Zakkaya Weekly No.117

Ryo Onishi 8/9/98  Index Homepage

雑貨屋のひとり言

◆入院中の義母が手当ての甲斐なく亡くなり、急遽ワイフといっしょに日本に来ています。こんなかたちで義母と再会するとはまったく考えもしなかったので残念でなりません。3月に亡くなった義父についで義母の死は、つらいものがありますが、これも私達に何かを教えてくれているのだと受け止めようと思います。

◆久しぶりの蒸し風呂のような暑さ、セミの声、夕立・・日本の夏を実感しています。 (R.O.)

有 事 下 か 平 時 か

世相を見る時、よく「有事下」と「平時」とに分けて考えることがあります。この分類によると、果たして現在の日本はどちらなのでしょう。通常、「有事」とは「戦争、または事変などの起ること(広辞苑)」であり、「平時」とはその逆で「戦争や事変のない時(同)」という事になります。

(正確には「有事」の逆は「無事」であり、「平時」の逆は「戦時」というのが正しいそうです)

そうすると今の日本はどこの国とも戦争はしていないのだから「平時」ということになりましょう。またよく「有事下のリーダー」、「平時のリーダー」という言葉があります。「平時」は世の中が静かで平和な時ですから、リーダーは出来るだけ穏やかに全体を調整し、困難な問題は急がずゆっくり解決するか、または先送りして波風を立てず、うまくまとめて行く能力が最も必要でしょう。ところが一朝有事ともなれば今度はまったく逆で、非常事態を宣言してでも緊急事態に対処し、打開を図るだけの判断と決断力を伴った強力なリーダーシップが求められる事になります。

さて改めてわが日本の現状を考えてみるに、今の日本は本当に「平時」なのでしょうか。確かに今、日本は所謂 戦時下でもなく、事変も起こしていません。しかし何も実際にドンパチと撃ち合ったり、兵器で殺し合いはしなくとも、今の日本は国内的にも国際的にも過酷な非常事態に直面しており、「戦時下即ち有事下」と同じではないでしょうか。

海外に住み、年に数回しか日本へ帰らない私などに日本の現状について述べる資格などはないという見方もあるかも知れませんが、私は逆に日本を離れているからこそ祖国を客観的に直視できるし、さらに日本を離れて国際社会の尖兵としての役割の一端を担っている立場からしても敢えて私は今の日本は国内的にも、国際的にも「有事下の状況にある」と認識すべきだと思っています。誰がどう見ても異常としか思えない金融機関の不良債権の処理、膨らむ一方の財政赤字、進み行く高齢化・少子化、重厚長大を中心とする産業界の不振、失業率の上昇、国際社会における日本への極度に厳しい評価 等々。更に、それにもかかわらず他人事のような顔をして日々を面白おかしく過ごし何ら危機感すら感じていない多くの一般生活者など。

2ヶ月前、 私は日本へ行きましたが、日本のマスコミが不況、不況と騒ぐわりには若者を中心に何ら問題意識も危機感も感じていない実状に少々驚きました。私の目に映った日本の風景だけからは、日本の厳しい現状は何も見えてこないのです。確かに自主廃業した大手証券会社から放り出された失業中の中高年齢者を始め、多くの中小企業の経営者・失業者、それにパート先がなくなった主婦達の話題がテレビなどで取り上げられていましたが、直接の当事者以外は無関心が圧倒的多数派なのです。21世紀に日本はどうなる、なんて我関せずなのです。

何もことさら大変だ!大変だ!とオオカミみたいに騒ぐのはよくありませんが、少なくとも日本の今の実態と国際社会での位置付け位にはもう少し関心を持って欲しい。“問題意識がないのが最大の問題だ”と言うのが私の訪日の実感でした。

7月の参議院議員選挙を直接のきっかけとして、内閣も変わり、小渕新首相をリーダーに新生

日本丸が再出航しました。今後、我が日本が再生し、21世紀も物心共に豊かな国になれるかどうかは、新首相が今の日本を「有事下」と認識し、「有事下」のリーダーとして国民、官僚、国会議員に痛みを伴う大手術を納得させ、更にその上に強烈に苦い薬を飲ませることが出来るかどうかにかかっていると言えないでしょうか。小渕新内閣はその発足当初からあまり評価は高くないようです。だったら「ダメモト」ですから思い切って蛮勇を振るっていただきたい。期待しています。同時に私達日本国民も相当の覚悟をする必要があることを理解しましょう。

「有事」とは戦争です。“戦争ならば何がなんでも勝たなきゃならぬ”これは鉄則です。 河合 将介 (skawai@wakao.com)

一口コラム:「日本語って何だろう?(その3)」

日本人がよく使う言葉に、「やはり」とか「やっぱり」 があります。 地域によって 「やはり」と「やっぱり」 は使い分けられているそうですが、年齢層による使い分けもあるような気がします。

主として中年層以上の人に 「やはり」が多く、若い人は元気に 「やっぱり」と言う人が多く見受けられるような気がしますが、どうでしょうか。 ところが 最近の超若者によると 「やっぱり」なんて ダサイ、「やっぱ!」と言うのが イマイのだそうです。

★私が聞いた話にこんなのがあります。 : 日本語を研究している ある外国の学者が、日本には 「やはり」 と「やっぱり」という 同じ意味の言葉がある。 実際に はたして どちらが多く使われているのか知りたいと思い いろいろな日本人に聞いて廻った。

ある日本人に 「あなたは 『やはり』と『やっぱり』のどちらを使いますか?」 と聞いたら、「そうですね。やはり やっぱりでしょうな」 と答えたそうだ。

――― 羅府の庄助さん ―――

編集後記

今週の雑貨屋は日本からの発行です。Eメールでの配布漏れがあるかもしれません、届いていない方がいましたらお知らせください。

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Zakkaya Weekly No.117

雑貨屋店主 大西良衛 ronishi@earthlink.net