No.441          Ryo Onishi               10/24/2004   

 

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雑貨屋のひとり言

天災は忘れたころにやってくるといいますが、今年は台風が次々にやってくるので忘れるどころではありません。そして昨日は、台風23号の大きな爪あとが各地に残っているところに、新潟中越大地震が発生するなど、日本列島は天災に見舞われ続けています。
被害に逢われた方々に心からお見舞い申し上げます。
16階の我が家は震度2でも揺れを大きく感じますので、地震は本当に脅威です。
まじめに地震対策をしなければと再度、考えているところです。 (R.O.)

米大統領選挙、投票日迫る 

 前回のこの欄で『二週間後に迫った米大統領選挙』という駄文を書き、今回の選挙が前回(2000年)に比べ、いかに有権者である米国民の間で関心が高いかを述べました。
ブッシュ(共和党)・ケリー(民主党)両候補による最後(三回目)のテレビ討論会も10月13日終了し、一年近くにわたって時間と膨大な費用を使った“お祭り騒ぎ(選挙戦)”も、11月2日(火)の投票日に向っていよいよ最後の追い込みに入っています。 
先日の10月12日、私たち日本人仲間が集う月例勉強会のひとつ「JACALの会(若尾龍彦氏主宰)」でもメンバーの一人で、米国事情に詳しいI氏(Ph.D.)に今回の米大統領選挙について話をしてもらいました。 

この国の大統領は国際社会に対して大きな影響力を及ぼす立場であり、私たちも無関心ではいられないからです。

I氏からは複雑な選挙の実態、各方面から集めた情報を語ってもらい、たいへん有意義でした。

例えば、大統領選挙と候補者によるテレビ討論会の影響の大きさについての話には、私は今更ながら驚きました。

テレビ討論会は1960年に当時のケネディ / ニクソン両候補によるものが最初と言われており、テレビ映りが良く“格好良かった”ケネディ候補が勝利したという“伝説”が有名です。

最近行なわれた有権者(選挙登録者)へのアンケートによると、今回の正・副大統領候補者によるテレビ討論会を一度は見ると答えた人が49%、誰に投票するか決めていない約2割の有権者のうち約7割の人がテレビ討論会を見て意思決定するつもり、と答えているのだそうです。

そのため、ブッシュ / ケリー両陣営ともに、テレビ討論会のため周到な準備をし、いかにテレビ視聴者に対し候補者を印象付けるか、腐心したようです。

テレビ討論会にあたって、両陣営は32ページにわたる申し合わせ(Agreement)を取り交わしたのだそうです。その中には、

(1) ブッシュ / ケリー両候補の距離を何フィートとするか? ―― 5’11’’(180cm)のブッシュ氏にとって 6’4’’(193cm)のケリー氏との間隔が近すぎると見栄えが悪い。

(2) TVカメラの位置はどのようにし、どのように写すか?

(3) 討論は何回行なうか? ―― ケリー氏はエール大学時代弁論部の主将まで経験した人物で、デ
   ィベートは得意。当初、ケリー氏は3回を希望、ブッシュ氏は2回を主張。

などといった詳細なことまで議論され、申し合わせるのだそうです。

また、テレビ討論会にあたって、両陣営とも候補者の服装、ネクタイの柄、顔の表情、メイキャップから、果ては瞬き(まばたき)の回数まで気をつけて論戦に臨んでいるのだそうで、まさに、テレビの威力恐るべしと言ったところです。

――― テレビ映りも良いけれど、有権者は肝心の討論の内容もしっかり聞いて確認してくれていると信じたいと思います。

ところで、今回の私たちの勉強会に参加したメンバーの一人で、最近米国籍を取得したというMさんから、今回の選挙投票に関し、州の選挙管理委員会から送られてきた資料(投票にあたっての案内、説明、候補者、住民投票提案一覧その他)を見せてもらいました。

