Zakkaya Weekly No.406
Ryo Onishi                                      2/22/2004

雑貨屋のひとり言 さくらの独り言 川 柳 & コント バックナンバー
成岡流お酒の楽しみ方  河合さんの・・・ 森田さんの・・・ 健康のお話 雑貨屋ホーム

ハードディスクや記憶デバイスがどんどん大きくなっていきますね。
私もDVDドライブをインストールしました。これで大きくなったデータのバックアップも簡単にできます。でもこのDVDはDVD+−R、DVD+−RW、RAMといった規格があり、ややこしいです。(R.O.)
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車 の ド ア

先日、私が一人で隣り町にあるショッピング・モールの書店へ本を買いに行った時のことです。そこで偶然、友人夫妻(日本人夫妻)に出会いました。

実はその時、友人(ご主人)は彼のビジネス取引先から緊急の連絡があって、急遽その取引先へ向わなければならない事態だったのです。

私を見つけた友人は私に言いました。「やあ、河合さん。ちょうど良いところで出会いました。実は、僕は急用が出来、これからビジネス取引先へ向かわなければならないのです。申し訳ないが、私の妻をあなたの車で我が家まで送っていってもらえないでしょうか?」

「それはご苦労様です。これからビジネスとはたいへんですね。もちろん O.K.ですよ。お安いご用です!」という訳で、私が彼の奥方を私の車で自宅まで送ることになりました。

大急ぎで去って行く友人を見送り、私と彼の奥方の二人は駐車場の私の車へ向いました。車の右前へ廻り込み、友人の奥方のために私は助手席のドアをサッと開けました。

米国では、一般に男性は女性を車に乗せる時は、先ず彼女のために助手席(または後部座席)のドアを開け、女性を乗せてからそのドアを閉め、そして自分(男性)が運転席に乗り込む、というのが一応のマナーとなっています。
ですから、ニッポン男児とは言え、私も米国では「郷に入っては郷に従う」ことにしています。

「まあ、河合さんにこんなことまでしていただいて! 私、車に乗る時に、男性にドアを開けていただいたことなんて初めてですわ! カンゲキです!!」

――― よし!、これでオレもまた、点数を稼ぎ、女性からの評価を高めたゾ。 ――― 内心ニンマリの私でした。

車を発信させてからも助手席の彼女は感激した面持ちで、さらに言葉を続け「河合さんって、本当に女性に優しいんですね。素敵だわ、ホントニ!」

私の内心ニンマリが、内心ニコニコに変化するのを感じていました。誰だって女性に誉められてうれしくない男はいないでしょう。 ――― そうさ、オレはフェミニストさ。女性には優しいんだ。決まっているじゃあないか。 ――― ちょっと誉められ、すぐ有頂天になる私でした。

しかし、いつまでも有頂天にさせてもらえないのが世の常です。次に助手席の彼女が私に言いました。

「もちろん、河合さんは、ご自分の奥様とドライブする時も同じように奥様のために助手席のドアを開けて差し上げているのでしょうね」

この一言で、私の有頂天も、ニコニコも、ニンマリも一瞬にして吹き飛びました。

「もちろんその通り!」と答えれば嘘をついたことになるし、かと言って今更「私はニッポン男児だ。そんなことするわけないでしょ!」と本音を吐けば、折角のムードがぶち壊し。

さあ、なんて答えよう。答えに窮し、困惑の極みに陥った私の苦し紛れの答えは次の通りでした。

「私の妻は、私と一心同体、だからそんなコトをする必要はないんです。そう言う質問だけはしないで欲しいネ。カンベンして下さいよ!」

************************************
 
その夜、早速、昼間の出来事を日本のE-メール仲間に発信したところ、いくつかのコメントが届きました。

非難覚悟(特に女性からの)のメール発信だったのですが、受信したコメントの多くは私に同情的であったのが以外でした。

中には「女性から、顰蹙を買うかも知れませんが」との注付きながら「・・その奥方は日本人の男性のことをよく解っていないという非難をしたいと思います・・」とまで言い切る人もいました。

また、ある人からは「私だって、よその奥さんならドアを開けますね、日本でも。でもうちの奥さんは、そんなことしてないで早く車を出してよ!、となります。そんな形だけの親切は不要と一刀両断です」とありました。

また、はじめから私の困惑を承知の上で「奥様のために助手席のドアを開けて差し上げているのでしょうね」と語りかけた友人の奥方のユーモア精神を称えるコメントもありました。

確かに私の困惑振りは相当で、「オイオイ、ジョーダン・キツイヨ!」というのが本音だったのです。
 
ある女性からは「私は、車のドアを夫が開けてくれたら、まず最初に夫の気が違ったのではないか?と心配する方です」と、いかにも日本女性らしいコメントもあり、これにはこちらが恐れ入りました。女性(奥さん)からこのように思われているようでは、日本男児(夫)も台無しです。

 また、コメントの中には「米国人だって、奥さんのためにドアを開けるのは、パーティなどみんなが見ている晴れがましい場所だけではないでしょうか」という意見もありましたが、さあどうでしょう。

いずれにしても、私を含め、日本人の男性は自分の奥さんのために車のドアを開けただけで、奥さんから『気が違ったのではないか?』と心配されるようでは、やはり最低といわざるを得ないかも知れませんね。私は反省いたします。(尤も、反省することと、行ないを改めることは別ですけれど!?!)
 
