No.443          Ryo Onishi               11/7/2004   

 

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雑貨屋のひとり言

土曜日の朝、車に乗ろうとしてキーレスエントリーのボタンを押すとまったく反応がありません。これって何年か前、ロスでもあったなあと思い出しました。(雑貨屋でも紹介した覚えがあります。)そうです「バッテリーあがり」です。さてどうしようかと思案しました。しかたなくバッテリーをはずし、ガソリンスタンドまでもって行こうと考えました。これまでこんなことをしたことはなかったのでバッテリーが大変重いことを初めて知りました。台車に乗せて歩道をテクテク歩いてガソリンスタンドを探しました。意外なことにガソリンスタンドは近くになく、ずいぶん歩いてようやく見つけて充電を依頼したら、「お客さん、このバッテリー、もうだめですよ!」と言われがっくり。家に帰り、インターネットでプライスや性能などを調べてから、今度はバッテリーを買いに行きました。(もちろん徒歩で)結局、”HOMES”でバッテリーを買い、運搬用の軽トラを無料で借り、無料で下取りまでしていただいて、一件落着となりました。小さな問題でしたが、いろいろ面白いことがわかりました。お陰さまで、ずいぶん歩き、いい運動になりました。(R.O.)

ボ ス ト ン の 奇 跡 

今年の大リーグ野球(MLB)の決勝戦はアメリカン・リーグのボストン(Red Sox)がナショナル・リーグのセントルイス(Cardinals)を四連勝(無敗)でくだし、王者になりました。

Red Sox はこれに先立つALCS(ア・リーグ優勝決定戦)で相手のヤンキースと戦い、三連敗の泥沼から奇跡の四連勝でア・リーグのチャンピオンになり、さらにここで四連勝したわけですから、合計八連勝したことになります。

いざという肝心な時に勝利する底力には感嘆するばかりです。まさに「ボストンの奇跡」と呼んでも過言ではないと思います。

さらに、ボストン(Red Sox)にはこれまで「バンビーノの呪い」(または「ベーブ・ルースの呪い」ともいう)といわれる伝説があり、名門・強豪チームでありながら過去85年間どうしてもワールド・シリースで勝つことが出来なかったのが、ここでようやく“呪い”から解き放たれたことになります。(「バンビーノの呪い」については下記【注】を参照下さい)

私は普段あまり大リーグ野球のテレビ中継は観ませんが、今回ばかりはほとんどテレビに釘付けでした。外出していても出来るだけ早く用件を切り上げ自宅へ急いだものでした。

松井(秀喜)選手や田口選手といった日本人選手に興味があったことも確かでしたが、やはり大リーグ野球のダイナミックでスピード感あふれる迫力は、たとえ選手の名前がわからなくともテレビ画面に惹きこまれるものがありました。

私は大リーグに関しては特にどこかのチームの熱烈なファンというわけではありませんが、今年のリーグ・優勝決定戦、及びリーグ勝者によるワールド・シリーズに関していえば、日本人選手がいるのでア・リーグは松井選手のヤンキース、ナ・リーグは田口選手のカージナルス(また、セントルイスは私の第二の故郷である長野県諏訪市と姉妹都市でもあります)を心の中で応援していました。その点ではどちらのチームも最終的には敗退し残念でした。

大リーグ野球では試合開始前に国歌が流れ選手・観客全員が起立し斉唱します。また最近は試合途中7回の表が終了し、裏のホームチーム攻撃前に “God Bless America”という歌も全員で斉唱しています。

ボストン対セントルイスの第四戦ではイラクの米軍基地からの声援風景も中継されていました。

国歌、及び“God Bless America”の斉唱、イラク基地からの中継など、米国では国に対する忠誠心、愛国心はいたるるところでしっかりと植えつけられているのが良くわかります。

最近、日本でもプロ野球が国民的な関心の的になっているようです。野球も立派な日本の文化の一部でしょうから、問題があれば国民的な議論は大いに良いことだと思います。

日本のプロ野球選手がアメリカ大リーグ選手めざして米国へやってくるのは大歓迎ですが、でも敢えて言わせてもらえば、日本のプロ野球をもっと魅力あるものにし、日本人選手だけでなく外国選手までもが日本をめざすようにすべきではないでしょうか。

そして、いつの日か日本の優勝チーム(アジアの優勝チームでもよい)がアメリカの大リーグ優勝チームと対決し、そして世界一を決める。――― これが本当の“ワールド・シリーズ”であり、“ワールド・チャンピオン”といえるのではないでしょうか。

先日、日本からのプロ野球テレビ番組を見ていたら、優勝チームの主力である日本人選手が「あなたは来年アメリカ大リーグへ行くのですか?」との質問に「いや、私ごときの実力では、大リーグは無理でしょう」と答えていました。

