Zakkaya Weekly No.392
Ryo Onishi                                      11/16/2003

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 11月半ばだと言うのに日中は暑いくらいの気候でした。そんな中、日本女子マラソンが行われましたが、キューちゃんこと高橋尚子選手がいいところまで行っていたのに残念ながら2位になってしまいました。突然失速、いったいどうしたんでしょうね。
 久しぶりに歯のチェックアップをしてもらいました。幸いなことに虫歯はありませんでした。ビオフェルミンが虫歯のもとになる歯周菌に有効に働き、虫歯予防ができると聞きました。どなたか試しませんか?(
R.O.)

愛 国 心

戦後教育を受けてきた(といっても、私の場合は昭和20年8月の終戦時、既に小学校≪当時は国民学校といいました≫の二年生でしたが)私にとって、「愛国心イコール軍国主義」というイメージが定着しており、日本に住んでいた当時は「愛国心」という言葉は口にするのさえタブーと思っていました。

米国に来た当初、祝日でもないのに街には星条旗が翻(ひるがえ)り、学校やスポーツ競技では先ず米国国歌斉唱から始まるこちらの愛国心の表現には好奇の目を向けたものです。

一昨年の9.11(同時多発テロ)以降はその傾向がさらに異常なまでに昂揚し、「愛国(民)か、さもなくば非国(民)か」とさえ極端になっている感がします。

私は米国のこの極端ともいえる現状について、いささか違和感を禁じえませんが、これが米国の現実であり、是非はともかく現実として認めなければなりません。

考えてみると、米国の場合は移民によって成り立っている国家ですので“統一の旗印”が必要であり、それを「愛国心」「国歌」「国旗」に求めているのでしょう。米国以外の諸外国も、米国ほどではないかもしれませんが「愛国心」を国民統一のために教育しているところが多いと聞きます。

日本の場合、敗戦という負の資産を背負い、私たちのように「愛国心イコール軍国主義」といった教育を受けた戦後世代が国民の主流を占めている限り、「愛国心」的“統一の旗印”(ある意味では日本人としてのアイデンティティ)は生まれにくいようです。

さらに、日本(人)はいわゆるホモジニアス(均一民族)的な性格の人達の集合体ですから国家として“統一の旗印”の必要性もうすいのかもしれません。

しかし、米国をはじめ諸外国が「愛国心」を明確にしている以上、国際社会の中で一国孤立主義が許されない日本にとって「日本とは?、日本人とは?」、「愛国心とは?」をきちんと認識することは私たち日本人にとって重要なことであると思うし、なによりも国民が「国を愛する(愛国心をもつ)」ことは当然必要なことです。

私は「愛国心」には2つの側面があると思っています。

(1)、他国に対して自国を守ること。だから、他国には負けない。他国から侵略されたら武力で自国を守る。

(2)、他国の伝統、歴史、文化を認め、敬意を表しながら、同時に自国の伝統、歴史、文化などで、よいものを誇りを持って守り、継承する。また、さらに発展させる。

 この2つともに重要なことです。ただ、これまでの日本の場合、どうも「愛国心」というと、(1)に重点が置かれ過ぎてはいなかったでしょうか。(1)と同じに(2)の側面の愛国心をもっと考えるべきではないでしょうか。これこそが“国家統一の旗印”であり、“アイデンティティ”であるといえましょう。

国家は国を守り、国民の生命・財産を守ることは大前提であり、ある程度の軍事力の保持は必要です。しかし、軍事力だけを強大にしても国を守ることにはなりません。いわんや世界から愛され、尊敬されるとも限りません。ユニラテラリズム(一国主義)を標榜し、世界の警察官を自認しながらも、必ずしも国際社会から評価されない今の米国がよい見本です。

第二次大戦後、米国がパクス・アメリカーナ(米国がその圧倒的な力によって維持する平和、または米国による世界の覇権)といわれたのは、軍事力の優位性だけではなかったはずです。

政治体制、文化・生活様式、治安、通商・貿易、高度技術、通貨体制、資源・食料供給、マーケットなどの総合力で優れていたからです。

私たち日本と日本人は、もっと「愛国心」と正面から向き合い、日本(人)のアイデンティティ、進むべき方向、役割について考え、議論すべきではないでしょうか。                                
河合将介(skawai@earthlink.netbut_up.gif (232 バイト)

 

さくらの独り言 「119」

「泣いた鬼がもう笑った」と独り言をつぶやきながら、過ぎたこの一週間を振り返っている。先週、救急車にお世話になった。救急車にお世話になったのは、在米時代2度、そして日本では今回が最初、合計3回となる。前者は交通事故、後者は単なるアクシデント。今回は自宅から、自分で電話した。冷静にダイヤルしたつもりだったが、「おかけ直しください」の録音テープが繰返されたことを思い返すと、案外慌てていたのかもしれない。何を隠そう私は、救急車を呼ぶのに「911」をダイヤルし続けていたのだった。正しく「119」をダイヤルできたのは、1から9までの数字を数えながら、大きく深呼吸をした直後だった。