なお、この友人の奥方は私が「・・そう言う質問だけはしないで欲しいネ。カンベンしてよ!」と答えた時、「余計な質問をして本当にごめんなさい」とたいへん恐縮していたことを、一応付け加えさせていただきます。 

【追伸】:私は自分の書いた原稿はすべて妻に見せています(検閲?)。今回の原稿(車のドア)を読んだ妻曰く、「だいたい女性が男性に車のドアを開けてもらっていながら“男女同権”を叫
ぶアメリカ女性はオカシイヨネ!」 ――― 私の妻も“日本女性”でした。アア助かった!?!   
河合将介(skawai@earthlink.netbut_up.gif (232 バイト)

 

身を美しく飾ると書いて「躾」と読ませるところに、日本語の深さを感じる。一方、目をふさぎたくなる様な出来事に、現代の「躾」を問う自分が居る。歩きながらの喫煙や携帯電話使用、順番無視の行動、やりっ放し無責任行動などなどである。この様な空間的共有に関する感覚の麻痺、社会生活基本原則のズレ、言動不一致の法則、羞恥心の欠如、適所適応不能などの原因は、いずれも教育の混乱が作り出したもの、家庭、学校、企業、そして地域社会、全て我々の責任だと思う。「人のなりみてわが身を正せ」と自分に言い聞かせつつも、思わず口に出そうになる言葉「親の顔が見たいものだ!」を、ぐいっと飲み込む。

「躾」の原点は、授乳と断乳にあると信じている。授乳によって健全な信頼関係が育まれ、自己欲求を拒否される初体験の断乳によって、揺るがぬ愛情があっても認められない規範と自律を感覚的に知る。この様に、心理と肉体の両面における基礎部分の「躾」を、まずは最も身近な人である母親によって成されるのだ。それが後に家族のメンバー、幼稚園・小学校の先生やご近所の人たちの登場・協力によって「躾」から教育へと発展し、さらに年齢と共に社会への参入比重が増えると、自分自身で律して構築するようになる。「躾」の完成には案外長い道のりを経るが、だからこそ最初が肝心なのだ。「躾」には礼儀作法を意味する以外に、躾糸や作物を植えるという意味もある。言うまでもなく「躾」糸とは、本縫いを正確に美しくするため、または出来上がった衣服の形が崩れないように縫い合わせておくことで、この「躾」糸が美しいと仕立ても良く見える。

このように「躾」やルールの話に及ぶと、決まって思い出す書がある。アメリカのエッセイスト、ロバート・フルガムの書「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」(池央耿訳/河出書房新社)だ。『何でもみんなで分け合うこと。ズルをしないこと。人をぶたないこと。使ったものはもとのところに戻すこと。ちらかしたら自分で片付けをすること。人のものに手をださないこと。誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと。食事の前には手を洗うこと。トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。焼きたてのクッキーと冷たいミルクは身体にいい。釣り合いのとれた生活をすること、毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして、少し働くこと、毎日必ず昼寝をすること。表に出る時は車に気を付け、手をつないで離れ離れにならないようにすること。不思議だなと思う気持ちを大切にすること。発砲スチロールのカップに蒔いた小さな種のことを忘れないように。種から芽が出て、根が伸びて、草花が育つ。どうしてそんなことが起きるのか、本当のところは誰も知らない。でも、人間だって同じだ。金魚も、ハムスターも、二十日鼠も、発砲スチロールのカップに蒔いた小さな種さえもいつかは死ぬ。人間も死から逃れることはできない。リックとジェーンを主人公にした子供の本で最初に覚えた言葉を思い出そう。何よりも大切な意味をもつ言葉「見てごらん」。』(原文のまま)。

ところで、「見ざる、聞かざる、言わざる」と、三匹の猿がそれぞれ目、口、そして耳を覆い、寄り合っている日本古来の三猿は有名だが、「変わり三猿」はあまり知られていない。彼らは目・耳・口を手で覆わず、メガホン風に形どった両手を当てている。「よく見る・よく聞く・大声で言う」の意味である。最近注意してくれる人が少ない社会・家庭生活で育ったこどもたち・おとなたちの、周囲に迷惑をかける見苦しい光景も少なくない。公共の場におけるマナーの乱れは、母親の三猿現象が生み出したものかもしれない。私は姉の娘や息子がとても可愛いい。だからこそ彼らの躾に関しては「変わり三猿」となってきた。先日(2月9日)、私の最愛の姪である「有紀」が、24回目の誕生日を迎えた。家庭の事情で大学進学を諦めたこの姪は、いつも自分の誕生日には必ず、この世に生命を授かった感謝の便りを私に送ってくれる。高学歴があっても「躾」を問われる若者が多い中、こうした姪を私は誇りに思う。その姪っ子が堂々と言った「ネエネエ、私ね、ついこの前までね、聞かざるってね、着飾ると思っていたんだぁ」と。着飾ってもいいから、「躾」に対しては「聞かざる」にはならないようにと、そっと願いを呟く、さくらの独り言。
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川 柳 & コント(東京・成近)

