Zakkaya Weekly No.415
Ryo Onishi                                      4/25/2004

雑貨屋のひとり言 さくらの独り言 川 柳 & コント バックナンバー
成岡流お酒の楽しみ方  河合さんの・・・ 森田さんの・・・ 健康のお話 雑貨屋ホーム

先週はまるで真夏かと思うような陽気でしたが、今週末は気温が下がって、さわやかな季節に戻りました。気持ちのいい天気なので、ちょっと運動したくなり、ワイフと久しぶりに甲山(かぶとやま)に行きました。同じことを考えている人が多いようで、結構な人が来ていました。適度な運動ができたので心地よい疲れで、今夜はぐっすり眠れそうです。(R.O.) but_up.gif (232 バイト)

ヤ バ イ 話

「オイ!、そいつぁ、チョット“ヤバイ”ぜ」――― あまり上品な言い方ではありませんが私たち、主として男社会の仲間うちで使う(使った)表現です。改めて国語辞典で「ヤバイ」の意味を調べてみました。

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☆岩波書店、広辞苑(第二版):やばい=危険であるの意の隠語。
☆講談社、国語辞典(新版):やばい=《どろぼうの隠語》見つかったり、つかまったりしそうだ。危険だ。
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私にとって「ヤバイ」はどう考えても“否定的発想”です。ところが最近の若者たちの会話では「あの子、カッコイイね。ヤバイヨ」と言ったように、“肯定的”にも使われているようです。

在来の道徳観念で生きる私たちシニアにとって、「ヤバイ」で表現される反社会的行為は“悪いこと”であっても、自由な社会に生きる平成世代の若者にとっては、むしろ「やばい」ことをすることが魅力的であり、彼らの自己主張の一つとなるからなのでしょうか。

 日本語も時代を反映し変化していることがよくわかります。例えば、日本語の「会話」 は英語の“Conversation”の訳語だと どこかで読んだことがあり、これも比較的新しい日本語のようです。それゆえ、「私は 昨日 ○○さんと 会話をしました」 と言うより 「私は 昨日 ○○さんと 話(又は おしゃべり)をしました」 の方がなんとなく自然に聞こえます。

また 日本人のシニアが「愛しています」 となかなか口に出せない一つの理由もこの 「愛」という言葉が今のような意味で使われはじめてまだ歴史が浅いからだと言えそうです。

現に 日本人でも年代が低い若者達はこれらに対する違和感が少なくなっており、今や10代のヤングにとっては、「愛してます」 とか“I love you”なんて 何の抵抗も 違和感も無くなっているのではないでしょうか。それはそれで結構というべきなのでしょう。

言葉にも 年齢があり、変化し成長するのは当然の成り行きです。ただ出来る事なら言葉も素直で明るく健康的に変化して欲しいものです。

「やばい」と同じように、本来の意味から離れたものに「やおら」、「こだわる」という言葉が気になります。 

最近、ある新聞 に載っていた内容を拝借し、私なりに脚色した 実例を以下 ご紹介します。

(1)「やおら」 ・・・現在 、この言葉は 、「急に/ 突然に」 という意味で使うのが一般的ですが もともとは「ゆっくりと」 という意味であって、現に 前記 広辞苑には「そろそろ。静かに。ゆっくり。やわら。」 としか書いてありません。「やおら ベッドから 起き上がった」 というと それは ベットから「突然にガバット」 起き上がったのではなく、「そろそろと ゆっくり」 起きたのです。即ち、ここでは 本来の意味から いつのまにか ほぼ逆の意味になってしまった例です。

(2)「こだわる」 ・・・ 今の我々は、この言葉は2通りの意味に使っています。一つは「どうでもよい事に こだわる」 場合と、「美味しい料理を作る為、材料に こだわる」場合の 二つです。前者は「意味のないことに執着する」 という意味であり、後者は 前者の意味とは 異なり、はるか前向き・積極的に 「細かいことに気を使う」状態を意味します。従って ここでは ほぼ 相反する二つの意味が 共存しており、上記(1)の「やおら」に比べ まだ 進化の途中で、逆の意味になりきっていない状態だといえそうです。

こうしてみると、言葉も 生き物なのだとよくわかります。

言葉の意味が変われば それを使う人間の方も変わり、(本当は人間が変わったので言葉の意味が変わったのでしょうが)同じ言葉を使っても、言っている主旨が違うこともあります。

例えば、「彼は 暇さえあれば 鏡を覗き、自分の容姿(ルックス)に こだわっている」 という文章が あったとします。昔なら 「男の勝負は 中身であり、外観ではない。