確かに大リーグと日本プロ野球では実力の差は歴然でしょうが、でも、日本のプロ野球はアメリカ大リーグの二軍養成所ではありません。

「西武ライオンズ」も日本一になって満足するのではなく、世界一を目指して頑張って欲しいものです。そうすれば日本の野球はもっと面白く、魅力あふれたものになると思います。
【注】「バンビーノの呪い」とは:(Oct.29,’04 Asahi.com 記事より引用)
 レッドソックスが1918(大正7)年を最後にワールドシリーズに勝てないのは、1920年に ベーブ・ルースをヤンキースに金銭トレードしたからだという「伝説」があり、これが「バ ンビーノ(ルースの愛称)の呪い」と言われた。ルースはそれまで6年間で3度のワールド シリーズ制覇に貢献したが、当時のレッドソックスのオーナーがショービジネスの資金を工 面するため、ライバル球団のヤンキースに「売却」した。ルースはその後、ヤンキース在籍 15年間でリーグ優勝7度、ワールドシリーズ制覇4度の立役者となった。 

                                                               河合将介( skawai@earthlink.net )

さくらの独り言まるもうけ

心理ゲームのひとつ、『コップ半分に注がれた水を見て、どう反応するか』は有名だ。その反応の大半は、『あと半分も水がある』か『あと半分しか水がない』である。この単純でしかも身近な題材を使った問いかけは、人間の無意識の領域におけるポジティブかネガティブなシンキング構造とその結果をたらす行動心理について学ぶものである。普段どんなに立派なことを言ってみても、その場になってみなければ分らないのが人間だ。シミュレーションにおける行動基盤や判断基準の訓練は、遭遇した場合のケースモデルにはなるだろう。しかし、逆境を越えることのできる知恵・力の鍵は、実は日常の、私たちの生活の中に、しかも最も身近な自己の、その根底にある無意識の領域に左右されることを知らされる。逆境への知恵・力について、新潟県中越地震被害者の映像に学ぶことが多い今日この頃、中でも、全てを失った主婦の「生きているだけで、まるもうけ」の言葉に、内心忸怩たる思いをしたのは、私だけだろうか。

新潟県中越地震から2週間が過ぎた今も、地震・余震による被害は相継ぎ、2万人以上の人が避難生活を余儀なくされている。共に生き愛する人、住み慣れた住まい、生活基盤に必要な衣食住を失った上になお、どのような生活に、いつ戻れるかさえ皆目わからない日々が続く。何かを与えられたり得たりする毎日よりも、日を追うごとに「失うもの」が増えるという不安な毎日を迎えている。毎朝出勤前の私が見るテレビ番組は、被害地・被害者密着取材シリーズとして、地震被災者の様々なケースと実態を報せてくれる。そこには、私たちの想像を遥かに超えたところの、逆境を越えんとする闘いへの底力がある。

自分の住み慣れた地域と住民を守るため、自ら家の取り壊しを決意した仏壇屋のご主人は静かに語った。「自分たちの仕事も生活も『人と人とのつながり』あってのこと。少しでも被害を小さくできるなら」と。そして、自分の家の取り壊し実況をテレビで初めて知らされても慌てず、さらに、家の取り壊し予定当日の実行有無さえ知らせなかった行政の対応にも怒りを抑え、テレビに見入るご主人の悲しげな表情が痛ましい。また、着の身着のままで避難した主婦が最低限のものを取りに帰宅したその散乱した家の中でさりげなく、しかし力強く語った言葉「立ち直るのは難しい。でも、生きているだけで、まるもうけ、まるもうけ」が胸をつく。遭遇した逆境を嘆き悲しむ日々が続くであろうこの時に、呪文の様に呟き続けるというその言葉、「生きているだけで、まるもうけ」、失ったものもこれから失うものも、帰る時もところも何一つ、皆目想像がつかなくても、“まるもうけ”と、生きていることを感謝し希望へとつなげている人たち、これこそ中越人の生ある底力だろうか。

「もうけ」という言葉は、「設け」と「儲け」の2つが使われる。語源は同じというが、前者は、前もって準備してある・準備すること、建物・設備や組織を備え置く場合に使い、後者は得や利益がある場合に使う。さらに大辞林によると「丸儲け」は『元手がかからず、収入が全部儲けであること』とある。こんなことを考えると、被災者のある主婦の言葉、「生きているだけで、まるもうけ」の意味が尚一層深まる気がする。私たちの「生(命)」が、前もって準備されたものであることも、その命があれば何かが設けられて生活ができていくことも、そして、命があればその設けはまるごと儲けになることも。どんな境遇でのスタートはいつも、設けられた「命」が儲けと思えるかどうかだろう。心理ゲームのコップの水ではないけれど、「人生まだまだ半分もあるじゃん、まだまだ続く“まるもうけ”」っと、呟くさくらの独り言。
kukimi@ff.iij4u.or.jp