かなりのページ数の冊子で、「これ全部を読まなければいけないの?!」と言いたくなるほどのボリュームでした。

カリフォルニア州に立候補登録している正・副大統領候補は何と6組もいることも知りました。

また、投票する対象は正・副大統領だけではなく、住民から提案され、賛否を問う数多くの住民提案(proposition)まで何ページも羅列されており、たいへんなことだと改めて知らされました。

世界が注目するアメリカ合衆国大統領の選挙です。有権者である米国民がどのような選択をするのか大いに注目したいと思います。  
  
                                                                   河合将介( skawai@earthlink.net )

さくらの独り言影法師

「秋の日はつるべ落とし」とはよく言われるもので、東京もあっという間に陽が沈むようになった。隅田川のほとりを散歩する夕暮れ時、まだ微かに甘い香りを残す金木犀の影を拾う隅田の川面は、朱色から藍色に変わるのに時を要さず、そして澄み渡る空が紅(くれない)から紺色に変わる宵の刻を明星が報せてくれる。夕陽の斜光に、たったひとつの影法師がだんだん細長く、そして色濃くなり、次第に闇に同化する。それに比べ暁の影法師は、だんだん太く、そして色薄くなり、次第に日の光に吸い上げられる。朝夕の影法師とかくれんぼをしながら、暮れ行く日、明け来る日を愉しんでみる、ここにさくらの秋ひとつ・・・

夕暮れに、たった一つの影法師と私がかくれんぼをするのも、“いとおかしき”ものだが、私の母と姉の娘(私の最愛なる姪っ子・有紀、母にとっては初孫)が創り出す暁の影法師は、心に響く和みがあり、これまた“いと愛しき”ものである。雨の日を除く毎朝6時、母と姪は一緒に、近くの散歩道へ出かける。その散歩道を、母はウォーキングで2往復、姪はランニングで4往復、74歳の母が静かに歩くその傍を、24歳の姪が風を切りながら清々しく走る。明けやらぬ陽に映し出される二つの影法師が、近づいたり離れたり、重なったり突き抜けたりする。足を前に出すそのスタイル、歩幅やスピードに違いこそあれ、同じ太鼓の音色で響き合い踊っているような暁の影法師、なんと微笑ましく、なんと情愛に満ちた二人の一日の始まりだろうか。

ところで、暁や夕暮れの影法師とのかくれんぼに、もうひとつ、楽しみがある。“明けの明星”・“宵の明星”である。その実体は、暁の東の空に、日没前後の南西の空に、大きく明るい星が輝きながら姿を現す一番星、地球の双子惑星といわれる金星である。この金星は、太陽、月に次いで3番目に明るい4.5等の惑星であったため、愛と美の女神を意味するビーナス(ギリシャ神話アフロディーテ)と名づけられたという。金星が、暮れる陽に昇る陽に創る影法師、影でありながら「明星」だ。特に今年は130年ぶりの「金星の年」だといい、6月8日には、金星が太陽面を通過し、その「金星の太陽面通過」現象は、太陽の面をひとつの影法師が泳いで渡るようだった。次回は8年後の2012年6月6日だが、そのあとは2117年12月11日まで起らないという。今年のこの季節、“明けの明星”の廻り合わせ、昇り来る陽とともに、太陽の影法師を輝かせてくれるのである。

秋の長い日に「ほらっ、一番星!」と、また「ほら、お月さま!」と指を差す。独りで過ごす秋はセンチメンタルになってしまう。そんな時、影法師創りとかくれんぼ、暁にも夕陽にも、こんにちはとさようなら、これも人生の秋だと、季節を愉しんでいる。秋は、人生のかくれんぼ、影法師と遊ぶいい季節。そんな太陽、月、星の光に浮かび出す自分の影法師に、「半月や ビルの谷間に 秋ひとつ」っと・・・呟くさくらの独り言。
kukimi@ff.iij4u.or.jp

川柳 & コント(東京・成近)


( 川 柳 )

校則を引っ掻いている赤い爪

言い訳の嘘に女房のポリグラフ

松茸はともかく旬の秋刀魚焼く

凡人にアルキメデスの湯が溢れ

スケジュール表 死神に用はない

( ニュースやぶにらみ )