それは傘を持たない雨夜の帰宅時のことだった。タクシーから降りるや否や、滑って倒れた。踏ん張った右足の足場が悪かった。いやいや歳をとったのかもしれないが。暫く立てなかった。立とうとしてもまるで右足が秋風になびくススキのようで、全く入力できなかった。両手と左足で必死に立ち上がるのにどれくらいの時間を要したか、殆ど覚えていない。そしてそこから50メートルの距離もない自宅メインロビーまで、45分間もかかって歩いた。「痛い」ということだけが頭の毛先から足の爪先まで駆け巡った。冷たい雨がシトシトと、私の涙をごまかすように全身をぬらしてくれた。やっと自宅の重いドアを開けた時、「ゴルフ諦めなきゃないけないのか!」と悔しくなり、ドッと床に降れ伏した。その瞬間、「病院へ行かなきゃ!ゴルフができなくなる!!」と、とっさにダイヤルを回した。焦っていた。何度も何度もダイヤルしたが、その度に同じテープが流れた。痛みと悔しさで、真っ暗な自宅の玄関床に座ったままの私の頬を、ボロボロと涙が流れた。ところが何を思ったかハタと顔を上げ、もう一度携帯電話を掴み、誰かに電話してみようと深呼吸をついた。その時、自分が日本に居ることを悟り、自分がダイヤルすべき番号は、911ではなく「119」だったことを認識したのだった。

ところで、日本人旅行客の多い世界の25カ国数都市を対象に、緊急時(救急車や警察)の連絡先(電話番号)を調べてみた。なかなか面白傾向をみつけた。番号桁別にみると、2桁2カ国(フランスやホウチミン等)、3桁が19カ国(日本、北米、イギリス、その他)5桁が1カ国(ストックホルム)、7桁が2カ国(バンコク等)である。救急車と警察の番号が同じ国・都市は、7カ国(米国、香港、オーストラリア等)である。記憶し易い番号は、イギリスの999番、もしくはオーストラリアの000番だろうか。なんと韓国の救急車と警察は、日本と全く同じ119番と110番というのも驚いた。さて、日本の119番、多くの人が110番にかけてしまうケースが多いという。救急車の電話番号が、この119に決められた訳は、最後の番号を回す際一番時間が掛かる番号を回させ、その間に落ちつかせる意図があったと言う。ダイヤル回線オンリーの時代、なんともニクイ日本文化・知恵のひとつだと思う。各国の緊急連絡番号選定と番号の背景には、こんな独自の隠された文化的知恵の意味があるかもしれない。

私たちは仕事や私生活において、突然頭が真っ白になることがある。アクシデントやハプニングによって引き起こされるパニック現象や怒哀の増幅によって起こる「かんしゃく」現象のひとつだ。そんな現象の対策指導のひとつに、「おまじないことば」を呪文の様に唱えるというものがある。米国留学時代のある講義で学んだメソッドだ。ある言葉か名前、それは誰に理解されなくてもいいがその人が唱えるだけで、落ち着きを取り戻せるという秘密のことば(もしくは名前)だ。私も仕事や私生活で怒り奮闘する時、このおまじない言葉を心の中で何度か呟くことにしている。しかしこれからその言葉を、「119、119」に代えよかと考えている。次回救急車を呼ぶ時に間違えないように、そしてまた最後の9を言い終わる頃、少しは落ち着いた自分になれるように。うん、これは一石二鳥だと、痛みも和らいで笑っているさくらの独り言。
kukimi@ff.iij4u.or.jpbut_up.gif (232 バイト)

 

川 柳 & コント(東京・成近)

( 川 柳 )

5+5が10にならないジャイアンツ

十年後睨み少数派にくみす

十年の苦節 受賞を妻と受け

いい話 手話の十指がよく動く

富弘の詩画に貧しい我が十指

( ニュースやぶにらみ )

「二強時代」
その横綱が頼りなくて  ― 日本の政治

「土井党首辞任」
議席があるからまだいいよ ― 山崎前自民副総裁

「道路公団総裁に固辞続出」
  繰り上げ当選かな  ― 近藤参議院議員
          
(注・星野富弘さんは、体育教師になって間もない時に
 飛び箱の事故で頚椎を損傷。手足の自由を失いましたが、
 口に筆をくわえて絵や詩をかかれている方です。)

(東京・成近) E-mail nakawai@adachi.ne.jpbut_up.gif (232 バイト)
http://www.adachi.ne.jp./users/itsukabz/index.htm

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Zakkaya Weekly No.392

雑貨屋 店主 大西良衛  gp-bmail.gif (1852 バイト) zakkaya@news.email.ne.jp

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