容姿みたいな どうでもよいことに こだわるな」 と 理解されました。

ところが現在では、「男も ルックスは 大切だ。おおいにこだわるべきだ」 となるでしょう。

みごとに 「こだわる」 の意味が 逆転しています。言葉とは それを使う人間とその時代を反映する 「鏡」 と言えそうですね。

河合将介(skawai@earthlink.netbut_up.gif (232 バイト)

 

さくらの独り言「かぐや姫」

我家のリビングルームにあるサイドボードの上には、小さな“節句ミニ屏風”がある。和紙でできたそのカラクリ屏風はリバーシブルになっており、一面側を開くとお雛様、ひっくり返してもう一面側を開くとこいのぼりが、折り紙で作りこまれている。この男女の節句が1つになっている小屏風で、一年の半分を楽しむことができる。この小屏風の活躍期間が終わると、屏風は2つ折りに閉じ(二つの節句が重なりあって)、サイドボードの奥にしまわれる頃、季節は七夕を迎える。会えない二人が会えるといいなと願いながら空を見上げる。こんな人間の男女間の淡い憧れに親しみを感じ、幾つになっても季節や文化に織り込まれた人間らしさを大切にしたいと思う今日この頃である。

4月22日の新聞によると、東京農業大学などの研究チーム(農業・生物系特定産業技術研究機構/生物系特定産業技術研究支援センター)は、単為生殖による固体発生に成功したという。雄の精子を使わず、雌の卵子だけでマウスの子ども(雌のみ)を作り、それが正常に発育しているという。この様に卵子が授精することなく細胞分裂を続け成長することは、自然界においては昆虫、爬虫類、鳥類、そして魚類にもみられるが、哺乳類では例がない。この成果は、「インプリント遺伝子の機能解明に貢献するばかりでなく、優良な雌のみによる家畜生産など、従来にはなかった新たな生殖システムが可能となる」ものらしい。人間の手によるこの様な哺乳類の「雄は不要」という生殖システムが、品質改良に貢献できることに対する弊害はないのだろうかと、素人の私なんぞには、そんな疑問が沸いたりもする。ちなみに誕生したこのマウスは、「竹取物語」にちなんで「かぐや」と名づけられたという。この名前が私には皮肉にさえ感じるように、昔親しんだ竹取物語を回顧する。かぐや姫が月に帰る直前に天の羽衣を羽織った途端、あれほど慕っていた養父への心・愛情がまたたくまに消え去り別人の如くなり、生まれ出た竹のごとく、心が空っぽなかぐや姫になったのだった。化生「かぐや姫」の再生の瞬間だ。

日本人なら誰でも知っている通称「竹取物語」のかぐや姫だろうが、ここでちょっと紐解き、かぐや姫の名前の由来をみてみた。「この子の名を、三室のあきたをよびてつけさす。あきた、なよたけのかぐや姫とつけつ」、この「なよたけ」は、竹のようにしなやかに、「かぐや」の「かぐ」は、赫々(カクカク)たるから派生した語彙で、見事な、素晴らしい、輝かしいという意味を含み、「や」は様(さま)を示し全体をしめくくる役割で「〜とした様子の娘」というところだ。また、「かぐや姫」に纏わる幾つかの「竹取物語」の中には、うぐいすの卵から生まれたかぐや姫を竹取の翁が見つけたというもの(中世以降)があり、月の精ならぬ鳥(卵)の精なる「かぐや姫」も存在した。ここまで遡ると、前述の雌マウスが「かぐや」と命名されたことを、やはり、皮肉とは言えないだろうか。

物心ついた頃から、「女の子のくせに」や「もっと女の子らしく」と叱咤激励されながら育ち、そして今の私がある。別に男(性)に異常な反発を抱いた訳ではなく、自分の置かれた環境が何故かいつもそうだっただけだ。古風で男尊女卑の田舎の大家族で生まれ育った私は無意識に、人間らしさ、日本人らしさ、女(性)らしさ、季節らしさなどという「らしさ」にこだわりながら生きてきた。だから女性として「かぐや姫」に憧れさえしたほどだった。同じ名をもつものでも、しかし今や貴人に求婚される必要もない「かぐや」(マウス)姫は、女性らしさには無縁の生物になっていくのかもしれない。「かぐや」(マウス)姫は満月の夜、天衣を着て昇天でもすればいいのに・・・とたわけたことを呟く、さくらの独り言。

kukimi@ff.iij4u.or.jpbut_up.gif (232 バイト)