「客人」
熊さんかと思ったら本物の熊だった −長屋の隠居

「林業公社 借金一兆円」
少なくていいねえ −道路公団

「一場投手、三球団から現金貰う」
野球選手にしておくにはもったいない −政治家

河合成近
nakawai@adachi.ne.jp
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

姑を看とる( 10 )
 「台風シーズンが過ぎたころ、また日本へ行ってお義母さんの介護をしなきゃいけません。
それを考えると、もう、気が重くって」
 夕散歩のときに出会う日本人老夫婦に愚痴ると、
「そりゃ、ええことよ。『親孝行したいときには親はなし』いうてのぅ、後悔せんように、ようしてあげんさい」
 と、広島弁でいわれた。
「でも大変なのですよ。風呂に入れるとウンコは出るし、夜中にオシッコも出ないのに何度も起こされる。耳が遠いから大きな声を出す。大声を出していると、知らずしらずのうちに気持ちまでトゲトゲしくなってしまいます。一番つらいのは、世間体ばかり気にする母親とアメリカ的合理主義の考えを持っている夫が衝突することです。お義母さんの味方をしようものなら、私に向って怒鳴るんですよ」
「まあ、いつかええことがあるけぇ、辛抱しんさい」
 そういって、慰められた。
 日本に住んでいる友だちの話を聞けば、老親の自宅介護を三年とか、六年したとか、糖尿病の夫の世話をして十年になるという人さえいる。介護をした挙句、自分が身体をこわして病院通い。腰痛に悩まされながら寝たきりの舅にごはんを食べさせていると、顔にペッと食べ物を吐きかけられたなど、介護の苦労話は尽きない。
 それに比べ、私の場合は、夏と冬は気候温和なロサンゼルスに逃げ帰っているのだから、義母の介護をしていますと大きな顔で威張れるわけがない。おまけに、入浴の介助や下の世話など夫が手伝ってくれる。
「お母さんのウンコは臭いなぁ、鼻がひん曲がる」
「すんませんなぁ。でもな、わたしゃあんたのオムツを何回も替えたが臭いと思うたことが一度もあらへんで」
 息子の憎まれ口に負けずやり返す義母は、痴呆もなく、ユーモアがあって面白い。

 八十六になる義母が倒れたのは夏である。
「危篤」の報せで喪服まで用意してすっ飛んで日本へ行ったが、持ちなおした。暮れまで自宅介護をした。夫もいっしょだったせいか、さほど「辛い」とは感じなかった。近くの老人保健施設に義母を預け、私たちはロサンゼルスの自宅に戻ってきた。翌年の春、日本へ行った。そのときは、気が滅入ってしかたがなかった。ユーウツだった。そして、夏のはじめに自宅に戻った。九月下旬、日本へ行く予定にしていた前日であった。
 大阪の義兄から電話がきた。
「おふくろが、あかんねん」
「えっ、死んだ!」
 夫は、残酷なことを平気でいう。
「ちがう、まだや。きのうまで押し車で便所に行っとったのに急に昏睡状態になってしもうてな、覚悟はしといてくれよ」
 すると、夫がこういった。
「ひょっとすると、オレたちが兵庫の家に着くころは通夜かもしれん。続いて葬式だとオレたちが倒れてしまう。大阪空港のホテルで一泊して帰ろう」
 だが、私はも乗りきれそうな予感がしてならなかった。                                    つづく  
  森田のりえ  noriem@JoiMail.com

編集後記

たまに電器店に行き、家電製品を研究すると面白いですね。最近、面白いなあと思ったのは、水蒸気で唐揚げができるオーブンです。レストランではこの調理法でやっていたようで、これを家庭用に製品化したのが特徴です。でも価格はまだちょっと高いのでまだ購入までには時間がかかりそうです。
雑貨屋ニュースレターのバックナンバーは下記のURLでご覧いただけます。

http://www.ne.jp/asahi/zakkaya/weekly/zwback.htm

Zakkaya Weekly No.441

雑貨屋 店主 大西良衛   zakkaya@news.email.ne.jp