレは、その自治体の行政や姿勢と実際のギャップを問うことができる。駅や公衆便所は汚いものだった昔と違い、田舎や都会に関係なく、トイレの完備と管理は発展している。オリンピック開催地長野県などがそれだ。しかしまた逆もある。例えば、グローバル化を掲げた愛知万博の窓口となった名古屋駅やその周辺の有名百貨店のトイレはどれも、清潔や安全はもとより、本当に外国人利用や県外からの旅行客受け入れを考えているのかと疑問に思うほど、和式が多く、いつも汚い。これは、名古屋駅に限ったことではなく、愛知県内の多くの駅や工場や会社も同様なので、驚きだ。ここには、未来と現実の、希望と現場のギャップを感じる。また、地方に関係なく、飲食店の良し悪しも、トイレの清掃と管理具合をみると、だいたい判断がつく。さらに、各家庭においては、たかがトイレでも、その家庭が何を大切にしているのか、躾や習慣(文化)を知ることができる。

ところで、私の元同僚K.Yは、バックパック一つで約3年間、130カ国を旅した。結婚後の今も休暇を使って奥さんと、世界のあちらこちらへ出かけている“旅人夫婦”である。面白いのはその奥さん、旅行中に訪ねたトイレを記録して、比較文化の一つとして多くの人へ紹介しているという。彼らは言う。「どの国へ行っても、『こんにちは』より知っておかねばならない会話、それは『トイレはどこですか』なんだということを、多くの人は分かっていない」と。言葉が通じなくても、買い物でも食事は、指や顔などの身体の動き、つまりボディーランゲッジで表現でき、理解してもらえる。しかし、トイレがどこかを表現することは、なかなか難しいというのだ。また、仮に通じても、トイレそのものやその使い方などに違いがある場合も少なくはなく、寝食よりも難しい場合が多いという。納得。そういえば、渡米したばかりの頃、私は大学や空港のトイレの扉の高さが床まであるものを探し回ったことを思い出す。また、出張で日本へ来た米国人が成田で、床までのトイレの扉は怖いと、米国なみの高さのトイレを探した女性もいた。文化と習慣の違いだな、と、うなずいた。

「どんなに貧しくても、トイレに花一輪ある生活を」と幼い頃から言われて育てられた私は、“お手洗い”には大変うるさい。それは、自宅では勿論、会社でもそうだ。整備や清掃をする側も、使う側に対しても同じ。どんなに立派なことを掲げても、またどんなに素敵なファッションで身を飾っても、トイレやお手洗いの洗面所を気持ちよく整備できたり、または使ったりできなければ、それはまだまだ、未熟、遅れた文化・習慣だと思っていたが、それ以前に、色々なトイレがあること、そしてそれが文化だということを知ることも大切だと思う。世界のトイレに関して情報提供している友人夫妻のことを笑っていたが、いやいやこれは非常に重要なことであり、比較文化として取り上げるべき課題だと認識した。今は亡き大先輩のミタライさんも、天国から笑っているのでは、と思う。「お手洗は面白い文化だぞ」っと、呟くさくらの独り言。

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

伸びる芽を塾の鋳型に嵌め込まれ

温室で風と会話もなく育ち

汗知らぬ少年Aという甘え

上ばかり見て追っている青い鳥

スタートの一人目付きがもう違う

( ニュースやぶにらみ )

「日韓、日露首脳会談」
抵抗勢力があとからあとから −小泉首相

「結党50年」
建前・よくやった、 本音・よくもった −自民党

「両国」
モンゴルとブルガリア −国技館

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp

http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

連載「夫と私 」  
            千七百ドルの夕食( 8 )

  最初にキモセラピーを受けた後、普通に食事ができるようになったと夫は喜んでいたのに、三回目のキモセラピを受けたころから、喉に栓をしたように唾液すら飲み込めなくなった。どうしてだろう。何でこうなるのだろう。ましてやキモセラピーのお蔭で肺の癌も縮んだという結果がでて喜んだ矢先だ。耳鼻咽喉科のL医師に相談をした。
「腹に穴を開けましょう」
 医師は切腹の真似をした。
「えっ、腹を切る? そんな」
 夫は絶句した。いやだ、それだけはしたくないとがんばっていた夫だが、そうせざるをえない状況になった。その日の夜十一時過ぎ。
「腹減って、死にそうだ」
 と夫がいう。
 私はシチューをミキサーにかけ、なおかつ裏ごしにかけた。いざ食べようとすると、開いていた喉がピタッと閉まった。そのうち開くだろう。いつものことだと、私は高をくくっていた。空腹のあまり待ちきれない夫は、医療用のゴム手袋をして喉に指を突っ込んでいたが、こんどばっかりは開かない。
「喉を傷めるから止めましょうよ。明日の朝になれば開くから」
 私がいうと、夫はものすごい剣幕で怒った。
「他人事だと思って、オマエなぁ、オレの身にもなってみろ。死ぬか生きるかの問題なんだ。まったくオマエは冷たいんだから、愛情がない証拠だよ」
 夫は、金魚の水槽に使う五ミリ太さの細いビニール管を探してきた。
「喉に詰まったものが取れるかもしれん。入れるから端を吹いてくれ」
 無茶な。なんとしても止めさせなければ「自殺ほう助罪になるから、イヤよ」というと、
「バカ ! 何が自殺だ。助かろうと思ってやるのに」
「ばい菌が入ったらどうするの?」
「そう気がついたら煮沸せんかい。ほんまにオマエは気が効かんやっちゃ」
「いま食べなくても我慢できるでしょ。明朝一番、G医師に電話すれば」
「バカ ! 死んでしまうじゃないか」
 大げさな、一晩くらい食べなくても死ぬはずはないと思ったが、夫の気持ちを逆なでしそうなので黙っていた。夫は一晩中、バニック状態だった。

 翌日の午後二時、癌化学療法医のG医師のアポイントメントが取れた。
「腹に穴を開けチューブを付けて流動食を入れる『Gastrotomy Open』を今日中にできるように手配しましょう。家で待機していてください」
 だが、待てども連絡がこない。そのうち夕方近くになって手術は明日になるという電話がきた。空腹に耐えきれず夫はついに、リトル・カンパニー・メリー病院の緊急室へ行ってI・V ( 生理食塩水 )を点滴した。ちなみに日本ではリンゲルという。
 請求額は千七百ドル。これが夫の一回の夕食代であった。
 翌日、ビニール管を喉に突っ込もうとした話をG医師にした。
すると「オー、ノー」と驚いたように首をふり、
「食道に穴が開きます」
 といった。
 あの時、夫の苦しそうな様子に、私はただ「大事に至りませんように」と祈るしかなかった。一歩間違えば、自殺ほう助罪かなんかで監獄行きだったかもしれないと思うと、心臓がつぶれそうになった。
                               つづく

 

 

 

編集後記

久しぶりにお墓参りに行きました。六甲の山々は紅葉がとてもきれいでした。
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Zakkaya Weekly No.498

雑貨屋 店主 大西良衛   http://www.zakkayanews.com/
              
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