 

川 柳 & コント(東京・成近)

( 川 柳 )

そろばん一級 デジタルに負けぬ自負

油断したネットに顔のない刺客

核 エイズ サーズ びっくり箱が開く

クローンにいつかは神の罰ゲーム

ナノテクの穴から覗く近未来


( ニュースやぶにらみ )

「ダイムラーが支援打ち切り」
エンストを起こした −三菱自動車  

「三大臣の未納発覚」
これで未納者が4人減った −国民年金


「飛行機嫌い」
列車も恐くなった −北の将軍様

(東京・成近) E-mail nakawai@adachi.ne.jpbut_up.gif (232 バイト)
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

森田さんから

ヘソクリ
「あっ! 」
と、叫んだまま、私は絶句した。
 娘が六歳のときだった。シャトル支店にいた夫が一ヶ月ぶりにロサンゼルスの自宅に戻ってきた。夕食後、テレビを見ていると、私のジャケットを着た娘がふらっと部屋から出てきた。実は、ヘソクリをはじめた私は隠し場所に困り、急遽、娘の部屋のクローゼットに私の古びた服を二.三着かけ、その中でも一番くすんだ色のジャケットのポケットに現金を隠していたのである。
「マミー、お金――」と、言いかけた娘を部屋へ引っ張って行きながら、夫の顔をそっとうかがった。

 話は三ヶ月前にさかのぼる。
 外出から戻ると、シャトルから戻った夫が電話にかじりついていた。女房が帰ったのも気づかないほど話に夢中だ。私はそっと聞き耳を立てた。なれなれしい言葉づかい。単身生活をいいことに浮気をしている。確証はない。が、女の第六感が働いた。手術は早いうちに限る。手遅れにならないうちにと、私は、夫が帰った後をすぐ追いかけてシャトルへ飛んだ。 
 細面のほっそりした二十八、九の女だった。夫の好みのタイプである。
「主人があなたに迷惑さけたみたいで」
 そういって、私は切り出した。
「いえ、――」
 女はうつむいて言う。性悪ではなさそうだ。
「私たちは喧嘩もしていなし、離婚の『離』の字も話題にのぼっていませんのよ。たぶん主人は『女房とは性格が合わない、いずれ離婚するからそれまで待ってくれ』とかなんとか、中年男が若い女性を口説く常套句をつかったでしょう? ――真面目な家庭に育ったお嬢さんを結婚する気もないのに口説いて、ごめんなさいね」
 したたかな私は、相手のようすを探りながら、考えていたセリフを一気にしゃべった。
「そんな――、そうでしたの――」
 女はがっくりと肩をおとした。
 彼女は日本から留学目的でアメリカへ来ていた。アメリカで暮らしたいと思うようになったが、永住権がない。四年間付き合っているボーイフレンドが、いつまでたってもプロポーズをしてくれない。ひょんなことで夫と知り合い、なんだかんだと相談しているうちに関係ができてしまった。ここまでは世間によくある話だ。
 問題はその後である。彼女のボーイフレンドが意外な態度に出た。
「妻子ある男と付き合ってもしょうがないだろう。ワタシと結婚しよう」
 メデタシ、メデタシであった。一方、夫に裏切られ腹の虫がおさまらない私は、腹いせにヘソクリを思いついた。しかし、銀行へ預金すると毎月ステートメントがくる。僅かの利子でも税務署に報告の義務がある。友人はP・O・BOXを使用するテを教えてくれたが、夫にばれない保証はない。知れれば家庭争議のもとだ。
 現金を隠すしかない。さて、冷蔵庫、引出し、本の間、シーツやベッドの下、壷に入れて庭に埋める古典的な方法も思いついたが、考えれば考えるほど安全な場所はない。そこで気がついたのが、娘の部屋のクロゼットだったわけである。
 溜まったら、欲しかったダイヤのピアスを買おう。それまでは、とりあえず札を数えて独りニンマリすることにしたのである。
 あれから二十数年が過ぎた。いまだに私の耳にダイヤが光ったことは、一度もない。

森田のりえ(moritacn@earthlink.net)

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もうすぐゴールデンウィークですね。皆さんは何か計画されているのでしょうか?
私たちは特にどこかへ行く予定はないのですが、できるだけ毎日なにか運動しようかなと思っています。思っているだけですが・・・
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Zakkaya Weekly No.415

雑貨屋 店主 大西良衛  but_up.gif (232 バイト) zakkaya@news.email.ne.jp