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

頭下げながら練ってる次の策

猿芝居ネタが割れてるとも知らず

捨て駒にされて と金が歩に戻り

盤外の王手の方が身にこたえ

噛みついて孤独を深くさせただけ

( ニュースやぶにらみ )

「ブッシュ大統領再選」
当選祝いが私のところへもきた −小泉首相

「難題」
鷲で片付いたと思ったら今度は鷹が −プロ野球

「灯油18リットル千円台」
今年の冬は寒くなるなあ −懐

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

姑を看とる( 12 )
 義母が集中治療室から一般病室に移れば個室に泊まらなくてはならない。それをしたくない私は、自分を納得させるための理由を探した。早くいえば難癖をつけたのである。
 この春の帰国時だった。広島の実家の母が胃を三分の一切りとる手術をした。たまたま日本にいることだし、母の看病をしたいと夫にいうと、
「オマエ、なにを考えとるねん。オレの母親の介護をするためにきたんとちゃうか」
 筋違いだといわんばかりに怒鳴ったのである。
「お義母さんは老人保健施設に入っているから、洗濯物を取りにいくだけの用事しかないでしょ。私の母は九十一で命にかかわる大きな手術をするの」
 それ以上は声が喉に詰まり、涙があふれそうになった。
「オマエはきょうだいが多いから、ヘタに手をださんほうがええやろ」
 なんという言い草。私には当然のように義母の世話をさせて、一度だって、嫌とか苦情をいったことはないはずよ。なによ。自分の母は大切で、私の母はどうなってもいいってこと。そう、分ったわ。こんな男は金輪際ごめんだわ。離婚、離婚よ。エゴイスト !
 危うく口に出かかった言葉をかろうじて呑みこんだ。怒りと悔しさで涙はひっこんでしまい、私の腹わたは煮えくりかえったのである。
 それっきり、だんまりを決め込んだ私に、とうとう夫は折れた。実家へふたりで行き、二週間ほど病院へ通い母の世話をした。手術後の母をリハビリのために歩かせてくれたのも、母の洗髪も身体の清拭も夫は手伝ってくれた。ついでに荒れ放題になっていた実家の庭を手入れしてくれたのである。
 
 やせ細った腕に点滴の針を刺しこまれ、軽いイビキをかきはじめた義母に、私はいつしか語りかけていた。
「お義母さん、あなたも亭主関白の夫に仕えてきたのでしょ? ね、そうですよね。二十年前、ロサンゼルスの我が家へ遊びにきたとき、チラッと愚痴をこぼしたことがありましたね。『もうお父さんのところへは帰りたくない。ここで暮したい』と。舅さんも、言い出したらテコでも動かない人だったでしょ。夫をみていれば分ります。お義母さんはよくいっていましたね『トシユキはお父さんそっくり』だって、でも夫は、憎まれ口は多いけれど、母の世話をしてくれました。だから、私もお義母さんの世話をさせてもらいます。ええ、いいですとも、夜は私が泊まってあげます。安心してください」
 そして、その真夜中だった。
 やけに外が騒がしかった。翌朝になって、裏の家で不幸があったと知らされた。
 義母が車椅子で庭に出ていると、いつも立ち寄って「長生きしなはれよ」と声をかけてくれていたおばあさんが亡くなったのである。
 近所の人たちが集まり葬儀をするので、私と夫は手伝いに出た。婦人会長が義母の容態を尋ねた。大丈夫のようだと答えると、
「まぁ、運の強い人じゃねぇ。去年の夏はあかんと思うたのに、また、持ちなおしたんかいな。嫁さんもたいへんじゃな」
 という彼女も、一年前に舅さんを看取った。痴呆がすすみ、自分のウンチを団子のよう丸めてどこにでも置く。何かと聞けば「饅頭」という。汚れた手であちこち触って歩く。
「病気だと分っていても、つい手荒になり、やさしい言葉がかけられへんねんな。好きで痴呆になるのやなし。美しく老いることなどキレイ事やわ」
 明日はわが身かもしれへんなと、彼女はしみじみと呟いた。
 義母に痴呆がないだけでも、ありがたい。                                    つづく  
  森田のりえ  noriem@JoiMail.com

編集後記

雑貨屋ホームページのサーバーを変えました。
URLは下記のとおり、シンプルになりました。
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Zakkaya Weekly No.443

雑貨屋 店主 大西良衛   tenshu@zakkayanews.com