雑貨屋ニュースレター No.34

大西良衛 1/5/97 バックナンバー Homepage

皆様、新年あけましておめでとうございます。Eメールでボイスや写真のクリスマスカード、年賀状をいただき、ありがとうございました。一年前と比べるとインターネットがだいぶ浸透してきましたね。ロスに帰ってきたら、かぜを引いて年末寝込んでいた方がいると聞きましたが、みなさんは大丈夫でしたか?雑貨屋34号も河合さん、西尾さんからの素晴らしい記事をお届けします。

ファジーこそ日本の誇り '97年のはじめに 河合将介

アメリカ人の発想からすると、「どうも日本人の考えていることははっきりしない、なにかを聞いてもイエス・ノーといった明確な反応がなかなか出てこない。一体 彼らは何を考えているのだろう。」という疑問が日本人に対してあるようです。これが 「顔の見えない日本」 とよく言われる理由の一つなのでしょう。私自身も典型的な日本人(と本人は思っている)なので、どうも Yes / No、右 / 左、と ズバリいうのが苦手です。最近の若い日本人の皆さんは、かなりアメリカナイズしており、こちらがびっくりする程 単純明快に割り切れる人も居ますが、本来の日本やアジアの発想は、所謂 「二者択一、 二進法」ではなく――又は物事を明確に「分類・細分化」するのではなく、その逆で全体のバランスや相互関係、整合性を重んずるため単純明快とはいかないものなのです。一説によると、古来 インド哲学には 「四進法」という考え方があり、それは欧米的 「二進法」と比較すると、次のようになるのだそうです。

)西洋的「二進法」 ; @Yes又はANoの2つだけ

)インド「四進法」; @Yesである

YesでありNoでもある

Yesでなく、Noでもない

Noである

上記 「四進法」のAとBについて、私なりに日本に当てはめて、次のような例をあげてみました。

;日本は、民主主義国家であることには違いないが、同時に国家による多くの規制・官僚統制その他、社会主義的体制をも上手に取りいれうまくやっているので、社会主義的国家でもある。(イエスであって、ノーでもある)

;日本には、所謂 中流意識の人が圧倒的に多く、「金持ち」でもなければ、「貧乏」でもないという認識を 当たり前の事として持つ人が多い。(イエスでなく、ノーでもない)

物事を徹底的に細分化し、分類し、体系化する欧米的発想のおかげで、近代の学問と科学が大きく発展し、人類文化の進歩に貢献した事は確かですが、その反面 これは妥協を許さぬ対決型思考であるため、物心のバランスに欠けた科学万能の方向に少々偏ってしまった感がみられないでしょうか。21世紀は、まさにこの物心のバランスを取り戻す世紀になるだろう、というのが私の認識であり、人間の心をもっと尊重し、自然とは対決でなく調和しよう という時代になると思っています。その時こそ アジア哲学の出番であり、日本の(又は日本的)発想の出番なのです。 物事を ただ単にYes / Noで分類し 細分化してゆくだけではなく、もう一方では 逆に 分類の壁をどんどん取り払い、全体としての調和と そこに見える全体像の体系化により、人間が人間らしく生きる道とその真理を求める――そんなふうに見直されるのではないでしょうか。そしてそこでは、必ずしもYes / Noで全てを割り切るのでではなく、ファジーな発想が見直され、重視されるはずです。

日本(日本人)のファジーについて、身近なところでは 日本語の用法に 具体例を見つける事が出来ると言われています。即ち、

)日本語には 省略や曖昧な言い回しが多い。明確な表現は出来るだけ避け、裏の意味を持たせたり 相手の勘に頼る表現をする。

〔例〕・その節はどうも失礼いたしました。…(その節とは どの節?、失礼とは どんな失礼?)

2)日本語は 否定型の文型や婉曲な表現が多く、直裁な言い方は避けたがる。

〔例〕・――でないというわけでは必ずしもない… (あるの?、ないの?)

彼は、3時にならないと戻って来ません。(戻って来るの?、来ないの?)

などなど・・・・。何を言っているのかよく分からないという批判の反面 、そこには、全体の調和を いかに保つかという思慮が感じられます。但しファジーも程度問題で、例えば 「前向きに善処します」などという日本語は、言葉としては「前向き」でもその意味は「ソレハ出来マセン」というのが殆どであり、(イエスでありノーでもあるので これも「四進法」?)「全体の調和を保つ」のも ここまで来ると、少々行き過ぎの感じがしますが。

日本人はまたアメリカ人に比べれば、ホモジニアスな(均質化された)民族であるために、言葉でこまかく表現しなくとも「目で物を言」ったり、「以心伝心」や「阿吽(あうん)の呼吸」により 「不言実行」が出来るので このような ファジー表現に 益々磨きがかかったのかもしれません。

21世紀がアジア・日本の出番なら、我々は今から もっと自信を持って「ファジー」を主張しようではありませんか。これまでの我々のファジーとは、物事を「中途半端で、うやむやにしておく」ことぐらいの意味でした。しかし、これからは ファジーである事を 声を大にして「明確に」主張するのです。ファジーとは「いいかげん」とか「適当にお茶をにごしごまかす」と言う事では決してなく、物と心と自然のバランスを通して 人間が人間らしく生き、自然とも共生し、環境破壊による地球の破滅もない 共存共栄のための発想だと思うからです。―――よし! 私は 今年は、この線で行くことにしよう!!