( 川 柳 )

人参に全速力の駄馬である

意に添わぬ靴を社命が履いている

女房との違う尺度で揉めている

また喧嘩してる夫婦の新喜劇

仕舞湯に今日のコントが浮いている

( ニュースやぶにらみ )

「13年ぶりの伸び」
へんなウイルスに間違えられた −GDP

「てのひらで確認するATM」
金運まで見られそう −利用者

「郵便、今年は100億円超の黒字」
赤いのはポストだけです −郵政公社

(東京・成近) E-mail nakawai@adachi.ne.jpbut_up.gif (232 バイト)
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

目標に向けて

「どうしまょう。来月からお給料が入らなくなったの」
 孝子さんの悲痛な声で、ご主人の訃報が届いたのは一昨年の秋であった。五年間の
ロサンゼルス駐在を終え、日本へ帰国した一年半後のことである。
 健康診断の結果、血圧、血糖値、脈拍などすべて正常。ご主人は、七十までは大丈
夫と医者に太鼓判を押された。だから、安心して家を新築した。大手企業に就職して
いた長男はもうすぐ結婚、帰国子女の長女も就職、末娘は大学三年、ご主人は本社に
戻り、長年の夢であった役員の道も手が届きそうなところまできていた。その矢先の
出来事であった。
「午前十一時、会議が終わって部長室でタバコを吸っておられる姿を見ました。それ
から、昼食の伺いに行くと、椅子からずり落ちたように床に倒れ、轟音のようなイビ
キをかいておられました。『部長! 部長!』と、身体をゆすったのですが反応があり
ません。こりゃ大変だと、すぐ救急車を呼び病院へ担ぎ込んだのです」
 秘書からの連絡で、孝子さんはすっとんで病院へ行ったが間に合わなかった。
 盛大な葬儀だった。が、不思議に涙はでなかった。四十九日の法要がおわり、香典
返しもすみ一段落した。遺品の整理をしていると手帳が出てきた。見ると、日付のと
ころにNと書いて○で囲ってある。それが三日とあけずにあった。
 女か、孝子さんは一瞬、ドキッとした。
 そうか、会社の若い人たちを誘って飲み会をしていた。その頭文字だと気がつい
た。
 おいしいもの食べて、呑んで「偉くなったからできるんだぞ」と威張っていた。若
いころから仕事優先の会社人間だった。それでも駐在員時代は家族旅行したりと楽し
い思い出がいっぱいある。これからが人生の実りの時だっていうのに、あなたの人
生って、いったい何だったの……。と、思ったとたん、孝子さんは鼻の奥がツーンと
痛くなり、涙が溢れ号泣してしまった。思いきり泣いた。すると、不思議に生きてい
く勇気がわいてきた。
 そうだ! ステンドグラスを作ろう。
 駐在時代に手すさびで習った。あれがいい。色ガラスを型どおりに切って鉛線にハ
ンダを当てながら継あわす。火傷や切り傷だらけの手になるけれど、デザインや配色
を考えるのはたのしい。主人はいい顔をしなかった。
 孝子さんはご主人の位牌に語りかけた。
「わたし、あなたが嫌がっていたステンドグラスをはじめますよ。自分の趣味を活か
し、お小遣いくらい稼げるようにがんばります。人生をたのしみながら生きていきま
す。テラスを工房に改造して、ね、いいでしょ、やりますよ。見守ってくださいね」
 生きる目標をみつけた孝子さんは、まっしぐらだった。

 その孝子さんが今秋に計画している第二回「ステンドグラス」の個展を開くため、
材料の買い付けにくるという。
 伴侶を失った悲しさはだれに埋めてもらえるという性質のものではない。自らの手
で乗り越え、生きるしか道はないのである。
「行ってくるぞ」
 と、出ていった後姿がストップ・モーションのように停止して、瞼に焼き付いてい
る。
「ただいま!」
 と、突然帰ってくるような気がしてならないの。
 孝子さんの言葉が私の脳裏にこびりついている。 森田のりえ(moritacn@earthlink.net)

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先週末からまるで春が来たような陽気です。
でもまだ2月ですからまだまだ寒い日があると思います。でももう春は近いなあと感じます。
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Zakkaya Weekly No.406

雑貨屋 店主 大西良衛  but_up.gif (232 バイト) zakkaya@news.email.ne.jp