今年の大リーグ野球(MLB)の決勝戦はアメリカン・リーグのボストン(Red Sox)がナショナル・リーグのセントルイス(Cardinals)を四連勝(無敗)でくだし、王者になりました。
Red Sox はこれに先立つALCS(ア・リーグ優勝決定戦)で相手のヤンキースと戦い、三連敗の泥沼から奇跡の四連勝でア・リーグのチャンピオンになり、さらにここで四連勝したわけですから、合計八連勝したことになります。
いざという肝心な時に勝利する底力には感嘆するばかりです。まさに「ボストンの奇跡」と呼んでも過言ではないと思います。
さらに、ボストン(Red Sox)にはこれまで「バンビーノの呪い」(または「ベーブ・ルースの呪い」ともいう)といわれる伝説があり、名門・強豪チームでありながら過去85年間どうしてもワールド・シリースで勝つことが出来なかったのが、ここでようやく“呪い”から解き放たれたことになります。(「バンビーノの呪い」については下記【注】を参照下さい)
私は普段あまり大リーグ野球のテレビ中継は観ませんが、今回ばかりはほとんどテレビに釘付けでした。外出していても出来るだけ早く用件を切り上げ自宅へ急いだものでした。
松井(秀喜)選手や田口選手といった日本人選手に興味があったことも確かでしたが、やはり大リーグ野球のダイナミックでスピード感あふれる迫力は、たとえ選手の名前がわからなくともテレビ画面に惹きこまれるものがありました。
私は大リーグに関しては特にどこかのチームの熱烈なファンというわけではありませんが、今年のリーグ・優勝決定戦、及びリーグ勝者によるワールド・シリーズに関していえば、日本人選手がいるのでア・リーグは松井選手のヤンキース、ナ・リーグは田口選手のカージナルス(また、セントルイスは私の第二の故郷である長野県諏訪市と姉妹都市でもあります)を心の中で応援していました。その点ではどちらのチームも最終的には敗退し残念でした。
大リーグ野球では試合開始前に国歌が流れ選手・観客全員が起立し斉唱します。また最近は試合途中7回の表が終了し、裏のホームチーム攻撃前に “God Bless America”という歌も全員で斉唱しています。
ボストン対セントルイスの第四戦ではイラクの米軍基地からの声援風景も中継されていました。
国歌、及び“God Bless America”の斉唱、イラク基地からの中継など、米国では国に対する忠誠心、愛国心はいたるるところでしっかりと植えつけられているのが良くわかります。
最近、日本でもプロ野球が国民的な関心の的になっているようです。野球も立派な日本の文化の一部でしょうから、問題があれば国民的な議論は大いに良いことだと思います。
日本のプロ野球選手がアメリカ大リーグ選手めざして米国へやってくるのは大歓迎ですが、でも敢えて言わせてもらえば、日本のプロ野球をもっと魅力あるものにし、日本人選手だけでなく外国選手までもが日本をめざすようにすべきではないでしょうか。
そして、いつの日か日本の優勝チーム(アジアの優勝チームでもよい)がアメリカの大リーグ優勝チームと対決し、そして世界一を決める。――― これが本当の“ワールド・シリーズ”であり、“ワールド・チャンピオン”といえるのではないでしょうか。
先日、日本からのプロ野球テレビ番組を見ていたら、優勝チームの主力である日本人選手が「あなたは来年アメリカ大リーグへ行くのですか?」との質問に「いや、私ごときの実力では、大リーグは無理でしょう」と答えていました。
確かに大リーグと日本プロ野球では実力の差は歴然でしょうが、でも、日本のプロ野球はアメリカ大リーグの二軍養成所ではありません。
「西武ライオンズ」も日本一になって満足するのではなく、世界一を目指して頑張って欲しいものです。そうすれば日本の野球はもっと面白く、魅力あふれたものになると思います。
【注】「バンビーノの呪い」とは:(Oct.29,’04 Asahi.com 記事より引用)
レッドソックスが1918(大正7)年を最後にワールドシリーズに勝てないのは、1920年に ベーブ・ルースをヤンキースに金銭トレードしたからだという「伝説」があり、これが「バ ンビーノ(ルースの愛称)の呪い」と言われた。ルースはそれまで6年間で3度のワールド シリーズ制覇に貢献したが、当時のレッドソックスのオーナーがショービジネスの資金を工 面するため、ライバル球団のヤンキースに「売却」した。ルースはその後、ヤンキース在籍 15年間でリーグ優勝7度、ワールドシリーズ制覇4度の立役者となった。 |
河合将介(
skawai@earthlink.net )
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