1997年のスタートにあたり、こんな事を考えました。 河合 将介 skawai@wakao.com

健康の方程式 「現代病は食源病だ」

西尾誠一郎さん

アール・ミンデルの“ビタミン・バイブル”はとても気に入って、すぐ二回目を読み出しました。今度はビタミンやミネラルの働きを中心としてかなり詳しくメモを取りました。少々疲れて、床にごろりと横になりますと、父の本箱にちょっと興味をそそられるタイトルの本がありました。“今の食生活では早死にする”「アメリカ上院栄養問題特別委員会レポート」(経済界)という本です。その衝撃的な内容に一気に読んでしまいした。この本の著書、今村光一氏も書いているように、アメリカ上院は世界最高の調査機関です。かって田中内閣を倒壊させたロッキード事件も、アメリカ上院の調査が発端となっています。憲法上も大きな権威と権限を与えられたアメリカ上院が、二年間アメリカ国内ばかりでなく、世界の権威を呼び、かつ世界中から膨大な資料を集め5000ページを超えるレポートをまとめたのです。後に大統領候補にもなった、マクガバン議員を委員長に、ドール議員、ケネディ議員パーシィ議員など大物議員をそろえた栄養問題特別委員会はどのような理由で設置され、どのような結論を出したのでしょうか?マクガバン委員長は、その設置理由を次のように言っています。「ガン・心臓病をはじめ、多くの病気が増えている。そして進歩したとされるアメリカの医学を活用し、しかも巨額の医療費が注ぎ込まれているのに、アメリカ国民は病気ばかり増えてますます不健康になるばかりだ。この原因を解明し、根本的な対策を立てないことにはアメリカは病気で滅んでしまう。」

委員会の二年間の審議調査のいくつかの重要な結論の中でもっとも重要なものは次の二つでした。

ガン、心臓病、脳卒中などアメリカの6大死因となっている病気は、現代の間違った食生活が原因になって起こる“食源病”である。この間違った食生活を改めることでこれらの病気を予防する以外に先進国民が健康になる道はない。

現代の医学は、薬や手術といったことだけに偏り過ぎた。栄養に盲目な片目の医学であった。栄養に盲目でない医学に作り変える必要がある。

何という明確な結論でしょう。同委員会の調査によって、食事や栄養の取り方と病気の関連が、公式の場で歴史的に初めて明らかにされたのです。ミスター栄養」委員会とまで言われた、パーシィー議員はこの調査の10年前、世界三大長寿地域の一つフンザを訪ね、その体験をふまえてこう発言しました。「フンザにはガンも心臓病もない。それなのに先進各国はこういう病人でいっぱいだ。我々の文明の中には何かが起こっているのだ。そして、特にそれも二十世紀に入ってから、その何かが急激に強まっている。なぜならばガンも心臓病もその他の病気も今世紀初めころのアメリカでは珍しい病気だった。それなのに今ではこういう病気の急増によって世界一豊かな我が国でさえ、財政的にパンクしかかっているほどである。」パーシィー議員の言う何かとは一言で言うと食生活の変化です。彼らはアメリカ型食生活をフンザ型にしてすっかり健康になり、スリムになったそうですが、私たち凡人は、何十年も前の食生活に完全に替えることがなかなかできません。そして栄養に盲目な片目の医学もその報告後、20年になろうというのに、大きくは変わっていません。しかし私達は健康で幸せな生活が必要です。大きな制約を受けながらも少しでもよりよい方法をこの健康の方程式の中で探っていきましょう。

こぼれ話「ハンクラ?」

日本では自動車の免許を取るのにお金も時間もかかるのはご存知でしょう。自転車がうじゃうじゃ我がもの顔で走っているし、電柱も溝もあるあの狭い道を走るのですから大変ですよね。初めて運転するAさん、インストラクターから「ハンクラやってみてくれますか?」といわれてほんの一瞬考えてから、クラクションを軽く押したんです。インストラクターが変な顔をしながら、もう一度「ハンクラしてくれますか?」といったので、Aさんは期待に応えてクラクションをさっきよりも軽く押したんです。インストラクターが「なんでそれがハンクラなんですか?」と聞くとAさんは「えー、半分だけクラクション鳴らしたんです。」これって本当にあった話なんですよ。

編集後記

河合さん、西尾さんから送られてくる素晴らしい記事を皆さん同様、毎週楽しみに編集しています。今年は是非、雑貨屋のホームページを実現させ、もっと多くの方に紹介したいと思います。今回は、スペースの関係で文字を小さくしましたのでご了承ください。皆さんからのご意見、ご要望、ご投稿をお待ちしています。

雑貨屋店主 大西良衛rnishi@earthlink.net